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2023年10月07日 08:01 更新

国際結婚でステップファミリーに。孤独を感じて涙が出ることもあったけれど/森理世さんインタビュー【1】

2007年、日本人として48年ぶり2人目のミス・ユニバースに輝いた森理世さん。チャリティ活動などで世界を飛び回るなかで出会ったアメリカ人男性と結婚したのは、2018年のこと。国際結婚、ステップファミリーという背景を「予想外な出来事だった」と話す森さんに、ままならなさと向き合った数年間のことを聞きました。

夫とは、出会って1ヶ月で結婚を意識

ーーパートナーの男性とは、どんなふうに出会ったのでしょう。

森理世(以下、森) 初対面は、サンフランシスコで開催された大きなチャリティーイベント後のパーティーでした。私の現地滞在期間は1週間くらいでしたが、その後もう一度会う機会があり、そこで仲良くなりました。
 話の中で「私は明日、日本に帰ります」と告げると、「もう1日延ばしてほしい」と言われて、彼が飛行機チケットのキャンセル手配をして、勝手に買い替えたんです。

ーーすごく行動的ですね!

 びっくりしましたが「もう1日僕に時間をくれれば、もっと街を見せられる」と言われて、それも悪くないな、と思ったんです。その1日で街を散策して、仕事やプライベートなことなどを話しました。

ーーしかし森さんは帰国して……再会したのは?

 帰国してから毎日電話で連絡を取り合い、1ヶ月後に彼が日本に来てくれて、今度は東京や私の地元の静岡を案内しました。すでに結婚の意志があったので、彼がどういう気持で私の家族に会うのか、確かめようと思いました。

ーーとてもスピーディーですね。彼には離婚した元奥さまとの間に息子さんがいたそうですが、どの段階で知ったんでしょうか。

 初対面のときに教えてくれて、息子の写真も見せてくれました。

「いいお父さん」であることは彼の魅力のひとつだった

ーーそういった彼のバックグラウンドについて、どうお考えでしたか?

 私と出会う前に結婚していたご家族がいて、そのご家族との間にお子さんがいる方とお付き合いや結婚をするなんて、まったく予想もしていなかったし、ステップファミリーを作ることも自分の人生計画にはありませんでした。周りには心配しかされませんでしたしね。

ーーどんなふうに心配されましたか?

 すでに家庭を築き上げた経験がある人と、初婚でなんの経験もない私がうまくいくのか? という未知の世界への心配や、そもそも国際結婚も心配の種だったと思います。
 でも、彼の魅力のひとつに「いいお父さん」というものがありました。息子をとても大切に想い、働きながらも極力息子との時間を作って生活していた彼に惹かれたんです。

ーー結婚した当初、壁を感じたことはありましたか?

 一番最初にカルチャーショックを受けたのは、アメリカは離婚してもほとんどが共同親権だということ。日本は単独親権ですが、アメリカはたとえば一週間ずつ交代で父の家と母の家を行き来するといったように、前の家族との繋がりがすごく深いんです。
 私はアメリカで結婚して新しい生活をするけれど、彼はその前からの家族の繋がりがずっとある。理解していたつもりだったけれど現実を見てやはり複雑な気持ちになってしまいました。
 でもその感情も、同じ境遇の方と話して心が軽くなりました。当時を振り返ると、なぜあんなに小さなことで悩んでいたんだろう、と思います。それに離婚後の家族関係についても、子どもの立場に立って考えることで腑に落ちました。

「自分はここにいていいの?」という疎外感を乗り越え

ーー最初の頃は涙が出るほど苦悩することもあったんですね。

 そうですね。”彼の家族”という永遠に変わらない絆の中に私が入ってきて、邪魔じゃないのかなとか。アウトサイダーシンドロームという言葉があるんですが、「自分はここにいていいのかな」という疎外感を感じてしまったんです。
 それで、夫と息子に、「私はあなたたちの邪魔をしていない? 私の存在がうっとうしくない?」と正直な気持ちを話しました。すると息子は「何言ってるの? 僕はそんなこと1度も思ったことがないよ」と……気を使ってくれているのかわかりませんが、言ってくれました。

ーー現在、ステップファミリーとしてすごして5年経ちますが、息子さんとの関係はいかがですか?

 彼が私を見る目は、5年前から何も変わっていないんです。私が勝手にセンチメンタルな気分に浸っていただけ。彼は当時から変わらず、私のことを「お気に入りの人」と言ってくれています。

森理世さん/モデル、ダンス アーティスティック・ディレクター

1986年12月24日生まれ、静岡県出身。4歳からジャズダンスを始め、高校生のときに留学先のカナダでバレエ学校に入学し、ハイスクールと両立して卒業。2007年、ミス・ユニバースジャパンとしてメキシコで開催されたMISS UNIVERSE 2007世界大会へ出場。満場一致の得票で優勝。第56代MISS UNIVERSEに就任した。現在はチャリティ活動、モデル活動を継続する一方、母とともに「I.R.M.ダンスアカデミー」で講師を務める。2021年にアメリカで第一子を出産。

(取材・文:有山千春 撮影:天田輔)

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