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2022年08月05日 08:00 更新

愛情不足の子供の3大特徴と将来のリスクとは?愛着形成のためにできること【心理カウンセラー解説】

子どもの行動に対して「もしかして愛情不足?」と不安になる親御さんは少なくないのではないでしょうか。子どもの健やかな成長に必要な愛情とは何か、それが不十分だとどんな問題が起こり得るのか、愛情をうまく伝えるコツなども紹介します。

子供にとって必要な愛情とは?

子どもが健全に育つには、適切な愛情が欠かせません。しかし、愛情は目に見えないものですから、どこか漠然としていて掴みどころがないと感じる親御さんも多いかもしれません。子どもにとって必要な親からの愛情とは、一体どんなものでしょうか。

重要なのは「特定の人との情緒的結びつき」

小さな子どもにとって大切な愛情を考えるうえで、英国の精神科医ボウルビィ,J.によって提唱された「愛着(アタッチメント)理論」が参考になります。愛着とは「特定の人と人の間に作られる、時間や空間を越えて続く情緒的結びつき」のことで、子どもの健全な発達を促し、社会の中で人間関係を築く基礎にもなるものです。

子どもがどんなふうに愛着を形成していくか、簡単に見ていきましょう。

① 生後6ヶ月頃〜:愛着の対象を区別し始める

生まれたての赤ちゃんは、母親と一心同体です。人の声などに興味を示して反応しますが、母親や主たる養育者をその他の人と区別することはありません。

泣いたらお腹や心を満たしてもらえる、濡れて不快なおむつを替えてもらえる、といった経験を通して、生後6ヶ月頃から、いつもお世話をしてくれる人とそれ以外の人を区別し始めるようになり、母親や主な養育者がいないと不安になって泣いたりするようになります。

② 2~3歳頃:明確な愛着が形成される

生後6~7ヶ月頃からの赤ちゃんには、見知らぬ人を警戒して泣く、いわゆる人見知りする子も多いですが、これは愛着の対象とそれ以外の人との区別ができている証拠でもあります。

こうした傾向は2~3歳頃まで続き、自分の要求や呼びかけに応えてくれる特定の人物に対して、どんどん情緒的なつながりを強めていきます。それと並行して、愛着の対象以外の人物には、ますます区別した反応をするようになります。

③ 3歳頃〜:養育者への信頼や安心が形成される

3歳頃から、愛着の対象が視界から消えても、今ここにいないだけでどこかにはいることを理解し、養育者の行動や感情を予測できるようになります。この段階に来ると、子どもと愛着対象との間に協調性の基礎ができてきます。

「今、目の前にはいなくてもきっと戻ってくる」
「また自分の呼びかけに応答してくれる」
「不快や恐怖から守ってくれる」

という愛着対象への信頼感が形成され、これが自信や安心感、人への信頼感につながっていきます。

Lazy dummy

裏を返せば、子どもの愛情不足とは、特定の人物による継続的な関わり、中でも、子どもの安心感や信頼感を育む応答や対応が不足している状態と言えますね。

愛情不足は母親の責任?

ボウルビィは愛着理論の中で、子どもの愛着の対象を母親に限定してはいません。子どもに特定の人物が継続的に関わることで愛着が形成されるので、母親がメインの養育者になることの多い社会では、母親が愛着の対象になりがちですが、母親でなければならないわけではないのです。

「もしかして私の愛情不足?」と悩むのは母親が多いことは、一番子どもを見ているのが母親である家庭が多いからであって、子どもに愛情を注ぐのは母親だけが引き受けなければならない責任ではありません

Lazy dummy

お子さんへの愛情不足が心配なお母さんは、どうかご自分を責めないでほしいと思います。

子どもの問題行動、原因は愛情不足?

子どもへの愛情不足を心配するきっかけが「問題行動」というケースもあるでしょう。
確かに、特定の人との間に愛着を形成できないと、子どもは不安や恐怖、自信のなさなどを感じやすくなり、様々な形で問題行動が表れることもあります。しかし、子どもの問題行動や気になる行動のすべてが、愛情不足を原因とするわけではありません。

行動の背景に「発達の個人差」があることも

子どもの発達には個人差や特性があるため、他の子どもと比べて遅れているように感じたり、心配になったりすることも時にはあるでしょう。しかし、発達のペースは愛情とは無関係で、その子が持って生まれたものですので、愛情不足を心配する必要はありません。

ただ、発達のペースが問題行動の背景になることはあり得ます。たとえば、言葉の発達がゆっくりな子は、言葉でうまく表現できない気持ちを、お友だちや家族を叩く・噛みつく・ものを投げるなどの行動で示すことがあります。

言葉の発達や成長にしたがって自然になくなっていくケースも多く、これは愛情や愛着の問題とは言えません。

「発達障害の特性」から来る行動は愛情とは無関係

また、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害を持つ子は、その特性ゆえに問題行動に見える言動をすることがあります。

周囲の対応が不適切だと二次障害として問題行動が出てくることはありますが、発達障害自体は生まれ持った特性です。親の愛情不足で発達障害になることはありません

子どもの行動だけで愛情不足と断定はできない

他にも、
・嘘をつく
・爪噛み
・チック
・甘えん坊
・注意されても同じことを繰り返す

等、「これって愛情不足?」と心配してしまいがちな行動はいろいろありますが、叱られることを予測して嘘をつくならば成長の証とも言えますし、爪嚙みやチックも元来の性格や家庭以外の環境など、多くの要因がからみあって発生すると考えられます。

どんな問題行動にも背景や文脈があるので、その行動だけで親の愛情不足のせいと断定できるものではありません。

愛情が足りない子がしがちな3つの行動とは?

その一方で、親側が愛情を注いでいるつもりでも、子どもにじゅうぶん伝わっていないこともあり得ます。それは、子どもにとっては愛情不足の状態と言えるかもしれません。

そんなときに起こり得る問題行動のうち、代表的なものをご紹介します。

① 人の気を引きたがる

親からしっかり見てもらえている、存在を認めてもらえているという実感が持てない子は、
・意図的にみんなと違う行動を取る
・わざと相手が嫌がることや驚かせるようなことを言う

等、親や周囲の人の気を引くための言葉や行動が見られる場合があります。

② きょうだいをいじめる

兄弟姉妹がいる場合、きょうだいに比べて自分は親から愛されていないと感じる子もいます。その寂しさや嫉妬、自分のことをもっと見てほしいという気持ちから、きょうだいをいじめたり、親にきょうだいの悪口や告げ口をしたりすることがあります。

③ 親以外の人に執着する

親からの愛情が足りないと感じる子は、本来親から得たい関心や愛情を求めて、親以外の大人や友達に執着する場合があります。

その行動が相手の負担になる、逆に悪い人に利用されてしまうなど、トラブルに繋がる恐れもあります。

愛情不足のまま成長した人の特徴とは?

愛情を感じられず、うまく愛着を形成できないまま育つ子どもには、どんなリスクがあるのでしょうか。

① 人間関係が難しくなる

先述の通り、特定の人物との間の愛着を通じて、人への信頼感や自分には愛される価値があると信じる気持ち、自尊心というべきものを育んでいきます。そして、その自尊心を基盤に、愛着の対象以外の人とも適切な関係を結べるようになります。

しかし、愛情を感じられないで育った子には、こういった基盤が充分できていないため、人間関係が苦手になりがちという特徴があります。

② 必要以上に頑張ってしまう

具体的には、無理してでも親を喜ばせようとする、学童期以降になると勉強や運動、習い事などを頑張りすぎてしまう、嫌なことを嫌と言えないというパターンもあります。

楽しくてやっているわけではなく、親や周囲からの関心や承認が欲しくて頑張りすぎてしまうため、いくら頑張っても自信が持てず、疲れてしまって不登校や抑うつに繋がることもあります。

③ 仕事や恋愛が続かない

大人になってからも、自信がなく人目が気になるため人間関係が苦しい、頑張りすぎて燃え尽きる、新しいことに挑戦できない等の理由で、仕事が続かない人もいます。

また、「親からも愛情がもらえなかった自分には、誰かから愛情を向けてもらう価値がない」という思いから、恋愛に臆病になったり、逆に奔放になったりすることもあります。

愛情不足?と思ったとき、親としてできることは?

子どもの様子を見ていて「もしかして愛情不足?」と感じたとき、親としてできることはたくさんあります。子どもとの間に愛着を形成して、しっかり伝わるように愛情を示すためには、子どもの声に耳を傾けることが大切です。

1. 呼びかけにはできるだけ応答する

子どもは養育者に反応されることを通じて、自分という存在の輪郭や価値を形作っていくので、子どもの訴えや呼びかけにはできるだけ応えることが望ましいです。

もちろん、子どもの要求すべてを言われるがままに叶えてあげるのではなく、親側ができないことや不適切な要求に無理して応じる必要はありません。ただ、無下にするのではなく、「あなたは、こうしてほしいんだね」と子どもの気持ちは受け入れつつ、なぜできないのか等を話してあげると良いでしょう。

Lazy dummy

継続的に呼びかけに応じてもらい、思い通りにはならなくても向き合って対応してもらうことで、子どもは自分にはそれだけの価値があるのだという自信を抱けるようになります。

2. いてくれるだけで嬉しいと伝える

日々子育てに奮闘していれば、子どもにイライラしたり否定的な気持ちになることも当然ありますし、それ自体は何も問題ありません。ただ、問題行動のように見える言動があっても、他の子どもやきょうだいより劣っていると感じてしまっても、その子はこの世にたった1人のかけがえのない存在です。

心に余裕のあるときだけでもいいので、
「あなたがいてくれるだけで嬉しいよ」
「どんなあなたでも大好きだよ」

と言葉ではっきり伝えてあげるのも、子どもに安心感を育みます。

3. 気持ちを聞いて尊重する

子どもに対して、親や世間の基準によるジャッジを押し付けないことも、とても大切です。

親が「これって愛情不足?」と感じる多くの場合は、世間一般で望ましくない行動が見られた、あるいは、望ましい行動ができなかったときではないでしょうか。

人や自分を傷つけるなど不適切な言動があったら、その言動自体は良くないと伝えることも大事ですが、それだけで終わらず、その行動の背景にある子どもの気持ちを聞き取って尊重するようにしていくと、問題行動も減っていくことが期待できます。

まとめ

子どもには養育者からの愛情が欠かせませんが、問題行動の原因が必ず愛情不足というわけではありません。
子どもに問題行動があったり、誰かから「愛情不足じゃない?」と言われたりすると大変辛いですし、自分でも自らの子育てを否定したくなるかもしれませんが、「私の愛情不足ではないか」と心配する親御さんは、子どもの様子を見てわが身を振り返って考えているわけですから、その時点で愛情不足ではないとも言えます。
的確に愛情を伝えるべく、子どもの気持ちをゆっくり聞いてあげられるよう、まずは親御さん自身が育児を頑張っているご自分を労ってあげるのも、大切なことと思います。

(文:うららか相談室 たかだちかこ/構成:マイナビ子育て編集部)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、専門家の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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