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2023年07月30日 07:07 更新

どっちがどっちの手!? ちょっぴりぞわっとする錯覚体験「蟹の錯覚」『からだの錯覚』#3

「からだ」って、そもそも何? 耳たぶが伸びたように見えたり、相手と自分の指が入れ替わったように感じたり……。簡単な「錯覚体験」を通して身体の不思議に迫る1冊、認知科学研究者・小鷹 研理先生『からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界』(講談社)より、親子で楽しめる錯覚体験を紹介。

【試してみたい錯覚体験】蟹の錯覚(オリジナル版)

自分の手と相手の手の区別がつかなくなる遊び

『からだの錯覚』

⓪ A4の紙を半分に折る。

① 交差した両手で紙の裏から持つ。

交差した手の一方が奥に、もう一方が手前となるようにして紙の縁を裏側からつかむ。左右の手がともに、4本指だけが見えている状態となることに注意。

② もう一人も同じく両手を交差させ、前後を互い違いにして持つ。

紙の空いているスペースを、対面する相手と互い違いになるようにして、同じ要領でつかむ。

③ 2人で指をわしゃわしゃしていると、

④ 自分の手と相手の手の区別がつかなくなる!

わしゃわしゃしているのをぼーっと見ていると、自分の手だと思っていたのが実は相手の手だったり、その逆に相手の手だと思っていたのが自分の手だったり、といった具合に、自分と相手の手の区別がつかなくなる。

補足

紙のサイズは大きくても小さくても構わないが、4本の手の距離が近いほど混乱の度合いが高まる。ただ紙をつかんでいるだけで混乱してしまう人もいる。
混乱する感覚がうまくつかめない人は、目を細めて意識的に視覚の解像度を落としてみると、感じがつかみやすい。典型的には、自分の手が左右に並んでいるように錯覚することが多い。

(プロジェクトメンバー:佐藤優太郎・小鷹研理)

書籍『からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界』について

からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界 (ブルーバックス)
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「からだの錯覚」を通して人の身体や脳の実態に迫る、認知科学研究者である著者が、からだに起こる不思議な現象を徹底解説。

自分が感覚としてとらえている自分の体と、実際の体が乖離していることを感じたりすることは、誰にでもあること。また、ケガで体の一部を失ったときにないはずの部分に痛みを感じたり、拒食症の人が実際にはやせているのに自分は太っていると感じていたり――そんな例も聞いたことがあると思います。それ以外でも身近にあまり意識しないところで、ちょっとした錯覚を感じることは、実は多いのです。乗り物酔いも、金縛りも、自分の感覚と意識の不一致のようなことから起こる錯覚の視点から説明できます。こういったことがどうして起こるのか、その謎に迫ってみると、生きるために必要な脳の働きなどが見えてくるのです。心と体が離れる「幽体離脱」も科学的に説明できる現象です。オカルトではなく誰しもリラックスしたりするときに起こることがあり、ここでも脳と体に備わったくみが関係しています。

そのような事例を紹介しながらからだに起こる不思議を解説していく1冊。親子で簡単にできる、簡単な錯覚体験も掲載されています。

科学に興味を持つきっかけとしてもおすすめです。

小鷹研理先生のプロフィール

名古屋市立大学芸術工学研究科准教授。工学博士。
2003年京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院情報学研究科、IAMAS、早稲田大学WABOT-HOUSE研究所を経て、2012年より現職。野島久雄賞(認知科学会)、Best XR Content Award(ACM Siggraph Asia)、世界錯覚コンテスト入賞(2019-2021)など多数受賞。

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