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2023年06月25日 11:21 更新

子どもに辞書を引かせる前にコレやって! 語彙力UPのコツ『SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』Vol.3

「勉強しなさいと言うのに疲れた」そんな「勉強」に関する悩みを、中学受験塾SAPIX小学部の先生たちにぶつけました。『SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から、学びの本質についてふれながら「自ら学び続ける子に育てる」メソッドについてご紹介します。

国語ができる子になる習慣

子どもにわからない言葉の意味を聞かれたら?

× すぐに辞書を引いて言葉の意味を調べるように伝える

◯ わからない言葉の意味を類推するように伝える

知らない言葉は一度立ち止まって意味を考える

語彙を増やす方法としてよくすすめられるのが、「読書」ではないでしょうか。

自分で積極的に読書をする子は語彙が豊富になっていく傾向があるので、相関関係はあるはずです。

ただ、読書が好きだから国語が得意なのか、国語が得意だから読書が好きなのかというと、どちらともいえません。ニワトリが先かタマゴが先かといった議論になってしまいます。

大事なことは単に「読書をすればいい」のではなく、読書をするために必要な能力と国語の問題を解くために必要な能力が重なることを認識して、その重なる能力を高めるアプローチを行っていくことです。

では、読書を通して、語彙が豊かになっていくのはどういったメカニズムなのでしょう?

少しだけレベルの高い本を読んでいると、わからない言葉に遭遇するものです。子どもに「この言葉の意味を教えて」と聞かれることもあるでしょう。このとき、読書によって語彙を増やしていく子は、わからない言葉に対して「こういう意味なんだろうな」と類推しながら読み進めていきます。

そして、何回か同じわからない言葉に触れていくうちに、知識として蓄積されて、自分のものとして使える言葉になっていくのです。

読書が苦手だったり嫌いだったりする子は、この類推がうまくできません。わからない言葉を見つけたときのアプローチ法がわからないのです。

類推ができる子とできにくい子の差は、わからない言葉にどう対処したかという「経験値」にあります。「前後の文章から想像すれば意味をつかめる」という成功体験を積むことが大事なのです。一方で、わからない言葉に遭遇して、意味がわからないままに放置することを続けると、類推する力は上がりません。

「わからない言葉がでてきたら、すぐに辞書を引きなさい」と指導する人もいますが、その前に一旦想像する経験を挟むことが大切です。

想像したあとに、辞書を引いて、「あ、当たった」と答え合わせをします。一度立ち止まって考えることで、わからなかった言葉の印象が強くなり、記憶が定着しやすくなります。そして、言葉の意味を想像する経験を重ねることで、類推する力もつけていくことができるのです。

子どもに言葉の意味を聞かれた際は、すぐに教えないで言葉の意味を考えるようにうながしましょう。

さらに、言葉の意味を類推できないもう一つの要因として、「わからない言葉が多すぎる」というケースがあります。一つの文章に3つ、4つと理解できない言葉がでてきてしまうと、お手上げ状態になってしまいます。

たとえば、英語の文章を読んでいるシーンを想像してみてください。文章中に一つだけ知らない単語があっても、前後の文脈で意味を想像することができます。しかし、一つの文章に知らない単語が複数あると、どんどん意味の類推が難しくなります。そうなると、読んでいてもちっとも意味がわからず、おもしろくないという状態になりますよね。

このように、「わからない単語が複数ある」場合には、「読めるレベルの文章に戻る」のも一案です。たとえば、4年生の子が2年生向けの本を読んでいても問題はありません。むしろ、わからないまま進むほうが問題ですし、無理に4年生向けの本を読もうとすれば「読書はつまらない」というイメージを植えつけてしまいかねません。

焦らなくても大丈夫。一つ一つ積み上げていきましょう。

Check!
わからない言葉の意味を想像してから辞書で調べると、記憶が定着しやすくなる
子どもに合ったレベルの読書からスタートする

佐藤智『10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

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佐藤智さんのプロフィール

両親ともに教員という家庭に育ち、教育の道を志す。横浜国立大学大学院教育学研究科修了。中学校・高校の教員免許を取得。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら教育情報誌の制作を行う。その後、独立し、ライティングや編集業務を担う株式会社レゾンクリエイトを設立。全国約1000人の教員へのヒアリング経験をもとに、現在は教育現場の情報をわかりやすく伝える教育ライターとして活動中。著書に『公立中高一貫校選び 後悔しないための20のチェックポイント』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本』(共著/翔泳社)がある。

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