パートナーが毒親育ち! 夫婦で子育て方針がずれてしまったらどうする?『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』#4
育児で疲れたり孤独を感じたりすると、子育ての正解がわからず自己嫌悪に陥ることがあるかもしれません。そんなとき、自分が毒親化しないためにはどうしたらよいのでしょう。精神科医の井上智介先生の『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』(主婦の友社)から、毒親にならずに自分と向き合う子育てのヒントについてご紹介します。
パートナーが毒親育ちだったら?
子育て方針からずれたら指摘する
パートナーが毒親育ちで、子どもに対して厳しくあたったり、世間的なルールばかりをあてはめようとしたり、ということがあります。特にコロナ禍によるテレワークで、パートナーが家にいる時間が増えて、その傾向は強まったという声もよく聞きます。
だからといって、パートナーを変えていこうというのは、なかなか難しい話です。パートナーであっても他人なので、他人を変えることはできないのは言うまでもありません。
とはいえ夫婦なので、まだ話し合える余地があるかと思います。なので、まず夫婦で子育て方針を決めつつ、そこからパートナーが毒親のようなおかしなことを言い始めたら、方針からずれていることを指摘して、パートナーの毒親化を防いでいきましょう。
ただし、そのときも伝え方が重要です。夫婦だからといって「あなたの言い方はまちがえている」と言うのはNGです。
相手はへそを曲げるだけで毒親化が改善することはありません。ここも子どもに対するときと同じで、パートナーがそのようにふるまってしまう気持ちに、まず共感してあげてください。
おそらくパートナーは自分なりにがんばっているはずで、そのがんばりに対して、ねぎらう言葉があってもいいでしょう。たとえば「いつも子どものことを見てくれてありがとう」「子どものことを考えたら、心配になることがあるよね」などです。
そのうえで「そういう心配とか不安をなんとか解消しようとするあまり、子どもへの接し方が二人で決めた子育て方針とずれているように、私は感じるよ」と伝えてみましょう。
主語は「私」にする
ポイントは主語を「私」にすることです。「あなた」にすると、けんかになりますから。「あなたがまちがっている」のではなく「私はこう感じる」という表現であれば伝わりやすいです。
そういった伝え方で、なんとかパートナーの子どもへの接し方を軌道修正していきましょう。パートナーの毒親化がひどく進み、それすらうまくできない場合は、もはやパートナーに子どもの正しい向き合い方や接し方を身につけてもらうのは難しくなります。
そうなると、なるべくふだんからきげんよく過ごしてもらうほうが現実的かもしれません。
(井上智介『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』(主婦の友社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
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書籍『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』について
『育児はとてもストレスフル。誰でも毒親になりえます』
子育てというのは、非常にストレスフルなもの。仕事は嫌ならやめられるけれど、子育ては嫌でもやめられない。逃げるという選択肢がまずありません。
初めての子育てに、不安や心配のない親御さんは、いないのではないでしょうか。
しかも子育ては、独自性の高いもの。つまり一つ一つの家庭によって違いが大きく、親は基本的に自分の家庭しか知りません。
そんなふうに、子育てというのはとても難しいものにもかかわらず、世の中では「子育てができてあたりまえ」「誰でもやっているもの」というイメージがもたれています。それが、ますます親御さんを苦しめているのです。
『毒親にならない気持ちの持ち方を知りましょう』
この本では、自分が毒親化していると気づいた人が呪縛から脱し、わが子に向き合い、自分らしく生きていくステップをご紹介します。
子どもの接し方に悩んだとき、心に寄り添ってくれる一冊です。
井上智介先生のプロフィール
産業医・精神科医
兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動する。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやSNS、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)など著書多数。
Twitter @tatakau_sangyoi