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2022年03月14日 07:01 更新

【5~11歳の接種開始】子供の新型コロナワクチン、必要? 不要? 気になる効果・長期的影響・副反応

この3月から5〜11歳の新型コロナワクチンの接種が始まりました。新型コロナウイルスの感染、またワクチン接種に関しては、保護者同士でも話しづらいもの。そこで子供のワクチン接種に関してどう考えるべきか、小児科医の森戸先生に教えてもらいました。

ワクチンを接種したほうがいいと考える理由

(photoAC)

いよいよ、5〜11歳の新型コロナワクチンの接種が始まりました。新型コロナワクチンの接種に関しては、現在もっとも流行している変異株・オミクロンに限れば軽症であることが多く、もともと子供は重症化しにくいため、慎重になる人も多いようです。

ただ、私はできることならば、子供も新型コロナワクチンを接種したほうがいいと考えています。その主な理由は以下の通りです。

① 重症化しないとは言い切れないから

日本では10歳未満において約62万人が新型コロナウイルスに感染していて(※3月10日時点)、ほとんどは軽症ですが、一部は重症化しています。必ずしも軽症で済むとは限らず、場合によっては重症化して入院するかもしれませんし、最悪は命を失うかもしれません。実際、京都では基礎疾患のない未就学児が亡くなりました。また軽症だとしても、高熱を出して寝込むかもしれませんし、咳に苦しむかもしれません。オミクロンは比較的軽症ですが、今後も重症化しやすい変異株が出てくる可能性は高いと言えます。

② 合併症を起こしたり、後遺症が残ったりするリスクがあるから

全身の臓器に炎症が起こる小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)という合併症が起こったり、味覚や嗅覚の異常、倦怠感などの後遺症が残ることがあります。こうしたことは、いつ誰の身に起こるかわかりません。

③ 感染したら自宅から10日間も出られないから

子供が感染した場合も、10日間は自宅待機です。その家族は、陽性者となった子供に接した時から7日間は自宅待機となります。マスク、手袋、部屋の隔離などができない場合は、子供の自宅療養10日間+家族の自宅待機期間7日間です。乳幼児はもちろん小学生くらいまでは、完全に隔離することは、現実的には難しいでしょう。

子供にとっては(その兄弟姉妹を含めて)、普段通りの教育が受けられないこと、また行事や試験(受験)などへの参加機会を失うことは大きなデメリットでしょう。また親も仕事に行くことができなくなります。

流行を抑えることの意味

また、新型コロナウイルスの流行が広がると、私たちの社会にとってデメリットがたくさんあります。一つは、新型コロナウイルス感染症によって亡くなる人が増えます。

病院が新型コロナウイルス感染症の患者さんでいっぱいになれば、新たに別の病気の患者さんを受け入れることができなくなります。結果的に、別の病気での死亡も増えるでしょう。だから、感染者が爆発的に増えることを防ぐ必要があります。

同時に、感染を繰り返すことで変異株も生まれやすくなります。そして、まんえん防止等重点措置や緊急事態宣言などが出れば、経済活動や行事等が自粛となります。ですから、流行を抑えること自体にも大きな意味があるのです。

気になる効果・長期的影響・副反応

さて、新型コロナワクチンを接種したほうがいいとしても、ワクチンの効果、長期的影響、副反応が気になるという親御さんは多いと思います。

まずは効果についてですが、オミクロンの流行前のデータとはいえ、発症予防効果は90%で十分に高いと言えます。ファイザーの子供用の新型コロナワクチンは、大人用に比べて総量も抗原量も少ないので、実際の効果はもう少し落ちるかもしれませんが、接種しても意味がないわけではありません。当然、重症化を防ぐ効果も期待できます。

次に長期的影響についてですが、もちろん、新型コロナワクチンについても、わかっていない部分はあります。ただし、mRNAワクチンはウイルスの情報を体に伝えて抗体を作らせる仕組みで、接種後は分解されてしまうため、成分が体内に高濃度で残って悪影響を与えることは考えにくいでしょう。また新型コロナウイルスに感染した場合の長期的影響(後遺症など)もわかっていませんし、ワクチンの長期的影響よりもリスクが高いと考えられます。

また、副反応についてですが、すでにアメリカやイスラエルなどの様々な国でたくさんの子供たちが接種していて、大人よりも軽いことがわかっています。10〜20代の男性で心配される心筋炎も、5〜11歳ではリスクがより低いのです。アメリカでは、5〜11歳が約870万回接種し、11人が発症していますが、全員が経過観察で治っています。ただ、接種後、念のために、長くみて1週間は胸の痛みに注意しましょう。胸の痛みがある場合は、小児科を受診してください。

接種について家庭で話しましょう

最近では、各地で保育園やこども園、幼稚園、小学校などで感染者が続出し、休園・休校になることが相次いでいます。ただ、誰が感染したのか、どんな症状に苦しんだのかは、プライバシーに関わることなので周囲に知られることはありません。

またテレビや新聞も、本当に重症の人にインタビューすることはできません。だから、オミクロンを風邪のように思っている人もいるかもしれませんが、じつは苦しんでいる方はたくさんいますし、本当に大勢の方が亡くなっています。

もちろん、新型コロナワクチンを接種するかどうかは、各ご家庭で検討されるといいでしょう。ただ、「子供は重症化しないから」「子供にワクチンは効果がないから」などと誤情報で判断するのではなく、ぜひ正確な情報をもとに考えていただけたらと思います。また、お子さん本人が肥満だったり、糖尿病や免疫疾患などの持病がある場合は重症化しやすいので、ぜひ接種をお願いします。ご家族に高齢者や持病のある人がいる場合も同じです。

最後に、親御さんが接種させたい場合で、お子さんが嫌がる時は、年齢に合わせて詳しく説明してあげてください。例えば「コロナになると10日間も家から出られないよ」「お熱が出たり、咳が止まらなくなるかもしれない」「ワクチンはチクっとするけど、体を守ってくれるものだよ」「病気の人にうつすと大変なことになるから、流行させないようにしよう」などと説明するのはどうでしょうか。小さな頃から自分の体を守るために、また公衆衛生のために必要なことを知る機会を持てるといいですね。

(編集協力:大西まお)

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