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2023年08月15日 07:00 更新

沖縄戦について知っている人は全国で7割、沖縄戦の歴史を継承すべきと思う人は沖縄と全国で9割以上

世界で戦争が行われているなか、子どもの未来のためにも過去の戦争の記憶を継承していくことが大切だと思う人は多いでしょう。昨年、沖縄は本土復帰50年を迎えましたが、太平洋戦争では住民を巻き込んだ地上戦が行われ、日米合わせて20万人以上が亡くなり、兵士よりも一般住民の犠牲が上回りました。そんな沖縄戦についての人々の意識とは?

沖縄の復帰をテーマに沖縄と全国で各1,800人に調査

NHK放送文化研究所が行った「復帰50年の沖縄に関する意識調査」。無作為に抽出された沖縄県の18歳以上および全国の18歳以上、各1,800人を対象に調査が実施されました。本記事ではその結果の中から、沖縄戦に関する人々の意識を見ていきます。

「沖縄戦」を知っている人、全国でも7割強

<質問>
太平洋戦争でアメリカ軍が沖縄本島に上陸し、地上戦が行われた「沖縄戦」について、どの程度、知っているか?

沖縄戦の認知度を尋ねた結果、沖縄の回答では「よく知っている」(34.0%)と「ある程度知っている」(47.2%)を足した認知度は81.2%となり、8割以上の人が「沖縄戦を知っている」と回答しました。

全国では「よく知っている」と回答した人は23.6%、「ある程度知っている」と回答した人が49.7%で、認知度は73.3%でした。

「慰霊の日」を知っている人、全国では3割以下

<質問>
沖縄戦での戦没者を追悼する「慰霊の日」が6月23日であることを知っているか?

毎年、沖縄県では式典が行われる「慰霊の日」について、沖縄では92.4%の人が「知っている」と回答したのに対し、全国では「知っている」人が27.4%と3割に満たないという結果でした。

「慰霊の日」は沖縄県が制定した記念日で、沖縄戦の戦没者を追悼する日となっています。沖縄県内の市町村の機関は休日となっていて、毎年、糸満市の平和祈念公園で「沖縄全戦没者追悼式」が行われています。2008年からはNHKが全国放送で生中継しているほか、各種報道でもその模様が伝えられています。それを踏まえると、全国での「慰霊の日」の認知度は低いという印象を持つ人もいるかもしれません。

沖縄戦の体験者は6.5%と1割以下

<質問>
77年前の沖縄戦を体験したか?

沖縄の人を対象に沖縄戦の体験の有無を尋ねた結果は、「体験した」と回答した人が6.5%でした。2025年には戦後80年を迎えようとしている今、実際の体験談を聞く機会は非常に貴重なものなっているといえます。

全国の約8割が「沖縄戦の歴史を知りたい」

<質問>
沖縄戦の歴史をどの程度知りたいか?

では、沖縄戦への関心は沖縄と全国で違いは見られるでしょうか? 沖縄では「とても知りたいと思う」が42.9%、「ある程度知りたいと思う」が46.2%で約9割の人が沖縄戦の歴史を知りたいと回答しています。

一方、全国では「とても知りたいと思う」と回答した人は20.3%で少なかったのですが、「ある程度知りたいと思う」と回答した人は59.0%。合わせて約8割の人は沖縄戦の歴史を知っておきたいと考えていることがわかりました。

沖縄戦の歴史は「継承されていない」全国で7割超

<質問>
戦争を経験していない世代に、沖縄戦の歴史はどの程度、継承されていると思うか?

その一方で、「戦争を経験していない世代に、沖縄戦の歴史はどの程度、継承されているか」という設問には、「あまり継承されていない」「まったく継承されていない」と回答した人が沖縄では54.3%、さらに全国では73.1%に上りました。

全国では「慰霊の日」の認知度が低い結果でしたが、自分自身が沖縄戦をよく知らないということからも継承が不十分だと感じている人が多いのかもしれません。

「沖縄戦の継承に注力するべき」が9割

<質問>
沖縄戦の歴史を継承していくことにどの程度、力を入れた方がいいと思うか?

最後に、これからの沖縄戦の継承に対する人々の意識を見てみます。

沖縄県では「かなり力を入れた方がいい」(47.5%)、「ある程度力を入れた方がいい」(46.1%)を合わせて9割以上の人が「沖縄戦の歴史継承に力を入れるべき」と考えていることがわかりました。

一方、全国では「かなり力を入れた方がいい」は26.0%でしたが、「ある程度力を入れた方がいい」は63.9%に上り、沖縄同様に合わせて約9割の人が「沖縄戦の歴史の継承」を望んでいます。沖縄と全国で程度の差はありますが、沖縄戦の歴史をこのまま埋もれさせず、しっかり後世に継承していくことは、多くの人が必要だと考えていることがわかりました。

まとめ

現在では、沖縄と言えば、美しい海やおいしいお酒やグルメなどが思い浮かびます。しかし、そうした明るいイメージとは対照的といえる、太平洋戦争で一般住民を巻き込んだ地上戦の歴史があったことを、日本人なら知るべきでしょう。たとえば沖縄県本島には、糸満市の平和記念公園内にある資料館やひめゆり平和祈念資料館、豊見城市にある旧海軍司令部壕など、数多くの戦争遺構が残されています。

終戦からすでに78年が経過している今、戦争の現実を知るものの1つである沖縄戦の歴史を子どもたちに伝えていくことは、子どもたちの未来のためにも大切でしょう。折に触れて、親子で話題にするのも1つかもしれませんね。

(マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

調査概要

調査地域:沖縄県と全国
調査対象:18歳以上の成人各1,800人
調査時期:2022年2月2日~3月25日
有効回答数:沖縄県812サンプル、全国1,115サンプル

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