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2023年06月17日 08:07 更新

中二男子の長電話。学校で話せばいいのに!という親に伝えたい「実は重要なこと」<子育て心理カウンセリングルーム>

子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、中学生の息子さんについてのママのお悩みです。「夜遅くまでの友人との長電話が気になる」というその訳は……。

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夜遅くまで友人と長電話。注意する?放置する?

近頃、中学2年生の息子が夜遅くまで友人と電話をしているのが気になっています。
聞こえてくる限り、話している内容的にはたあいもないことで、学校で会ってから話せばいいのにと思ってしまいます。また、長電話で勉強時間が減ったり、家族とのコミュニケーションが減ったりということも心配です。
親があまりうるさくいうのも却って反発を生むかなと思いつつ、放置していいものか悩ましいです。
(42歳・女性・専業主婦)

お困り度:★★★★★★★☆☆☆

家族構成:自分42歳、夫45歳、長男14歳、長女8歳

息子さんが夜遅くまで電話をしているのが気になってしまうのは、親御さんとしてとても自然なご心配ですよね。

とはいえ、お話の内容がたわいもないことと把握できているということは、親御さんの近くや閉ざされていない空間で電話しているのでしょうか。そうであれば、息子さんにとっては親御さんに聞かれて困ることも特にない、あるいは聞かれたくないことは話さないという行動の調整ができているのだと推察いたします。これらのことから、息子さんは良好な親子関係や友人関係を築けているのではないかと考えます。

中学2年生の息子さんは、今まさに思春期真っただ中ですね。家庭内や親との関係を中心とした幼少期・学童期から、友人や同じくらいの年齢を中心とした人間関係が重要になってくるのが、この時期の特徴のひとつです。友人たちと親密に付き合い、いろんな考えや気持ちがあることを学んで視野を広げていき、自分と他者が同じところや違うところを体験的に知る中で「自分自身」というものの輪郭を形成していきます。社会の中に身を置いて生きる人間として、非常に重要で大きな変化がもたらされる、「子どもから大人に向かう過渡期」です。

また、思春期の友人関係には、しばしば「秘密の共有」が見られます。特定の友人との間に、その他大勢の人たちが知らないことを共有し、お互いに「秘密を分かち合える特別な相手」ということを言外に確かめ合います。これは、自己肯定感、信頼感や安心感、責任感や思いやりなどを発展させていくうえで、とても大きな役割を果たします。

したがって、息子さんが電話でお話することは、一見たわいもないようなことであっても、友人と学校ではできないお話をして親密性を高めている、まさにこの時期に大切なことをしている最中なのだとも考えられますね。そんなふうに思って、見守ってあげるといいのではないでしょうか。そういう意味でも、「親があまりうるさくいうのも却って反発を生むかな」というのは、とても適切なお考えだと思います。

勉強時間や睡眠時間が減ることや家族とのコミュニケーションなど、ご心配な点については、具体的にどんな問題が起こり得ることを心配しているかを、息子さんにお話してみてはいかがでしょうか。そして、たとえば、休日やテスト前は勉強時間を確保する、食事中は家族とのコミュニケーションを優先する、夜は何時までに寝るなど、取り得る対策を息子さんと相談し合えるといいですね。

(文:臨床心理士 たかだちかこ/うららか相談室

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