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2023年07月01日 09:00 更新

中高年のひきこもりは高齢になるほど増える傾向、年金で生計を立てている人が56%と過半数に上る

ニュースなどでもしばしば話題に上がる「ひきこもり」ですが、実は40歳以上の中高年層のひきこもりも多いことがわかっています。こうした中高年層のひきこもりの人たちはどのような生活を送っているのでしょうか? 今回は、内閣府が実施した「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年版)」をもとに、その実態を探っていきます。

40~69歳のひきこもりの実態

内閣府が全国の10歳~39歳の男女20,000人、および40~69歳の男女10,000人を対象に実施した「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」というものがあります。このうち、ひきこもりの状況に関する項目から、40~69歳を対象にした調査結果に着目してご紹介します。

調査におけるひきこもりの定義

今回の調査ではひきこもりを「準ひきこもり」と「狭義のひきこもり」に分けており、これら2つを合わせたものを「広義のひきこもり」と定義しています。

<準ひきこもり>
✅普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する。
<狭義のひきこもり>
✅普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける。
✅自室からは出るが、家からは出ない。
✅自室からほとんど出ない。
※上記のような状態になって6ヶ月以上、かつ、病気などを理由としない

高齢になるほど多い傾向

「広義のひきこもり群」に該当する人を性別で見てみると男性が59.4%、女性が40.6%でした。年齢で見てみると、最も多いのが「65歳~69歳」で44.5%を占めています。次いで「60歳~64歳」20.0%、「55歳~59歳」12.9%。高齢になる方が割合が高くなっていることがわかります。

「65歳~69歳」で特に割合が高くなっているのは、定年退職後に周囲の人や社会との繋がりが希薄となり、徐々に家から出る機会が少なくなってしまうといったケースが含まれるからかもしれません。

「配偶者あり」は50%強

次に「広義のひきこもり群」に含まれる人の婚姻状況を見てみると、「配偶者あり」が53.5%、「未婚」が27.1%、「配偶者と離別(離婚)」が9.3%などとなっています。一方、「広義のひきこもり群以外」、つまり、ひきこもりではない人の回答をみると、「配偶者あり」が73.6%、「未婚」が13.2%、「離婚」が9.2%。したがって「広義のひきこもり群」の人の方が、結婚している割合が低いことがわかります。

また、同居者の有無については、「当人の配偶者」が52.3%、「当人の子」が25.2%、「同居している人はいない」が25.8%でした。

「年金」で生計を立てている人が56.8%

では、生活状況はどのようになっているのでしょうか。「主に生計を支えている人」は誰かという質問に対し、「自分自身」(54.8%)が最も多く、次いで「当人の配偶者」(29.7%)という結果でした。この結果を不思議に思う人もいるかもしれません。しかし、次に見る「主に生計を支えている人の主な収入源」の回答結果で疑問が解消するでしょう。最も多い回答は「年金」で56.8%を占め、「就労、事業による収入」は21.9%でした。自分で生計を立てているという人の中には、定年退職後にひきこもりとなったため、自身の年金などで生活費を賄うことができているケースなどもあるのでしょう。

「暮らし向き」を聞いた設問では、「中の下」を回答した人が最も多く34.8%でした。次いで「中の中」(33.5%)、「下」(25.2%)となっています。このうち、ひきこもりでない人の回答と開きが大きかったのは「下」です。ひきこもりでない人で「下」と回答したのは7.6%なので、17ポイント以上の差が表れています。「広義のひきこもり群」に該当する人の方が自身の暮らし向きをより厳しく感じているといえるでしょう。

専業主婦・主夫は18.1%

現在の仕事を尋ねた設問では、「無職(仕事を探していない)」が59.4%で最も多いですが、次いで「専業主婦・主夫」も18.1%と2割近くに及んでいます。ひきこもりになる背景にはさまざまな事情が考えられるため一概には言えませんが、結婚して専業主婦・主夫になった人が、何かのきっかけでひきこもりとなったケースもあるのかもしれません。

なお、就業経験の有無については「現在は就業していないが、過去に就業経験がある」と回答した人が90.3%に上っています。

まとめ

40~69歳のひきこもりの状況を見てみると、高齢者になるほど、ひきこもりの割合が多く、年金生活の人も少なくないことがわかりました。そのなかには、定年までは働いて退職後にひきこもりとなったケースなどもあるでしょう。また、半数以上が結婚しており、専業主婦・主夫のひきこもりも一定数いるようです。若い頃にひきこもりとなり、独身のまま親元で年を取っていくというケースばかりでなく、独立や結婚を経て中年以降にひきこもりとなるケースもあると考えられます。自分の親や自分自身、配偶者がひきこもりにならないとも限りません。多くの人が関心を寄せて考えることが大切でしょう。

(マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

調査概要

■こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年版)
調査地域:全国
調査対象:
①令和4年4月1日現在、10歳~39歳の男女 20,000 人
②令和4年4月1日現在、40歳~69歳の男女 10,000 人
調査時期:令和4年11月10日から25日まで
有効回答数:
10~14歳:1,520
15~39歳:7,035
40~69歳:5,214

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