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2023年12月23日 07:07 更新

味噌汁嫌いの息子がおかわりを連呼! おいしさに感動した【加藤ファーム】(埼玉・入間市)の味噌作り体験

いよいよ始まる冬本番。寒くてついつい家にこもってしまいがちですが、この時期だからこそチャレンジできる貴重な体験をしに出かけるのもいいですよね。冬の厳しい寒さを活用した味噌作り体験に、親子で挑戦してみるのはいかが? 今回は、我が家も参加してすっかり魅了された大豆農家【加藤ファーム】の味噌作り体験をご紹介します!

無農薬で丁寧に育てられた大豆で、味噌作り体験ができる【加藤ファーム】

三井アウトレットパーク入間などの大型商業施設が賑わいを見せる一方で、狭山丘陵や加治丘陵、壮大な茶畑など、豊かな自然に恵まれている埼玉県入間市。
そんな入間市で、大豆を中心に、胡麻や菜種、蕎麦などの作物を30年以上にわたり“無農薬”で生産している農園が【加藤ファーム】です。

注目したいのは、SDGsへの取り組みとしても注目が集まる循環型の自然農法で、おいしい大豆を作るための強いこだわりがたくさん。
自然堆肥と冬期間の麦作による土壌改良を行うほか、種まきの時期を遅らせて害虫を防ぐなど、おいしい大豆を作るために手間と愛情を惜しみません。

無農薬栽培で大豆を育てると“手間がかかるうえに収穫量は減る”という問題に直面しますが、それ以上に安心・安全でおいしい大豆を届けたいという強い思いがあるそう。
丁寧に育てた自慢の大豆は、豆腐屋さんに卸したり、手作り味噌にして販売したりしています。

【加藤ファーム】では、自慢の大豆を使った「味噌の仕込み体験教室」を毎年1月~3月に開催。
1年のうちで最も気温の下がるこの時期に仕込む味噌は「寒仕込み」と言われ、ゆっくりと発酵が進み、味わい深い味噌になるのが特徴です。仕込んだ味噌が食べごろになるのは、ひと夏を越し、10カ月ほどたったころ。
20年以上続くこの教室は「手軽においしい味噌が作れる!」と評判で、毎年県内外から多くのリピーターが訪れる人気ぶりとなっています。

加藤ファーム 基本DATA

■所在地:埼玉県入間市二本木1136-1
■TEL:04-2934-4905
■営業時間:9:00~17:00
■定休日:火曜日
■味噌作り体験実施期間:1月~3月(日程はじゃらんの該当HPを参照)
■予約:必要(初めての方は、空き日程が確認しやすく、お土産つきのじゃらんからの申し込みがおすすめ。公式HPからも申し込み可)
■所要時間:3時間
■料⾦
[体験料金]
一家庭1,500円
[手作り味噌料金]
5kg味噌+お土産+保管料 4,800円
※1kg追加ごとに980円
※味噌を入れる桶を当日購入の場合の料金
 5kg用 800円 10kg用 900円
※公式HPで申し込む場合は、体験料金ほか料金設定が異なります。詳しくは公式HPからお問い合わせください。
■アクセス
[電車・バスの場合]
JR八高線「箱根ヶ崎駅」または西武池袋線「入間市駅」からバス利用
[車の場合]
圏央道「入間IC」より車で約7分
■駐⾞場:あり(無料)
■トイレ:あり
■⾷事:近隣の「入間市博物館(ALIT)」に併設レストランあり
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※変更がある場合がありますので、詳しくはHP等でご確認ください。
【公式HP】▶加藤ファーム

親子で初めての味噌仕込み体験! 糀から手作りでき本格的なのが◎

味噌汁嫌いの息子が進んで味噌汁を飲んでくれるようになったら……そんな思いから息子に味噌作りを体験させたいと思っていた筆者。
どうせなら市販品に負けないおいしい味噌が作りたいと思い、こだわりの大豆で味噌作りができる【加藤ファーム】の体験教室に家族で参加することにしました。参加したのは、2023年1月末のことです。

母屋を中心に納屋や作業場などがあり、いわゆる“農家らしい農家”の【加藤ファーム】。

田舎に帰ってきたような、ノスタルジックな光景に心を掴まれるひとときです。

味噌作りの体験場所は、商店街に残る昔ながらの豆腐屋さんのような土間。

風情があって素敵ですよね!

体験に用意するものは、エプロン(できれば割烹着)・三角巾・長靴・タオル・味噌を入れる桶の5点。桶は、体験当日に現地にて購入も可能です。

作業場に入ったら、まず身支度を整えます。

雑菌を持ち込まないように、指先からひじも含めた腕全体を石鹸でしっかり洗いましょう。塩を使う工程があるので、大人は指輪や時計などの貴金属類はあらかじめ外しておいてくださいね。

体験者は我が家の3人以外に、女性2名の1グループ。子連れだと何かと周りに気を遣うので、少人数制というのは嬉しいところです。

公式HPのみそ作り体験流れにも書かれているように、作業工程が午前の部(10時~11時30分)と午後の部(13時30分~15時)の2部構成になっているのが特徴。工程の詳しい説明を受けたら、さっそく午前の部の「糀作り」に取り掛かります。

「ところで、糀って何?」という方のために、先にちょっと説明しておきましょう。糀とは、米・麦・豆などの原料となる穀物に“糀菌”を付着させて発酵させたもの。日本の発酵食品を作るうえで欠かせない存在です。
味噌の主な原料は大豆と塩なのですが、そこに足す糀によって、米味噌・麦味噌・豆味噌などに分けられるんです。
【加藤ファーム】で作るのは米味噌。つまり、これから「米糀」を仕込むというわけです。

さて体験に話を戻しましょう。

米糀の材料となる蒸しあがったお米が、ドサーッと飯台にひっくり返されました。

お米の品種は、埼玉県熊谷産の「酒米(さかまい)」。酒米とは、日本酒にも使われるお米だそうです。

蒸かしたお米をしゃもじで混ぜ、上下をひっくり返しながら蒸気を飛ばします。

酒米ってどんな味がするんだろう? つまみ食いしてみたい!と思ったのですが、食べるにはちょっぴり硬そうです。

お米が硬いのにはちゃんと理由がありました! 米糀に使うお米は、パラっと硬めに蒸かすことが大切だそう。ご飯のように軟らかく炊いてしまうと、米同士がくっついて糀菌が繁殖しにくくなるからです。だから「炊く」のではなく「蒸かす」なんですね。

手で触れるくらいにお米を冷ましたら、粉状の糀菌をまんべんなく振りかけます。この工程は、“糀の種つけ”というそうです。

写真だと分かりづらいのですが、麹菌は緑色をしていましたよ。抹茶の濃いバージョンといった感じでしょうか。

米粒一つ一つに糀菌が行きわたるように、手でもみこんでいきます。

普段は見えない菌の存在を身近に感じられて、なんだかとっても楽しい作業です! 隣で息子もとても楽しそうに取り組んでいます。お米が冷めきってしまうと種つけがうまくいかないそうなので、まだちょっと熱いうちに手早く行うのがポイント。

体験者みんなで力を合わせ、ようやく糀の種つけが完了しました~。

種つけを終えた糀は、木箱に入れて寝かせます。

意外と重労働でしたが、糀から手作りできるなんてなかなか本格的で貴重な体験でした。

給食室にあるような大鍋に入っていたのは、午後の部で使う大豆。

煮るのに時間がかかる乾燥大豆は、糀作りのときからすでに煮始めていたそうです。

うーん、一粒でもいいから食べてみたいと思っていたところに「試食をどうぞ」とお声がけいただいたので、「喜んで!!」といただきました。

自然な甘みでコクがあり、ホクホクした食感がとってもおいしかったです。息子も「おいしい!」とニッコリ。このあと仕込む味噌の味にも期待大です!

と、ここで午前の部は終了。お昼休憩となります。持参したお弁当を母屋の縁側で食べても、近くのレストランに食べに行ってもOK。2時間ほど自由に過ごすことができます。

我が家は、車で3分ほどの入間市博物館の併設レストラン「茶処 一煎」で昼食をとりました。うどんやそば、カレー、子ども用メニューなども用意されているので、家族連れにぴったり。博物館前には広場もあるので、エネルギー発散したいお子さまにもおすすめです。

思わず子どもがお手伝いしたくなる!? 味噌仕込みの最終段階へ

お昼休憩を終えたら、午後の部がスタート。午後は大豆をつぶして、糀と塩を混ぜ、桶に詰めるところまで行います。

大豆は朝から3時間ほど煮込み、火を止めてから余熱で2時間ほど蒸らし、味噌にして粒が残りにくいやわらかさにします。
大人の親指と小指で挟んでつぶれるぐらいが目安。その状態になった大豆がこちらです。

「煮る」だけでなく「蒸らす」製法には、煮汁に溶けだした旨味を大豆が再び吸収してくれるメリットも

自宅で本格的な味噌作りをしようとすると、前日から乾燥大豆を水に浸して、当日は数時間煮込んだり蒸らしたりする必要がありますが、【加藤ファーム】の体験はこれらの工程を全部お任せできちゃうのが嬉しいところです。

蒸らした大豆は、お肉の塊をミンチにする機械「ミンサー」でつぶします。近所の精肉店さんが店じまいをするときに譲り受けて以来、長年使っているのだとか。

ミンサー本体上部の大きなバットのようなところに、大豆をドサーッと入れ……

投入口に少しずつ入れていきます。

投入口の刃で手をケガしないように、木の板を使って入れるのがポイントです。

そして、ご覧ください!

ミンサーに投入した大豆は、まさにひき肉のような糸状になって出てくるんです。

この不思議な光景が楽しいようで、息子も「僕がやる!」と率先して作業を手伝っていました(笑)。

あれ、これってどこかで見たような……と思ったら、色といい形といい、ケーキのモンブランにそっくりでは!?

これまたペロッと味見したくなる誘惑との闘いでした(笑)。

大豆をつぶし終わったら、味噌に入れる「塩」を量って準備します。

塩分量は、常温で保存が効くギリギリのラインの10%。一般的な減塩味噌が8~10%なので、それと同じぐらいの塩分濃度で体にやさしいのも嬉しいですよね。

続いて大きな撹拌機で、仕込んだ米糀、塩、つぶした大豆をしっかり混ぜ合わせます。

機械にお任せなので、混ざる様子をボーっと眺めながらしばし小休止。

しっかり混ざったら大きめの団子状にして……

空気が入らないように、桶の底に投げつけるようにして詰めていきます。空気が残っていると、そこからカビが生えてしまうからです。

この工程、粘土遊びのような、はたまたボール遊びのような感覚でとっても楽しいんです。息子のお手伝い熱も、ますますヒートアップ!

桶に投げ入れた味噌をパンチしながら、隙間ができないようにしっかり敷き詰めていきます。

ここぞとばかりにパンチを連打する息子。エネルギーを持て余した我が家の息子にぴったりの作業です。

空気を抜き終わったら、できるだけ味噌の表面を平らに整えましょう。

これもカビを防ぐ大切なポイントだそう。かなり細かい手作業になるので、ここは手先の器用なパパの出番です。

我が家が仕込んだ味噌は5kg。ちなみに家族2名で5kgが1年間にちょうどの量だそうです。おすそ分けしたい場合や4名以上の家族は、10kgがおすすめ

なんとか表面を整えることができ、最後に振り塩をしたら味噌の仕込みの完了です!

振り返ると、農園の方が仕込んだ味噌が置かれていました。

この毛穴一つない肌のようななめらかさは、まさに職人技ですよね。すごすぎる~!

仕込んだ味噌は、そのまま自宅に持ち帰ってもOKですが、最も発酵が進む夏を越して食べごろとなる秋まで、農園内の最適の環境のもとで保管してもらえます(保管料は体験料金に含む)。
味噌作り初心者の我が家では温度や湿度の管理ができそうもないので、保管をお願いすることにし、味噌が食べごろになったらまた取りに来ることにしました。

味噌の仕込み体験教室は、なんと嬉しいお土産付き。

農園で採れたての新鮮な人参をたくさんいただきました!

食べごろになった味噌を受け取り! 果たしておいしいのか…!?

味噌の仕込み体験教室から約10カ月後。仕込んだ味噌が発酵熟成して食べごろになったとの連絡を受け、再び【加藤ファーム】を訪れました。

味噌の仕込み体験教室の会場は、この建物の1階

果たして味噌はちゃんとできているのかしら…!?  ドキドキしながら、我が家の仕込んだ桶を確認しました。

と、表面にはカビもできていないし、どうやら成功のようです。やったー!! 

持ち帰った味噌はすぐに食べたかったのですが、全体を混ぜて1週間ほど寝かせて、さらに熟成させてから食べるのがおすすめとのこと。

混ぜた味噌からは、日本酒を思わせるフルーティーな香りがふわっと漂っていて、とても新鮮でした。

そして、待つこと1週間。

ついに実食の日がやってきました! 作ったのは、白菜・エリンギ・ネギの味噌汁。
気になるお味はというと……大豆の旨味が凝縮されていてコク深い味わい! 飲んだ瞬間に鼻を突き抜けていく、フルーティーな香りもたまりません。しみじみと味わいたくなるおいしさです。
パパも息子も「うん、これは旨い!」と大絶賛。めずらしく味噌汁を飲み干した息子から、「おかわり」コールまで飛び出しました。

と、ここまではある程度想定内でもありました。
息子は普段食べない野菜や果物でも、収穫体験などでは積極的に食べたということが過去にあったからです。とはいえ、その後も食べ続けるかというと、そうではないことが多かったです。

でも、今回は違っていました! 味噌を受け取ってまだ3週間ほどですが、その間に作った味噌汁は完食。さらにおかわりも頻繁にするようになったんです。これには感動です。
この先また食べなくなることもあり得ますが、息子の味噌汁嫌いの完全克服ができたのであれば、それほど嬉しいことありません。
味噌の栄養価に加えて、野菜もたっぷり摂ることができる味噌汁をもっと積極的に飲んでくれたら……と思っていたので。

太鼓判を押せる味噌なので、じいじ・ばあばにもおすそわけ。

「とってもおいしかったよ~」と喜んでもらえました。

まとめ

味噌の受け取りの際にも、採れたて野菜のお土産をいただきました

子どもと一緒に味噌作りに挑戦してみたいけれど、「味噌の知識ゼロだからうまくできるか不安」という方は、【加藤ファーム】の味噌仕込み体験教室に参加してみてはいかが?

こだわりの大豆を使い、プロ直伝のレシピとノウハウで仕込むので、初心者でもおいしい味噌が作れること間違いなし。田舎に帰ってきたような懐かしい気分に浸りながら体験できるのも魅力ですよ。
開催期間は、毎年1月~3月なのでお見逃しなく!

(文・撮影:あゆーや/アソンデミエータ

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