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2023年12月24日 09:00 更新

【派遣労働者調査】平均時給は1,510円、現在の賃金に満足していない人は約4割

自分のキャリアを生かしたり、自分の都合に合わせて就業できる働き方として派遣労働という選択があります。特に子育て世帯は育児や家事との兼ね合いで派遣労働を選ぶ人も少なくないでしょう。そこで今回は、厚生労働省が実施した「令和4年派遣労働者実態調査の概況」をもとに派遣労働者の実態に迫っていきます。

全国の男女10,978人の派遣労働者を対象に調査

子育て世帯の中には、子育てとの両立のしやすさから派遣社員として働いている人も多いと思われます。生活に合わせた働き方を選びやすいのが派遣労働のメリットですが、一方で、実際に派遣労働をしている人の中には不満を持つ人もいることがわかりました。それは賃金にかかわる不満のようです。具体的にどんな不満なのでしょうか。そこで今回は、厚生労働省が派遣労働者を対象に実施した調査の結果を紹介します。

なお、この調査は全国で派遣労働を行っている男女10,978人を対象に行われ、7,119人から有効回答を得ています。回答者の年齢は「45~49歳」と「50~54歳」がともに15.8%、「35~39歳」が14.0%と、30代後半から50代前半が多くなっています。性別では男性は30代が多い一方、女性は40代から50代前半が多いのが特徴です。

性、年齢階級別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

派遣労働者の平均時給は1,510円

まず、派遣労働者の現在の賃金(※)をみると、「1,250円~1,500円未満」と回答した人が27.8%、「1,000円~1,250円未満」が27.1%となりました。時給1,000円から1,500円の間で働いている人で半数以上を占めています。次いで「1,500円~1,750円未満」が22.0%でした。

また、「平均賃金」は1,510円。さらにこれを性別で見てみると、男性は1,648円、女性は1,400円となりました。男女で200円以上の差があることがわかります。

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(※)基本給、税込みの時間給換算額を指す

賃金(時間給換算額)階級別派遣労働者割合及び平均賃金 (派遣労働者計=100%)
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より
性・派遣の種類、賃金(時間給換算額)階級別派遣労働者割合及び平均賃金
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

賃金に「満足していない」人は38%

現在の賃金について「満足している」と回答した人は41.1%、「満足していない」が38.0%でした。満足している人がやや上回るものの、両者にあまり大きな違いは見られません。さらに、「どちらとも言えない」が19.6%いることも考えると、現在の賃金に満足できていない人は多いと言ってよいでしょう。

ただし、これを男女別にすると違いも見られます。男性は賃金に「満足している」人は30.4%、「満足していない」人が48.2%と満足していない人の方が上回っています。一方の女性は「満足している」が49.9%、「満足していない」人は29.7%と、ほぼ男性と反対の結果になりました。男性の方が女性よりも満足していない人が多い傾向にあるようです。

性・賃金(時間給換算額)階級・派遣の種類、賃金に対する評価、賃金に満足していない理由別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

また、「賃金に満足していない理由」をみると、「派遣先で同一業務を行うほかの派遣労働者より賃金が低いから」が最も多く24.6%、次いで「業務量に見合った賃金ではないから」21.4%となっています。

性・賃金(時間給換算額)階級・派遣の種類、賃金に対する評価、賃金に満足していない理由別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

派遣元への要望、圧倒的1位は「賃金の改善」

現在の賃金に満足できていない人は少なくないということがうかがえるなか、派遣元への要望のトップとしても、賃金の改善が挙げられています。

派遣元への要望があると回答した人は47.8%(男性:47.4%、女性:48.2%)ですが、その人たちに具体的な要望の内容を聞いたところ、「賃金制度を改善してほしい」が最も多く、58.6%と約6割を占める結果となっています。3つまでの複数回答ですが、圧倒的な割合となっており、重視されていることがわかります。

そのほかとしては「継続した仕事を確保してほしい」が29.7%、「派遣先に対して、派遣先での直接雇用に切り替えるよう依頼してほしい」が21.6%という結果でした。

性・派遣の種類、派遣元への要望の有無、要望の内容別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

まとめ

2022年の時点で全国の派遣労働者数は約186万人と言われており、前年比では約10%となっています[*1]。一般に派遣労働はキャリアを生かした仕事を選べたり、勤務地や労働時間などで自分の条件に合った職場を選ぶことができるといったメリットがある一方で、雇用や収入が不安定だというデメリットがあると言われます。今回の調査でも、賃金面で不満や要望を持つ人が少なくないことがわかりました。

調査概要

■令和4年派遣労働者実態調査の概況/厚生労働省
派遣労働者調査:調査対象数 10,978人、有効回答数 7,119人
調査対象:全国の日本標準産業分類に基づく16大産業*にて派遣労働を行っている男女
調査時期:2022年10月13日~11月30日

*日本標準産業分類に基づく次の16大産業(平成25年10月改定) 「鉱業,採石業,砂利採取業」、「建設業」、「製造業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業(その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業を除く。)」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「複合サービス事業」、「サービス業(他に分類されないもの)(外国公務を除く)」

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