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2018年12月06日 15:08 更新

学資保険の満期受け取り時期はいつがベスト?受取人や税金などを解説

何かとお金のかかる子育て。学資保険で教育資金の準備をしているご家庭は多いかと思いますが、満期金の受け取り時期はどんな時期にしている方が多いのでしょうか。今回は気になる学資保険の受け取り時期について解説していきます。

学資保険の加入率について

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将来の教育資金準備のために、多くのご家庭が利用している学資保険。ソニー生命の「子供の教育資金と学資保険に関する調査」によると、子供のいる世帯で学資保険に加入している率は約4割半です。

また同調査で親が大学進学等の費用を準備する理由として、「親の義務だと思う」が6割、「色々な選択肢を与えてあげたい」が5割弱となっています。

金銭的な理由で、子供の可能性を狭めたくなくないと思っている人が多いということですね。

●ソニー生命保険株式会社ホームページ「ニュースリリース(平成29年度)子供の教育資金に関する調査2018」【大学等のための教育資金準備】
https://www.sonylife.co.jp/company/news/29/nr_180125.html

子供の教育費で一番お金がかかる時期は?

中学生までは児童手当が出ること、高校の授業料は無償化されていることなどから、もっともお金がかかるのはやはり大学入学前後と言えるでしょう。

受験費用の目安

大学入学時は、入学金の他にも受験費用がかさむ傾向にあります。塾や模試のほか、受験費用もかかります。受験する大学の数、遠方の大学を受験するかどうかで費用のかかり方が異なってきます。どのくらいの費用がかかるか、実際にみてみましょう。

《塾の費用》
夏期講習・冬季講習などの費用も含めて、約30万円〜100万円が相場といえるでしょう。最近では塾や家庭教師といった従来の勉強法の他に、インターネット上で大学受験勉強ができるサービスなども増えています。学費とは別にかかる費用ですので、目安を決めて出費をコントロールする必要がありそうです。

《大学の受験費用》
・センター試験
3教科以上で18,000円
2教科以下で12,000円

・国公立大学の2次試験
1校平均17,000 円

・私立大学の一般入試
1校平均35,000円程度

《大学受験でかかる様々な雑費》
・受験地までの交通費
・遠方での受験の場合は宿泊費

※受験に保護者がついていく場合は保護者の分の交通費と宿泊費がかかります。遠方で特に女子の場合は、受験地に母親がついていくケースが一般的。親は学割が効きませんので、2倍以上かかることになります。

大学進学にかかる費用の目安

日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」によると、大学昼間部での授業料や学校納付金、課外活動費、通学費などを合計した学費だけでも、国立・公立で約64~66万円、私立で約136万円となっています。その他、生活費などを含めると国立・公立で約140~150万円、私立で約200万円という費用が年間でかかってくることになります。

●日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」P5
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2018/06/01/data16_all.pdf

下宿の費用も想定に入れて

自宅から通学するよりも、アパート等に住んで通学するケースはさらにお金がかかります。日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」によると、自宅外通学の場合の生活費は53万円高くなることがわかっています。

特に国立大学に入学する生徒の約7割が学生寮や下宿、アパートなど自宅外通学となる現状があるようです。

国立大学は私立大学に比べて学費自体は安いですが、生活費全体で見ると私立大学と数十万円しか差が出ないというのは意外ではないでしょうか。

●日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」P6
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2018/06/01/data16_all.pdf

学資保険の満期金は何歳に設定するのがいいのか

〈大学入学に合わせる場合は17歳or18歳〉

大学入学の時期には、入学金や授業料のほか、自宅外通学をする場合には住居の準備にも多くの費用がかかります。そのため、18歳を満期にするのがこれまでの一般的なケースでした。

最近では推薦・AO入試に合わせて17歳を満期にするケースも増えてきています。また秋・冬生まれの子供の場合、通常の18歳満期にすると満期金が必要な時期に受け取れない可能性もあるため17歳満期や、18歳満期の出生前加入を検討する必要があるでしょう。

受け取り時期を適当に決めてしまうと、必要な時期に教育資金が受け取れない可能性があります。遅いよりは早めに受け取れる方が安心だと思いますので、具体的にイメージしてみることが重要です。

〈祝い金の活用も検討〉

小学校・中学・高校受験なども考えているのであれば、段階的に祝い金として受け取れるプランも安心です。祝い金を受け取れる設定しておいて、受け取るかどうかは後から決めることもできます。

祝い金が出るタイプを選んだけれど、実際、その時になってみたら必要なかったという場合は、「据え置き」という制度を利用することができます。据え置くとその分利息が追加されていくので、受け取り時には当初より少し増えることになります。そのため、祝い金を受け取るかどうかは、その時の家計の状況に合わせて決めるとよいでしょう。祝い金を受け取った場合、もっとも費用がかかるとされる、大学入学の際の受取金はその分少なくなってしまうため、別途お金を準備しておく必要がありそうです。

また、祝い金を設定する場合、一括の満期金で受け取るよりも返戻率は下がるためその点は注意してください。そもそも、小・中・高で受験をしてまで私立に入れる家計なのかどうかは、見極めが必要ですね。

〈学資保険を掛け持ち、それ以外の方法も検討〉

満期時期を変えて学資保険にいくつか入る手もあります。学資保険は必ず1人の子供に対して、1つだけとは限りません。例えば、100万円を満期金額とした学資保険に2つ入り、それぞれ満期時期を18歳、20歳と変えるのも手です。

最近では学資保険の代わりに終身保険などを利用するケースもあるようです。当然ですが、学資保険だけですと中途解約のリスクがあるので、預貯金の準備も忘れずに。

その他、留学資金や大学院、起業の費用など選択肢を広げるための資金には収益性のあるNISAなどの投資を活用してみてはいかがでしょうか。

教育資金は確実に確保しつつ、将来教育費が値上がりした時に備えていくらかは増やしたいものです。学資保険だけでは、教育資金を大きく増やすことはできません。かといって投資だけでも、運用次第で必要な教育資金を貯められない可能性があるからです。併用という方法であれば、安全性と収益性の両立も不可能ではありません。

学資保険に入る時のチェックポイント

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満期金の受け取り時期について目安がついたら、今度は早速学資保険に入る時のチェックポイントについて確認していきましょう。

祝い金の設定も考えながら満期の金額を設定

祝い金とは保険会社が契約者にボーナス的にくれるものではありません。通常満期まで手をつけることができないお金の一部を、分割して、段階的に受け取ることができるのが祝い金です。

考え方は人それぞれで、大学入学時にすべて受け取りたいという人もいれば、在学中の1年ごとに受け取りたいという人もいるでしょう。受け取る回数が多ければそれだけ一度に受け取る金額は少なくなってしまうので、どの時期にどれくらい必要かよく考え、満期の時期と受取金の時期を設定する必要があります。

契約者・被保険者・受取人について

学資保険は親、もしくは祖父母などが契約者で、子供が被保険者となります。受取人は契約者の場合が多いですが、祖父母が契約者で受取人が親のどちらか、または父親が契約者で受取人が母親というケースもあります。
実は、受取人と契約者が異なる場合税金面で注意しなければならないポイントがあります。受取人と契約者が同じ場合は、税金は所得税となるのですが、契約者と受取人が異なる場合は贈与税となります。
受取金額が110万円を超えると、契約者と受取人が異なる場合は贈与税がかかってしまいます。祖父母が契約者で受取人が親の場合は注意しましょう。可能であれば、契約者と受取人を同一にしておくのがよいですね。

●国税庁ホームページ「No.4402 贈与税がかかる場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm

受取人は子供にすることはできる?

受取人を子供に設定することも可能ですが、上記の理由から、便宜上、契約者と受取人は同一人物にしておいた方がよいですね。

満期金額の受け取りで注意すべきポイント

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上記にも少し書きましたが、実は保険金を受け取る場合には、税金がかかることがあります。

満期金と祝い金を受け取る際の税金について

満期受取額が一定額を超えた場合、受け取り時には所得税がかかるので注意が必要です。自分が払ったお金なのに受け取るときに税金がかかる、なんとも理不尽に感じてしまう話ですが、理解しておかなればいけません。でも、所得税がかかるケースはそれほど多くないのでご安心を。所得税の計算方法は下記になります。

・受取金額−払い込み金額−特別控除額50万円=一時所得
・一時所得×1/2=課税対象

例えば、払い込み金額が総額180万円、受取金額が200万のプランの場合を見てみましょう。

200万−180万−50万=△30万

この場合、マイナス30万になるため、課税対象になりません。これが払い込み金額と受け取り金額の差額が50万以上ある場合、一時所得があったとして確定申告をする必要があります。満期受取額が大きければ大きいほど、受け取りの際には税金がかかる可能性を考えておきましょう。

契約者が死亡・高度障害状態になった場合の保険料と受取人について

もし契約者が死亡、または高度障害状態になった場合、以降の保険料の払い込みは免除され、満期金を受け取ることができます。契約者が死亡した場合の受取人については、配偶者にするのが一般的ですが、シングルマザー、シングルファザーなどひとり親家庭の場合は子供にしておくと良いでしょう。

まとめ

実は、子供の教育方針と大きな関わりのある学資保険の満期受け取り時期。妊娠中から「将来はこんな風に育てたいね」と夫婦で意見を擦り合わせ、産後はスムーズに教育費の積み立てに入れると良いですね。いくらお金がかかるかわからないという漠然とした不安を解消するためにも、事前のシミュレーションが何よりも大切です。

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