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2024年01月02日 11:11 更新

大人の「いつか」は一生来ない⁉︎ ワーママはるがママ3人のお悩みに回答|尾石晴さんインタビュー後編

「大人の学び」について、“ワーママはる”こと尾石晴さんにお話を聞くインタビュー。後編では3人のワーママのあるある悩みをピックアップし、はるさんの「学び」の観点から回答をもらうことに。

Voicyの人気パーソナリティーでもあり、リスナーから届くもやもやを得意の「分解思考」で紐解きながら、フィットした回答を導き出すと話題の尾石さん。最近では本(KADOKAWA刊『「やりたいこと」が次々見つかる 自分らしく生きている人の学びの引き出し術』)も出版されましたが、今回はどんなアドバイスが出てくるのでしょう?

お悩み1 毎日が忙し過ぎて「学びたい」気持ちだけが空回り…

Aさんのお悩み

30代の首都圏在住ワーママです。乳幼児の子どもが2人います。毎日仕事と家事・育児に追われる一方でなんとなくこのままではいけない、何かを学んで自分の可能性を広げたいと常々考えています。しかし、具体的には思いつかず、何もできず、気ばかり焦ってもどかしい毎日です。

尾石さんの回答:「何かをやめる」から始めてみる

尾石晴さん(以下 尾石) Aさんの場合、子どもがまだ小さくて手がかかりますよね。きっと忙しすぎるので、何かを新しく学ぶ前に、何かをやめるために学びの意欲を使うのがよいと思います。とにかく余白を作ってリソースを確保することが大切です。

――自身に変化が起きる行動や知識は、どんな小さいことも「学び」と前編で教えてもらいましたね。「やめるために学ぶ」とは、具体的にはどうすればいいでしょうか?

尾石 例えば、仕事や育児に追われてるのなら、何に一番追われているのか、一番自分がストレスを感じていることは何かを書き出してみます。料理、 子供の送迎、通勤。多分、いろいろあると思うんです。

料理が嫌だとしたら、まず料理の何が嫌なのかを掘り下げてみる。買い物が嫌なのか、作るのが嫌なのか、片付けが嫌なのか。「料理が嫌」と一言で言っても、具体的に何が嫌なのかは人によって違うと思うんです。

例えば、洗うのが嫌だったら、 食洗機を取り入れるか、夫にやってもらうか、ワンプレートにして洗い物の量を減らすのかと、解決方法が出てくるじゃないですか。こんなふうに自分のストレスの原因を3つぐらいあげて、それをどうしたら改善できるかに注力すると、次第に余裕が出てくると思うんです。

少し余裕が出てきたら、その時間に本が読みたいなとか、映画が見たいなとか、誰かと話したいなと意欲がわいてきます。余白がうまれるときっと、お子さんがいないときに好きだったことなども、もう1回やりたいなと意欲が戻ってくると思うので、それが新たに何かを学ぶ次のヒントになるんじゃないかなと思います。

お悩み2 あれもこれも飛びつくけど、継続した学びができない…

Bさんのお悩み

40代の都内在住ワーママです。ひとりっ子の子どもは小学校低学年で、一時期と比べると少し自分の時間が取れるようになりました。私はもともと好奇心が強く、SNSやメディアで見て気になったこと(片付け、中受、時短ハック、英語、ダイエット術 etc.)は大概気になって、すぐに飛びついてしまいます。ただ、どれもこれもすぐに飽きては続きません。

尾石さんの回答:メモして1週間は放置してみる

尾石 Bさんは衝動にすごくとらわれやすいタイプなんだと思うんです。これやろうとか、この勉強しようとか、これ買ってみようとか。

――一見「学びの引き出し」(これまでの経験や知恵が詰まったもの:インタビュー前編参照)が豊富な方に見えます。

尾石 ただ、自分の物差しじゃなくて、他人の物差しですすめられてるものに突き動かされてる感じになっているかな。

私のおすすめとしては、 まず1回それをやりたいと思ったときに、スマホでも手帳でもなんでもいいので、メモしてみる。書いて1週間はこれらには手を出さないと決めてみましょう。

例えば、ある調理家電を使ったら時短になるらしいよってSNSで流れてきた、と。買いたいと思ったら、とりあえずメモ。次にダイエットのこの本がめちゃめちゃ売れてるらしいよと同僚に聞いた。これも気になったから、とりあえずメモ。こんなふうにやりたいことは全部書き出します。そして、すぐに行動に起こすのではなく、1週間寝かせてから、もう一度そのメモを見るんです。

時間がたつと冷静になってくるので、これはあのとき気になったけど、やっぱり違ったという項目が複数出てくると思います。するといくつか削除できますよね。まだ残っている項目はさらに自分の1週間のスケジュールを見て、どこに入れ込めるか考えてみるんです。

例えば、購入検討中の調理家電でも、「1日24時間、7日間の中でどこで使うんだ?」と冷静になってみる。すると、どうでしょう。実は宅配のミールキットをよく使っているから、この調理家電を利用するのは1か月に1回あるかどうかかも……と気づくかもしれません。そこで熱が冷めると思います。

こうした作業をすると、最初はやりたいことが5〜6個書いてあっても、最後には1個か2個ぐらいになるので、衝動に動かされてお金や時間を無駄にする機会が減ります。ただ、残ったものはできる限り、やってみましょう。これを繰り返すうちに、自分が本当に好きなものや興味のあることって何? と考え始めるでしょうし、次第に周囲の情報に流されるのではなく、自分の本当にやりたいことが見つかりやすくなると思います。

お悩み3 したいことがあるけど、ハードルを感じて先延ばし…

Cさんのお悩み

30代の地方在住ワーママです。小学3年生と年長の2人の子どもがいます。料理が好きで仕事も調理関係。以前から「SNSで料理について発信したい」と密かに考えていますが、実際はなんとなくハードルが高く感じられて踏み切れません。「いつか仕事が落ち着いたら」「いつか子育てが落ち着いたら」と思っていますが、そのいつかが来ないような気もします。

尾石さんの回答:「なぜ発信したいのか」「ハードルは何か」を見定めて

尾石 Cさんはなぜ料理のことを発信したいのかをまず見極める必要があります。日々の日記にしたいのか、副業にしたいのか、人と繋がりたいのか。「SNSで発信する」と一言で言っても、そこには隠れた目的があるはず。何も目的がないのなら、自分で家で作ったものを写真撮るだけでいいと思うんです。SNSを使って外の世界に出したいってことは、潜在的な自分の目標があるのでは?

私のおすすめとしては、毎日作った料理を撮り、その写真を外に出さなくてもいいので、一言メモをつけていく。「この料理は手軽にできるのに、見た目も華やかでおいしいと家族に好評だったから誰かに見てもらいたい」とか「ママ友が家に来たときに料理を出したら、レシピを聞かれたのが嬉しかったから、こういう話を人ともっと話したいと思った」とか。そこにSNSで料理を発信したいという動機を理解するためのポイントがあると思うので、そのメモを書き貯めていくと、目的が見えやすくなると思います。

あともう1つ。ハードルが高いという部分。これも多くのワーキングマザーは、こういうことがやりたいけどハードル高いとお話されることが多いので、気持ちはわかるんですが、このハードルが何なのかを分解しないといけないんですね。

例えば、時間が取れないのか、料理の写真がうまく撮れないのか、SNSの仕組みがわからないのか、投稿のやり方がわからないのか、文章が書けないのか。自分が難しいと感じていることが何かを書き出して、紐解いていく

そこではっきりと自分でこれがハードルと思うものを見定めたら、学びが発生します。例えば「インスタの仕組みがわからない」だったら、仕組みを知るために、本を買って読んでみようとか。もしくは「うまく文章が作れない」だったら、料理の発信をしてる人の投稿内容を見て、似た感じでちょっと真似して文章を書いてみようとか。自然とそういう気になると思うんです。

Cさんも感じられているように「いつか」という言葉は先延ばしにしているだけ。大人の「いつか」は一生来ません。ただそれは、自分自身をよく知らないところから来ているので、ぼんやりした目的や困難の解像度を上げ、ハードルを飛び越えるために学びの力を使ってください。

(解説:尾石晴、取材・文/江原めぐみ、構成:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

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インタビューでの『大人の「いつか」は一生来ない』刺さる言葉ですね。
本書は、いつか何かを学びたいと思いつつも、何か見つかったら……余裕が出たら……もう少し経ったら……と先延ばししがちな人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。誰もが持っている「学びの引き出し」を知ることで、5年後のあなたはきっと今とは違っているはず!

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