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2024年03月02日 07:07 更新

子どもの困った行動をまねく親の「間違った接し方」とは?|こどもへの接し方に悩んだら #2

子どもの困った行動に遭遇した時、どんな接し方をしていますか? 困った行動の原因が“愛着の問題”である場合、接し方次第ではさらに状況を悪化させてしまうことがあるのだそうです。

※画像はイメージです

和歌山大学教育学部教授 米澤好史先生は、こどもの愛着障害の第一人者であり、保育園・幼稚園、小中高校など幅広い現場に触れながら、親や教育者・支援者へ“愛着の問題”解消のアドバイスを行なっています。

前回に続き、今回は、子どもの困った行動を増やす「間違った接し方」について米澤先生の解説を、著書『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)よりお届けします。

困ったを増やす接し方

「愛着の問題」を抱えるこどもたちのさまざまな特徴をお話ししてきましたが、もし、お子さんの言動に愛着の問題の特徴を少しでも発見した場合、気をつけていただきたいことがあります。

それは、困った行動に遭遇したときの“接し方”です。

こどもの困った行動の原因が愛着の問題である場合、その接し方しだいで、状況をより悪化させてしまうことがあるからです。

とくに一般的な子育てにおいて「いい」とされている対応が、逆効果になることがあります。

ここで思い出していただきたいのは、愛着の問題を抱えるこどもたちが困った行動をする背景に、〈感情〉の問題があるという点です。

何をしても叱らない

困った行動がエスカレートする

では、まったく叱らなければいいのかというと、それも違います。
 
愛着の問題を抱えるこどもは、「こんなことをしても叱られないんだ」と受けとめると、「これも叱られないぞ」「こんなことも平気だぞ」とどんどん自己高揚して、やりたい放題やってしまう特徴があるからです。
 
「お母さんは人前だと叱らないんだ」「先生は○○のときはそんなに怒らないな」と許される状況を探して、行動をエスカレートさせてしまいます。

暴れても好き勝手しても叱られずにいると、今度は「自分のほうが相手より上なんだ」と思うようになり、自分を叱れない相手を舐めてしまうのです。
 
そして、いつのまにか親や周囲の大人を支配するようになります。

「大人を支配する」とは、その子の命令に逆らうと暴れたりするので、しだいにそのこどもに対し腫れ物にさわるような対応をしてしまったり、こどもの言いなりになってしまいます。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

愛着の問題を抱えるこどもには、安心基地がありませんから、「自分のほうが優位なんだ」という感覚を得ることで安心感を得ようとするためです。

周囲が命令や支配に従えば従うほど、こどもの命令も支配もエスカレートしていくことになります。

怒ってしまったら、あとで必ずフォローする

※画像はイメージです

私たち大人が罪悪感を抱くのは、こうしてエスカレートしたこどもの言動に思わずカッとなって怒ってしまったとき。どうしても腹が立って、つい……、ということはあるわけです。

ただ、こどもにしてみれば、大人が勝手に燃え上がって火の粉を振りまいているとしか感じられませんから、嫌な感情が燃え広がって増幅するだけです。
 
「怒る」という行為は、お互いにとっていいことがひとつもありません。
 
もちろん一度嫌な気持ちに見舞われたからといって、未来永劫その気持ちのままということはありませんが、ネガティブな気持ちは長引くのが特徴です。どこかで気持ちを切り替えないと、お互いに嫌な気持ちを引きずってしまいます。
 
ですから怒ってしまった場合は、「さっきは怒っちゃったけれど、あなたを嫌な気持ちにさせたくて言ったわけじゃないんだよ」と、あとで必ずフォローしてあげることが大切です。

気持ちの切り替えは大人から

ところが、大人側に余裕がないと、叱ったあと何となくバツがわるくなって、フォローを省略してしまうことがあります。これがよくありません。

こどもは嫌な気持ちで混乱したまま放置されるわけですから、安心とはかけ離れた状態になります。それでは絆は結べないままになるばかりです。
 
強く怒ってしまったのはなぜなのか、何がよくなかったのかを、ちゃんとこどもに伝えてあげてください。
 
怒ってしまったタイミングからフォローまでの時間差は、あまりないほうがいいでしょう。

年齢が上がれば翌日でも受けとめてくれるかもしれませんが、小さいこどもであるほど、すぐのフォローが重要です。

あなたが自分の気持ちに素直に向き合えば、フォローは難しくありません。しっかりこどもをフォローできれば、それが同時にあなた自身の精神安定にもなります。
 
そして実は、こうした場面で“こどもの気持ちの切り替えを主導する”ことが、愛着の絆を結ぶ大切なポイントでもあるのです。

この記事は、米澤好史著『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)より一部抜粋・再編集したものです。

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