共働き夫婦 共働き夫婦
2022年02月21日 07:00 更新

咳どめ薬は風邪に効果なし? 子供のつらそうな咳に、小児科医からのアドバイス

子供が咳をしていると、とても苦しそうで、心配になりますよね。まして今は新型コロナウイルスが流行していることもあり、余計に不安を感じそうです。小児科医の森戸やすみ先生に、咳をしているときのケアについて教えてもらいましょう。

じつは鎮咳薬は効果に乏しいもの

(photoAC)

そもそも風邪をひくと咳が出るのは、空気しか入ってほしくない気道にウイルスや細菌などの異物が入ることで、炎症が起こるからです。

炎症が起こると腫れたり、分泌物が出たりします。気道が腫れたり、分泌物が溜まってきたりすると、迷走神経が「咳嗽反射(がいそうはんしゃ)を起こします。気道に入った異物を追い出したり、分泌物と一緒に咳で出したりするためですね。つまり、咳は身体を守る仕組みのひとつといえますね。

子供が咳をしている場合、多くは風邪か咽頭炎、上気道炎であることが多く、何もしなくても自然と治ることが多いでしょう。風邪を治す薬はなく、全て対症療法(症状を抑えるため)の薬ですが、じつは咳を止めるための「鎮咳薬」は効果があるとは言い難い薬です。

そして、よく診察室で「咳を止めるテープをください」と言われることがありますが、ホクナリンテープ(気管支拡張薬)も気管支喘息や気管支炎には効くものの、風邪や細気管支炎(気管支の細い部分に炎症が起こる病気)には効果がありません。

ですから、生後6か月以上のお子さんで、本人が元気そうにしていて食欲があり、夜きちんと眠れるようであれば、受診せずに様子をみてもいいでしょう。ただし、急変しやすい生後6か月以下の赤ちゃんが37.5度以上の熱があったり食欲がなかったり、苦しそうにしている場合、大きなお子さんでもあまり具合が悪い場合は受診しましょう。もちろん、新型コロナウイルスの恐れがある場合は、電話で相談のうえ受診してください。

室温と湿度を調整し、鼻水をとって

では、家でできることは何でしょうか。室温を快適に感じる程度に保ち、加湿器を使うか、濡れたバスタオルを干すなどして湿度も程よくします。鼻水が喉に流れ込むと咳の原因になりますから、こまめに鼻をかむか鼻水吸い器で取るなどしたり、完全に横に寝かせず上半身を少し高めにしてあげるといいと思います。また、痰を切りやすくするためにうがいをするのもいいでしょう。

そのほか、夜寝る30分前に蜂蜜やアガベシロップを1回少量飲ませたところ、咳の頻度や重症度が改善し、睡眠を取りやすくなったという報告があります。ただし、1歳未満は蜂蜜などを口にすると「乳児ボツリヌス症」によって最悪は命を失う恐れがありますから、絶対に与えないようにしてください。水飴などを使うといいでしょう。

風邪の場合、鼻水などがよくなってきても、咳だけが1〜3週間程度残ることがありますが、徐々に減っていれば、それほど心配することはないと思います。でも、あまりにも長引くとき、ほかにも症状があるときなどは、必ず小児科を受診してください。

参照)
森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)

(編集協力:大西まお)

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-