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2024年06月15日 10:23 更新

「同和問題」を知らない人が3割超、授業で教わった人は16%【親子で考えたい人権問題】

日本固有の人権問題といえる「同和問題(部落差別)」。当事者でないとあまり知られていないこともありますが、実際にはいまだに日本社会に根強く残っている差別です。しかし、その認知度は年々下がってきているよう。東京都が実施した「人権に関する都民の意識調査」をもとにお伝えします。

18歳以上の都民5,000人を対象に調査

東京都では、「人権に関する都民の意識等を調査し、今後の人権施策をすすめていく」ことを目的に、都内に在住する18歳以上の男女5,000人を対象に「人権に関する都民の意識調査」を実施しました。なお、10代の18歳、19歳に関しては合計150人程度として、20代から70歳以上の年齢層および男女比は概ね均等に配分されています。

約3割は「同和問題を知らない」

「同和地区や同和問題について、はじめて知ったきっかけは何か」を聞いたところ、「学校の授業で教わった」(16.2%)、「テレビ・ラジオ・新聞・本などで知った」(15.0%)、「家族(祖父母、父母、兄弟、姉妹など)から聞いた」(9.5%)などのケースがありました。

しかし、最多の回答となっているのは「同和問題を知らない」で、30.2%となっています。同和問題のことを知らない人が3割に上るというのは、少々意外かもしれません。また、令和2年度の調査に比べて10ポイント近く増えています。

―東京都「人権に関する都民の意識調査」より
同和地区や同和問題について、はじめて知ったきっかけは何ですか。
―東京都「人権に関する都民の意識調査」より

同和地区の人との結婚に反対されたらどうするか?「わからない」が45%

「同和地区の人と結婚しようとしたとき、親や親戚から強い反対を受けたらどうするか」を聞いた設問の結果は、「結婚する」と回答した人は全体の41.7%でした。内訳としては、「自分の意思を貫いて結婚する」が17.9%、「親の説得に全力を傾けたのちに、自分の意思を貫いて結婚する」が23.8%となっています。

一方、「結婚しない」と回答した人は13.4%でした。そのうち「家族や親戚の反対があれば、結婚しない」が8.0%、「絶対結婚しない」が5.4%。したがって、「結婚しない」よりも「結婚する」を選ぶ人の方が多いことがわかります。

なお、年代別でみると、「反対されても結婚する」と回答した人は18歳、19歳の若い世代に多くなっています。

―東京都「人権に関する都民の意識調査」より
仮にあなたが同和地区の人と結婚しようとしたとき、親や親戚から強い反対を受けたら、あなたはどうしますか。
―東京都「人権に関する都民の意識調査」より

また、過去の調査と比べた場合、「わからない」と回答した人は、平成25年度で28.1%、令和2年度で38.5%、今回の令和5年度で44.8%と、増加傾向にあることもわかりました。同和問題そのものを知らない人が増えていることと関係しているかもしれません。

―東京都「人権に関する都民の意識調査」より
仮にあなたが同和地区の人と結婚しようとしたとき、親や親戚から強い反対を受けたら、あなたはどうしますか。(経年比較)
―東京都「人権に関する都民の意識調査」より

まとめ

同和問題は日本社会の歴史の中の身分差別により生まれたものです。身分制度が廃止された現在、遠い過去のことのように思えるかもしれませんが、法務省によると、同和問題(部落差別)に関する人権侵犯事件は令和となった今でも起きています[*1]。部落差別に限らず、あらゆる差別をなくすためには、過去や現在の差別についてしっかりと学ぶ必要があるでしょう。子どもが何かで差別されたり、あるいは誰かを差別したりすることがないよう、親としても、子どもが差別問題に関心を持てるよう、サポートしてあげたいですね。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■人権に関する都民の意識調査/東京都総務局人権部
調査対象:都内に在住する満18歳以上の男女5,000人(18歳・19歳は合計150人程度とし、20代から70歳以上の年齢層及び男女比は概ね均等に配分)
調査時期:令和5年8月24日~28日

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