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2023年07月29日 07:07 更新

相手の指をぐりぐりしていると、自分の指・相手の指が入れ替わる!「グラグラスワップ」『からだの錯覚』#2

「からだ」って、そもそも何? 耳たぶが伸びたように見えたり、相手と自分の指が入れ替わったように感じたり……。簡単な「錯覚体験」を通して身体の不思議に迫る1冊、認知科学研究者・小鷹 研理先生『からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界』(講談社)より、親子で楽しめる錯覚体験を紹介。

【試してみたい錯覚体験】グラグラスワップ

自分の指と相手の指が入れ替わる!

『からだの錯覚』

⓪ 2人の左手の人差し指を向かい合わせる。

対面する2人が、内向きにした左手の人差し指を向かい合わせにして、お互いの指の先端がぎりぎり触れないように、机に手を置く。

① 2人同時に、相手の人差し指の第一関節付近をぐりぐり転がす。

空いている方の手の二本指の腹を、相手の人差し指の第一関節付近に押し付け、2人で同時にぐりぐりと前後に転がす。以上を目を閉じて行う。

② 自分の指をぐりぐりしているようなイメージを強く念じる。

(しばらく何も感じられなければ)ぐりぐりしながら、心の中で「相手の指ではなく自分の指をぐりぐりしている」イメージを強く念じてみる。

③ あきらめずに、さらに強く念じてみると、

④( 相手ではなく)自分の指をぐりぐりしているように錯覚する!

ぐりぐりしている指が、相手の指から自分の指へとシュッと瞬間的に移動するように感じられると同時に、自分で自分の指をぐりぐりしているような錯覚に陥る。相手も同じことを感じているかも?

補足

「セルフタッチ錯覚」の仲間。2人が同時に錯覚を体験できる。2人の触圧の強弱をなるべく揃えてあげることがポイント。
メトロノーム等を使って同時にタッピングすることでも同じ錯覚が得られるが(《トントンスワップ》)、指を押し付けぐりぐりさせるこの方法では、無理なく2 人のリズムを合わせることができるのでおすすめ。人によっては、人差し指が長くなる感覚を強く覚える。

(プロジェクトメンバー:佐藤優太郎・小鷹研理)

書籍『からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界』について

からだの錯覚 脳と感覚が作り出す不思議な世界 (ブルーバックス)
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(2023/4/13時点)

「からだの錯覚」を通して人の身体や脳の実態に迫る、認知科学研究者である著者が、からだに起こる不思議な現象を徹底解説。

自分が感覚としてとらえている自分の体と、実際の体が乖離していることを感じたりすることは、誰にでもあること。また、ケガで体の一部を失ったときにないはずの部分に痛みを感じたり、拒食症の人が実際にはやせているのに自分は太っていると感じていたり――そんな例も聞いたことがあると思います。それ以外でも身近にあまり意識しないところで、ちょっとした錯覚を感じることは、実は多いのです。乗り物酔いも、金縛りも、自分の感覚と意識の不一致のようなことから起こる錯覚の視点から説明できます。こういったことがどうして起こるのか、その謎に迫ってみると、生きるために必要な脳の働きなどが見えてくるのです。心と体が離れる「幽体離脱」も科学的に説明できる現象です。オカルトではなく誰しもリラックスしたりするときに起こることがあり、ここでも脳と体に備わったくみが関係しています。

そのような事例を紹介しながらからだに起こる不思議を解説していく1冊。親子で簡単にできる、簡単な錯覚体験も掲載されています。

科学に興味を持つきっかけとしてもおすすめです。

小鷹研理先生のプロフィール

名古屋市立大学芸術工学研究科准教授。工学博士。
2003年京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院情報学研究科、IAMAS、早稲田大学WABOT-HOUSE研究所を経て、2012年より現職。野島久雄賞(認知科学会)、Best XR Content Award(ACM Siggraph Asia)、世界錯覚コンテスト入賞(2019-2021)など多数受賞。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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