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2023年10月08日 08:02 更新

子どもには「お砂糖も動画もあげない、絵本で育てる!」と思ってたけど……「不可能でしたね(笑)」/森理世さんインタビュー【4】

2007年、日本人として48年ぶり2人目のミス・ユニバースに輝いた森理世さんは現在、夫の連れ子である息子と、2021年に出産した娘を育てる2児の母。アメリカを拠点に、地元・静岡で母親が営むダンススタジオ「I.R.M.ダンスアカデミー」の講師として日本でも活動中です。森さんが奮闘する、仕事と育児の両立とは。

最長40分睡眠が、産後約2年続いた

ーー娘さんの育児で、最初の試練はどんなことでしたか?

森理世(以下、森) ショートスリーパーなことですね。長くても40分しか寝ませんでした。泣きながら目を覚ますのですが、お兄ちゃんは学校があるし、夫は朝早くから仕事に行くので、「彼らの邪魔をしたくない」と、とても神経質になり、私は泣き声が聞こえたらすぐに抱きかかえて別室に移動し、あやしていました。

ーーということは、森さんご自身も最長でも40分のこまぎれ睡眠だったんですね。

 そうなんです。まとまって寝てくれるようになったのは、本当にここ最近のことです。

ーー約2年間、想像を絶する睡眠不足生活でしたよね。

 ママ友に話を聞くと「うちは夜寝たら朝8時まで起きないよ」というご家庭もあり、「こんなことになっているの、うちだけなのかな……」と、すごくショックを受けたこともありました。そんなときに、出会ってしまったんですよね、添い乳の存在に。

ーー(笑)寝ながら授乳ができるのは、本当に楽ですよね。

 そう! 40分間隔で起きて、上半身を起こして授乳するのがしんどくて、あるとき「おや? 自分も横になりながら授乳できるぞ? なんなのこの最高な体勢は!」と気づきまして。
 ただ、添い乳には「おっぱいを吸っていないと寝ない子になってしまう。癖がついてしまう」という声もありますよね。アメリカでは特に、赤ちゃんのうちから別室で寝かせるの主流ですし、添い乳は一般的ではありません。それに添い乳は危険な部分もあるので私も気をつけながらおこなってはいましたが、小児科で「どんなふうに寝ていますか?」と聞かれるのがプレッシャーで。

ーー親子一緒に寝ていると、小児科で指導をされる?

 そうですね、「ああ、オッケー。そろそろ別室で寝かせる訓練をしましょうか」と言われる程度でしたが……。それで別室で寝かせるチャレンジをしても、やっぱり泣いて起きてしまうんです。
 泣いても我慢して放っておけば自力で寝られるようになる、といいますけど、この子は絶対に一人では寝なかった(苦笑)。いつまでも泣き続けて翌朝には声が枯れてしまうほどなので、そんな姿を見ていたらたまらなくなって。
 ある程度は我慢してチャレンジを続けましたが、別室で寝かせることができないまま、結局いまでも夫婦の寝室で川の字で寝ています。ザ・日本式です(笑)。

「動画は見せない!」と理想を持って挑んだけど

ーーもうすぐ2歳になりますが、お子さんを見ていて心を動かされるのは、どんな瞬間ですか?

 少しずつ成長しているんだなと気づかされる瞬間は、胸が熱くなります。
 私はいま、スタジオでバレエやダンスを教えていますが、その時間は娘も同じスタジオですごしているんですね。私自身が幼少期から母のスタジオにいたように。
 あるとき娘が、お姉さんたちが踊っている姿を毎日間近で見ているからか、教えていないのに真似して踊っていたんです。昨日は、レッスンの最後にみなさんでお辞儀をするとき、一緒にお辞儀をしていました。

ーーとてもかわいいですね! ずっとスタジオで待っていてくれるなんてすごくないですか。

 ずっとおとなしくしているわけではなくて、YouTubeを見せちゃうことももちろんありますよ。
 私、出産前は「お砂糖は絶対あげない。動画は見せない、絵本で育てる!」なんて思っていましたが、そんなことは不可能でしたね(笑)。
 頻繁にアメリカと日本を行き来して、一緒に飛行機に乗っていますが、搭乗直後はステッカーブックで遊んだり、恐竜の絵本を見せて。でも一番役立つのはタブレットなんですよね。なんとかシールや絵本で繋いで、「もうムリ……!」と思ったら、お世話になっています。

両立の難しさを痛感するも「夢を持って進みたい」

ーーすごくよくわかります。最初は理想があるんですよね。

 私自身がタブレットを使う動画やゲームなんてない幼少期を送ってきましたし、目にもよくないことがわかるから、なるべく控えたいと思ってしまいますよね。でも一度見せてしまえば、もっともっと、と欲しがるようになる面白さがあるのもわかります。だから産む前は、「最初から見せなければいいんだ」と意気込んでいたんです。
 お砂糖も同じです。アメリカでは甘いスムージーを飲む人が大勢いて、お兄ちゃんもよく飲んでいます。やっぱり美味しいから子どもは求めるんですよね。これも「最初から味を知らなければいいんだ」と排除しようとしても、やはり避けて通れないんだなと気が付きました。
 生活やTPOに合わせて徐々に解禁することで、自らに課していた肩の荷を降ろすことは、自分にとってなにより健康的だと思っています。

ーー最後に、森さんの今後の目標を教えてください。

 私の母は、私と弟の2人を育てながら自分のダンススクールを大きくしていきました。バリバリ踊って、バリバリ働いていたけれど、私たち子どもがないがしろにされていると感じたこともありませんでした。そんな母の背中を見て育ったので、育児と仕事の両立は決して不可能なことではない、と思っていました。
 が、いざ自分が同じ立場になると、ままならないことだらけなんですよね。周りの協力や、自分の精神力と体力がないと、両立は難しいと痛感しています。
 でも、やっぱり母親が夢を持って進んでいくことは、子どもにとって何よりのいいお手本になると思っています。子どもとの時間を大切に、自分の人生もしっかり見つめていけたらいいなと思っています。

森理世さん/モデル、ダンス アーティスティック・ディレクター

1986年12月24日生まれ、静岡県出身。4歳からジャズダンスを始め、高校生のときに留学先のカナダでバレエ学校に入学し、ハイスクールと両立して卒業。2007年、ミス・ユニバースジャパンとしてメキシコで開催されたMISS UNIVERSE 2007世界大会へ出場。満場一致の得票で優勝。第56代MISS UNIVERSEに就任した。現在はチャリティ活動、モデル活動を継続する一方、母とともに「I.R.M.ダンスアカデミー」で講師を務める。2021年にアメリカで第一子を出産。

(取材・文:有山千春 撮影:天田輔)

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