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2024年06月27日 10:57 更新

国の子育て支援制度、既婚女性の約6割は「不安解消にならない」と低評価、各支援制度の認知率にはバラつきも目立つ

国の主要な政策としても掲げられている少子化対策。さまざまな子育て支援制度がありますが、当事者たちはどう評価しているのでしょうか。そこで今回は、公益財団法人 1more Baby 応援団の「夫婦の出産意識調査2024」をもとに、国や自治体が行っている支援に対する子育て世代の意見を見て行きます。

2013年から毎年実施している「夫婦の出産意識調査」

公益財団法⼈ 1more Baby 応援団は2013年から「夫婦の出産意識調査」を毎年実施しています。12回目となる今回は、全国の女性20歳~39歳、男性20歳~49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下) の既婚者(2,961人)、および、自身や配偶者が不妊治療を検討・経験したことがある人(838人)を対象に調査を実施。国や⾃治体が推進する出産・⼦育ての⽀援制度に対する意⾒や、2022年4⽉より始まった不妊治療の保険適⽤について聞いています。

国の制度に対する評価|女性の約6割が「将来の不安解消にならない」と回答

2,961人の既婚者を対象に、国の「出産・子育て支援制度」について全体的な印象を聞いた結果を男女別にしたものを見ると、ともに上位3つを占めたのは次のとおりでした。「制度が続くか不安があり、将来の不安解消にならない」(女性59.1%、男性42.2%)、「⽀援制度が増えるのは嬉しいが、出産の後押しになると感じていない」(女性54.7%、男性43.7%)、「制度の対象が限られていたり、地域差があって不公平」(女性52.4%、男性36.8%)。1位と2位に違いはあるものの、ほぼ同じ結果と言えるでしょう。

ポイント数に注目すると、男女で11.0~16.9の開きがあり、男性に比べて女性の方が出産・子育て支援に対する不満が多いことが想像されます。

1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より
1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より

個別制度への評価|出産を後押しするのは生活費や育児費用の助成

同じく2,961人を対象に、国などによる支援制度の中でどれが出産意向を後押しするかを調べたものがこちらです。

「後押しされた」「後押しになる」と回答した人が多かった制度は「子育て世代に対する生活費の助成」が55.8%でトップ、次いで、「育児費⽤の助成」(54.6%)、「出産費⽤の助成」(52.4%)、「⾼校の教育費の助成」(51.7%)、「⼤学の教育費の助成」(51.5%)が上位を占める結果でした。

年代別で見ると25~29歳は「子育て世代に対する生活費の助成」、育児費⽤の助成」、「出産費⽤の助成」でいずれも6割を超えているという特徴が見られました。また、20~24歳は支援制度の中でも特に「出産費用の助成」を求める声が多いようです。

1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より
1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より

支援制度の認知率|全体で3割以下

また、2,961人に対して、国が打ち出している出産・子育てに関する8つの支援制度を提示し、知っている制度を聞いた設問では、認知率が5割を超えたのは「不妊治療の保険適用」(58.7%)と「出産の経済負担軽減」(計画中)(50.4%)のみでした。8つの支援制度の平均認知度は28.4%で3割に満たないという結果です。ニュースなどでもたびたび取り上げられている「児童手当の拡充」の認知率が37.3%にとどまるのは、やや意外かもしれません。

1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より
1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より

不妊治療の保険適用には一定の評価

続いて、前問で最も認知率の高かった不妊治療の保険適用について、さらに見てみましょう。

2022年4月以降に保険適用となった不妊治療を受けた243人に対し、不妊治療への気持ちを聞いた設問では、「不妊治療に対して前向きになった」(66.1%)、「希望する検査や治療が受けられた」(57.6%)、「スムーズに治療のステップアップができた」(51.5%)など、保険適用を評価する声が多いことがわかります。

しかしその一方で、「保険が適用されても高額だと感じた」と回答していている人も64.5%に。家庭の経済状況によっては負担に感じる人も多く見られ、誰にとっても不妊治療を受けやすくなったとは言えず、まだ課題が残ることが感じられる結果でした。

1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より
1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2024」より

まとめ

さまざまに議論されている国や自治体の「出産・子育て支援制度」ですが、子育て世代の印象はあまりよくないことが、今回の調査からわかりました。また、広報活動がうまくいっていないのか、主な支援制度の認知率も高くありませんでした。それぞれの制度が、それらを必要としている人たちに本当の意味で寄り添えるものとなることが重要でしょう。その結果として、日本が少しでも子育てしやすい国に近づくことを願います。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■夫婦の出産意識調査2024/公益財団法⼈1more Baby応援団
調査対象:
全国の女性20歳~39歳、男性20歳~49歳(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下)の既婚者、合計2,961⼈
⾃⾝や配偶者が不妊治療を検討・経験したことがある人、合計838⼈
調査機関:事前調査 2024年3⽉27⽇(⽔)〜4⽉8⽇(⽉)、本調査 2024年4⽉1⽇(⽉)〜4⽉8⽇(⽉)

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