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2021年04月30日 17:10 更新

妊婦も飲んでいい&NGのハーブティーまとめ!便秘や安産にもよい?

カフェインを含まないハーブティーは妊婦さんにおすすめの飲み物といわれることもありますが、じつは中には、妊娠中に飲むにはあまり適さないものもあります。妊婦さんもOKなハーブティーと注意が必要なことを、それぞれまとめて紹介します。

妊婦もハーブティーを飲んでいい?

ハーブティー

ハーブティーは妊婦さんにぴったりなどといわれることもありますが、本当に妊婦さんが飲んでも問題はないのでしょうか。

ハーブティーとは

ハーブは、料理の風味付けや保存料、香料などとして、生活に役立つ植物の総称です。漢方薬の原料となる生薬も、広い意味ではハーブに含まれます。

ハーブティーとは、そうしたハーブと呼ばれる植物の根や果実、花、種、葉などを乾燥させて砕き、濃縮、抽出したものから作られるお茶のことをいいます。通常のお茶は、茶の木の葉や茎から作られますが、お茶の木以外の植物の、さまざまな部位を使って作られているのがハーブティーなのです。

妊娠中は「大量に」飲まないで

ハーブは料理にも使われることなどから、「医薬品に比べて、自然で安全なもの」と捉えられがちですが、実は漢方薬の生薬のように医薬品成分として規制されているものや、毒性のある成分を含むことも少なくありません。

中には子宮刺激作用のように、妊娠中の使用には適さない働きを持つとされるハーブもあります。昔から一般的にさまざまなハーブが利用されてきた欧米の国々でも、妊娠中のハーブ製品の使用は慎重にするよう推奨されることが多いようです。

ハーブティーについても同様です。今のところは「妊娠中でも少量であれば問題はない」といわれているものでも、本当に問題がないかどうか、つまり安全性があるかどうかはきちんと確認されていません。

そのため、妊娠中にハーブティーを飲む場合は、できれば医師や薬剤師などに確認してから口にすることをおすすめします。実際、イギリスでは「妊娠中は必要な場合を除いて、高用量のハーブ製品をできるだけ使用しないように」「ハーブ製品を使用したい場合は、必ず医療関係者(助産師、医師、薬剤師)に相談するように」などの注意が国から出されています[*1]。

ハーブの種類によらず、水分摂取をそれだけにするなどで大量に飲んだり、濃縮されたハーブティーを口にしたりすることは避けましょう。

妊婦は注意が必要なハーブティー

ハーブティーについて心配している妊婦さんのイメージ
Lazy dummy

ハーブの中には、その作用から「妊娠中は注意が必要」とされているものが、いくつかあります。

カモミールティー

カモミールティーは、カルシウムとマグネシウムが豊富で、不眠症や関節の炎症の改善などにも役立つといわれ、妊娠中でも摂取を勧められることもあるようです[*2]。

ただし、こうした作用についての医学的根拠があまり明確でないうえ、カモミールには子宮を刺激する作用があるといわれています。そのため妊娠中の摂取はなるべく避け、やむを得ず摂取する場合は少量にとどめましょう。

なお、カモミールティーの原料には、大きく分けて「ローマンカモミール」と「ジャーマンカモミール」の2種類がありますが、とくにローマンカモミールは、過剰摂取により流産を引き起こす可能性があるといわれています。またジャーマンカモミールも過剰摂取により子宮刺激作用があるとされており、要注意です[*1]。

レモングラスティー

レモングラスは、レモンに似たさわやかな香りを持ち、東南アジア料理などによく使われていますが、レモングラスにも生理周期に影響を与えたり、子宮を収縮させたりする作用があるとされています。

そのため、妊娠中は摂取しないことが推奨されています。授乳中も引き続き、避けたほうがよさそうです。

便秘対策のセンナ茶も!ほかにもある妊婦は注意したいハーブ

いろいろなハーブ

センナは古くから下剤として、便秘の改善などに用いられています。妊娠中は便秘に悩まされる人が多いですが、その対策としてセンナを「自己判断で使用する」のは避けたほうがよいでしょう。センナには早・流産をおこす可能性があるとされているので、妊婦さんが服用する場合はかかりつけ医への相談が必要です[*3]。

上記で紹介した以外にも、「子宮刺激作用や流産誘発作用の可能性がある」「エストロゲン・オキシトシンなどのホルモンに似た作用を示す」「毒性成分を含む、または刺激性がある」「カフェインを含むため量に制限が必要」などの理由で、妊娠中に摂取することを避ける、もしくは慎重に利用すべきとされているハーブを以下にあげました[*1]。

妊娠中に摂取することを避ける、もしくは慎重に利用すべきハーブ

ただし、妊娠中はこれらを少しでも口にすると良くないことが起こる、ということではありません。ごぼう、とうもろこしのひげ、パセリ、ミントなど、食べ物として摂取することもある植物が含まれているので心配になるかもしれませんが、「通常の食品として食べる量であれば妊娠中に摂取しても害はない」と考えられています。これらについては、妊娠中、「濃縮されたもの」や「大量に」摂取をするとリスクが生じる可能性がある、ということは覚えておきましょう[*1]。

ラズベリーリーフティーは少し注意が必要

ラズベリーも「妊娠中に摂取することを避ける、もしくは慎重に利用すべきハーブ」に含まれていますが、「妊娠中・授乳中でも一般的な食品に含まれている量を摂取する分にはおそらく安全」と言われています。ラズベリーリーフ(ラズベリーの葉)は、妊婦さん、とくに臨月向けのハーブティーによくブレンドされていますよね。

ラズベリーリーフが注意すべきハーブのリストに入っているのは、「子宮収縮作用がある」といわれているからです。この作用を期待して、伝統的に出産間近の陣痛促進目的で飲まれてきました。

実際、この作用について調べた研究で、出産までにかかる時間が短縮したという報告もあるそうです[*4]。ただし、ラズベリーリーフは、妊娠中に「過剰に」摂取すると子宮痙攣を起こす可能性があると言われているので、飲用する場合は必ず少量にし、助産師などの医療専門家に事前に相談してからのほうが安心です。

適量ならおそらくOKなハーブティー

ルイボスティー

ここからは妊娠中に飲んでも、おそらく問題はないと考えられているハーブティーを紹介します。

ルイボスティー

赤い色をしたルイボスティーは、含まれる成分の一部が女性ホルモンの一種、エストロゲンと似た作用をするという報告があることから、女性にうれしいお茶として知られています。


通常のお茶として飲用する分には、おそらく妊娠中も安全に摂取できると考えられていますが、大量摂取は避けましょう。

ダンデライオンルートティー

セイヨウタンポポを原料としたお茶です。むくみの予防・改善、食欲増進、母乳の分泌促進などの作用があるといわれていますが、その効果を示すじゅうぶんな医学的根拠はまだありません。

妊娠中に適量を摂取するならおそらく問題はないと考えられていますが、やはり大量摂取は避けてください。

ジンジャーティー

ショウガを原料としたジンジャーティーは吐き気を和らげるのに役立つといわれています[*5]。つわりがつらい妊婦さんにとっては、うれしいですね。こちらも1日に2~3杯程度の適量摂取であれば、基本的には安全に飲用できると考えてよいでしょう[*1]。

ほかにもある!妊婦も大丈夫なハーブ

そのほか、ワックスのついていない柑橘類の果皮やレモンバーム、ローズヒップなどを原料としたお茶も適量(1日に2~3杯)であれば、おそらく問題ないと考えられています[*1]。

ラベンダー、ジャスミンは?

ラベンダーは香りが良いことから、化粧品や芳香剤などに用いられることが多いハーブです。ジャスミンも同様で、ジャスミンの花で香り付けしたジャスミンティーはペットボトル飲料も販売されるほどメジャーな存在です。

これらのハーブについては、「妊娠中に摂取することを避ける、もしくは慎重に利用すべきハーブ」のリストには入っておらず[*1]、「大量摂取をしなければ、基本的に問題はない」と考えられます。ただし、妊婦さんは注意が必要と一般的に言われることがあるので、気になる人は飲用を避けるのがよいでしょう。

妊娠中のハーブティーに関するよくある疑問

疑問のイメージ
Lazy dummy

もしも、妊娠中は注意が必要なハーブティーを飲んでしまったら? 授乳中もハーブティーは飲まないほうがいいの? といった疑問にお答えします。

授乳時期もハーブティーには注意が必要?

授乳中も妊娠中と同様に、ハーブ類の摂取には注意したほうがよいでしょう。授乳中については、母乳を介して赤ちゃんにハーブの成分が移行するかどうかが大きなポイントとなります。

しかし、それについての科学的、医学的なデータはまだじゅうぶんではありません。そのため、本当に避けたほうがよいかどうか、正確なところはわからないのですが、さまざまな可能性を考えて、授乳中でもハーブティーを大量摂取することは、避けてください。

妊娠中にNGと言われるハーブティーを飲んでしまったら?

妊娠中、注意が必要といわれるハーブティーをうっかり口にしてしまったとしても、すぐに体に影響が現れることはないでしょう。医薬品とは違うので、大量に摂取したり、濃縮されたエキスをたくさん飲んだりしていなければ、まず心配はいりません。ただし、その後も大量に飲み続けるのはやめましょう。

なお、ハーブティーを飲んだ後に、お腹の張りや痛み、出血、吐き気など、何か体調に異変を感じたら、かかりつけ医に相談をしましょう。

まとめ

ハーブティーというと「体に良さそうで、妊娠中にも良さそう」というイメージがありますが、中には摂取にあたり、注意が必要なものも少なくありません。必要以上に恐れる必要はないですが、リスクが考えられるものもあることを正しく理解し、過剰摂取は避けましょう。妊娠中にも安心して飲めるハーブティーの香りを楽しみながら、リラックスして、妊娠期間を過ごしてくださいね。

(文:山本尚恵/監修:窪 麻由美先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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