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2022年10月08日 06:07 更新

先輩社員たちが「パパも育休を取ったほうがいい!」と口を揃えた理由。一ヶ月の育休で実感 #男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は2022年5月に育休を取ったご夫婦にお話を聞きました。

「みなさんこんなに苦労しながら仕事をしていたのかと実感」パパが一ヶ月の育休を取った北島家

今回のパパ
Adecco Group Japan 北島礼也さん/32歳

●ご家族
妻:北島舞さん/31歳/会社員
長男:歩くん/0歳6か月

●北島家の育休
第一子誕生(2022年3月)
妻:産後一ヶ月ほど実家に里帰り。
夫:妻子が自宅に戻ったタイミングで一ヶ月間の育休を取得。2022年6月1日より職場復帰。

北島礼也さんの1日のタイムスケジュール

「育休は取ったほうがいい!」と強くすすめてくれた上司

――礼也さんが育休を取ろうと思ったきっかけを教えてください。

礼也さん 私たちは結婚して8年経ちますが、これまで共働きで、夫婦で一緒に協力しながらやってきました。妻は産後もバリバリ働いて、これからも共働きで暮らしていきたいと二人とも考えていましたし、自分も主体的に育児に参加していきたいという思いがありました。そこで、今後は私もしっかりサポートしていけるように、妻に見える形で私が育児に参加する姿勢を示しておきたいと思いました。でも正直なところ、仕事を休むことへの迷いも大きくて。前向きな気持ちの中に、不安な気持ちもありました。

――迷いもあった中で、育休取得の決定打になったことは何でしょうか?

礼也さん 先輩パパでもある上司に「育休は取ったほうがいい!」と強くすすめられたことが一番の後押しになりました。上司も4人目のお子さんが生まれたばかりで、来月育休を取得する予定です。一緒にプロジェクトを進めているメンバーも、みなさん口を揃えて「取ったほうがいい!」と言ってくれました。実体験から「最初の子どもが生まれたときの育児への関わり方は、今後の夫婦関係にも影響するよ!」と教えてくれました。

――それは頼もしいアドバイスですね! 実際に一ヶ月の育休を取得しましたが、取る前のイメージとギャップはありましたか?

礼也さん 私はもともと仕事に集中してしまう方なので、育休といっても空き時間にパソコンを見れば、少しは業務に関わりながら過ごせるかな、なんて思っていました。でも実際に始まってみたらそんな余裕は全くなくて、よくも悪くも育休中の一ヶ月はしっかり仕事から離れることになりましたね。

子どもを風呂に入れるのは育児というより癒し。むしろそれよりも……

――特に大変だと感じたことは何でしたか?

礼也さん 特に大変だったのは夜間の対応です。まとまった睡眠時間を取ることができないので、思い通りに寝られないのは辛いときもありました。最初は何もかもが手探りで、夜中も妻と同じタイミングで起きて息子をあやしていましたが、育休の後半は3時間ごとの交代制を取りました。まず、妻が子どもを寝かしつけたら一緒に寝てもらって、私はその間ずっと起きています。次の授乳のタイミングで私が対応して再度寝かしつけをしたら、一緒に就寝。次の授乳は妻が対応して、互いに睡眠時間を確保出来るよう工夫しました。

舞さん もし夫が育休を取っていなかったら、夜間対応も頼みづらかったと思います。仕事をしていたら、どうしても夫は「寝る時間を確保したい」と思うだろうし、私も遠慮してしまって「仕事があるし、頼みづらいな」と……。そこから対応や考え方にもすれ違いが生じやすくなっていたと思うんです。でも育休中なのでそういったことを気にせず、頼みたいことははっきりと伝えられました。

――実際に育児を経験してみないとわからないことはたくさんありますよね。

礼也さん 育休を通して、いわゆる育児のかゆいところに手が届くのがどういうことかがわかるようになりましたね。例えば「毎日パパが赤ちゃんをお風呂に入れています」と聞くと、一見とても積極的に育児に参加しているような印象を受けるけれど、私個人としてはお風呂に入れること自体は、そんなに大変なイメージはありません。むしろそれは楽しい癒しの時間! それよりもお風呂から上がって、ぐずっているのをあやしたり、着替えさせたりするほうが大変で。そっちのほうが手を借りたいなんてこともありますよね。

舞さん ちょっとつらいことや大変なことも、身をもって体験してもらうことで「じゃあ次どうする?」「こうして対応していこう」と2人で話し合って決めることができました。産後の早い段階から育児に参加してもらえたので、育休を取得してくれて本当によかったと思っています。最初はちゃんと育児に参加してもらえるのか不安に思っていたので、心配ごともかなり払拭されましたね。育休中は指示待ちパパにならないように、私が言わなくても、自分で考えて自然に行動に移してくれました。

日課のお散歩。ご機嫌ナナメなことも勿論ありますが…

産後クライシスの不安も払拭できた

――職場復帰してから、仕事への向き合い方や意識の変化はありましたか?

礼也さん 職場には男性、女性を問わず、働きながら育児をしている方が多いので、みなさんこんなに苦労しながら仕事をしていたのかと身にしみるようになりましたね。夜間の連絡などは、より配慮するようになりました。先輩パパへの尊敬の気持ちも増しましたよ。
それから、働いていると誰でも大変なことがあると思いますけど、息子がいることで頑張れることもあるし、守るものが増えたからこそ、仕事に対する責任感もさらに強くなりました。
勤務先は、柔軟に働くことができるので、基本的にはリモートワークで業務を行っていますが、出社する日は通勤中の電車でずっと息子の動画や写真を見てしまいます。一日会社に行っただけで、一週間くらい出張している気分です(笑)。早く帰ることが楽しみで、プライベートも大切にするようになりました。

――それはとてもいい変化ですね! 息子さんが生まれてから夫婦間で変わったことはありましたか?

礼也さん 特に変化はありませんが、それは全く悪い意味ではなくて。育児中の今でも、何も関係性に変わりがないのは、今までも夫婦で仲よくやってきたからこそだと思うので、私はいいことだと考えています。今まで妻と築いてきた関係性があるからこそ、辛いことも一緒に乗り越えられていると思うし、お互いに信頼できています。

舞さん 産後クライシスのように、出産後の夫婦関係をうまく築くことができなかったり、不仲になってしまったりするという話しも耳にしていたので、もし自分たちがそうなってしまったらどうしようという気持ちもありました。でも、そういったことがなく、安心して産後を過ごせたのは育休があったからこそ。夫婦の関係性を大きく変えずに、今こうして仲良く育児をできていることが嬉しいですね。

――息子さんの成長で特に嬉しかったことや、印象に残っていることはありますか?

舞さん 初めて寝返りしたところを見られたことです。そろそろかなと思っていたので、いつ寝返りを始めてもいいように、何もないカーペットの上で自由に遊ばせていました。そうしたら、急に寝返って。カメラには収められませんでしたが「できたね!」と夫婦でその瞬間を共有できて、喜び合いました。

礼也さん いないいないばあで笑ってくれるようになったことです。息子が笑い返してくれたことに成長を感じられました。笑顔が見られるようになって、育児の面白さも実感しましたね。あとは息子が生まれて、両家の両親が本当に喜んでくれたこと。息子に会って喜んでくれる姿が見られると、私たちも嬉しいです。

この笑顔に会いたくて急いで帰っているという北島さん。

仕事と子育てと……悩む気持ちを理解できたことも成果のひとつ

――今後、男性がさらに積極的に子育てをしていくためには、どんな変化が必要だと思いますか?

礼也さん まず気になるのは経済的な側面ですね。実際に育休取得するまで知りませんでしたが、育児休業給付金の振込まで数ヶ月かかるので、無収入になる期間があります。私たちは共働きですが、奥さんが専業主婦で旦那さんしか働いていないご家庭もあるし、長期間に渡って男性が育休を取りたいご家庭もあると思います。社会という目線で見たら、支給のタイミングがサポートされるとより安心ですよね。育休を長く取れば取るほど、この問題は重くなると思うので。

――礼也さんもおっしゃっていましたが、復帰後のキャリアの心配もありますよね。

礼也さん もちろん今しか見られない子どもの成長を間近で見たいし、家族を大切にしたいという気持ちもあります。その上で、キャリアや職務も考えて、取得期間には自分の中でうまく折り合いをつけることが大切になりますよね。
私はマネージャーをしていた経験からも、部下としての目線で見てきたことも踏まえて、一ヶ月という期間の取得につながったと思っています。もし私がもう少し長く育休を取りたいと言ったら取得も可能でしたが、延長はしませんでした。
長く取るのがいいのか短く取るのがいいのか、もちろん正解はないし実際に取得してみた私も正解はわからないです。一カ月の育休は、実際に取ってみたらあっという間でした。でも、こうして悩む気持ちも理解できたこと自体が、何よりも意義があったことだと思っています。

(取材・文:マイナビ子育て編集部、宮本貴世/イラスト:ぺぷり)

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