小学5年生の女子が、家のものを隠れて食べ、隠す。親が言っても伝わらず…<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、娘の間食についてのお悩みです。「体にも悪いのでやめて欲しいのですが、伝わらずに困っています」というその訳は……。
勝手に家のものを食べる小5の娘。どうすれば…
小学5年生の娘が、家にひとりでいる時に色々なものを食べてしまいます。お菓子や、梅干し、のりなど、食べる前に聞いて欲しいと言っても勝手に食べてしまい、それを隠します。体にも悪いのでやめて欲しいのですが、伝わらずに困っています。
(44歳・女性・団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
お困り度:★★★★★★★★★★
5年生の娘さんが色々なものを食べてしまうとのこと、確かに食べ過ぎは体に悪いですし、ご心配なことと思います。
このような食行動が見られるようになったのはいつ頃からなのでしょう? 何かきっかけのようなものがあったのでしょうか。家にひとりでいる時に食べてしまうということは、他に誰か家族や友達がいるときは勝手に食べてしまうことはないのでしょうか? ひとりで食べた日も、食事はきちんととれているのでしょうか?
勝手に食べてしまってそれを隠すということは、娘さんご自身も本当は食べたくない、食べるのは良くないと思っているのに、どうしてもやめられないのでしょうか。それとも、ご本人は特に問題を感じていないけれど、怒られないようにするために隠すのでしょうか。
こういった状況や娘さんのお気持ちなどによって、望ましい対応は変わってくるかと思います。まずは、娘さんが食べたくなる時の気持ちや、食べないようにしようと思うとどうなってしまうのかを、どんな答えが返ってきても責めたり叱ったりしないよう心掛けて聞いてあげると良いように思います。
どのようなケースにも共通して言えることとして、まず娘さんの健康に問題がないかを確認する必要があります。急激な体重の増減や体調不良はなさそうでしょうか。近い時期に学校検診(尿検査や内科検診など)があれば、その結果も参考になりそうですね。健康上の問題や不安があるようなら、受診をおすすめします。
今のところは大丈夫そうでも、お菓子・梅干し・のりなど塩分が高いものも食べているようなので、塩分の過剰摂取は高血圧や腎臓病のリスクが高まる等、食べ過ぎが続くと具体的にどんな問題が出てくるかをお話すると良いかと思います。必要かつ適度な栄養バランスについても一緒に調べて学ぶことができると、もっといいですね。
健康面だけでなく、勝手に食べられてしまうと、その食材が必要なときに無くなっていて困るというような事情もあるならば、それもお伝えして、そういう理由で事前に聞いてほしいのだということを改めてお話してみてはいかがでしょうか。
また、食に関する行動には心理的な要因が関わることも少なくないので、娘さんが何らかのストレスやプレッシャーなどを抱えていないか、様子を見たりお話を聞いたりすることも大切な対応のひとつです。
食べることは本来、生命の維持のためだけでなく、おいしさや楽しみを味わえる人生の喜びでもあります。それを娘さんが忘れてしまわないよう、隠れて食べる行動を否定的に捉えるよりは、一緒にどうしたらいいか考えていこうという姿勢で向き合っていかれるといいと思います。
(文:臨床心理士 たかだちかこ/うららか相談室)