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2021年01月09日 14:39 更新

【医師監修】ロタウイルスの予防接種について。スケジュールや効果、費用など

1ヶ月健診を無事終えると、医師から予防接種について説明を受けることが多いかと思います。その際、「こんなにたくさん受けるの?」とその数の多さに驚くママも少なくないようです。今回はその中でもロタウイルスの予防接種について気になる点をまとめました。

ロタウイルスってどんな病気?

予防接種をせずにロタウイルスが心配で赤ちゃんの熱を確認するママ
Lazy dummy

※画像はイメージです

ロタウイルスって何?

ロタウイルスとは感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの1つ。乳幼児が、特に初めて感染したときに下痢や嘔吐の激しい症状が出ることが多く、中には入院を要するケースも少なくありません。

例年、冬~春先にかけて流行しやすく、生後6ヶ月~2歳児に多く感染します。また感染力が強く、わずかなウイルスが体内に入るだけで感染してしまうのも特徴です。

ロタウイルスの感染について

ロタウイルスに感染すると2~4日程度の潜伏期間を経て発症し、激しい下痢や嘔吐、高熱などが引き起こされます。下痢や嘔吐により脱水症状にも陥りやすく、注意が必要です。

また、ロタウイルスに感染すると便が水っぽく色も白色になり、そのような便が1日に何度も出ることがあります。通常であれば1~2週間程度で症状は治まりますが、まれにけいれんや脳炎、肝機能異常といった合併症を引き起こし、最悪の場合は後遺症を残す可能性もあります。

赤ちゃんのロタウイルスは要注意!

赤ちゃんがロタウイルスに感染した場合は、上記のように重症化しないよう注意が必要です。ロタウイルスの感染の症状が見られたら自己判断の治療は避け、速やかに小児科を受診し医師の指示に従いましょう。

現時点で、ロタウイルスに効果を発揮する抗ウイルス薬はないため、診療の基本は対症療法となります。脱水症状を防ぐため水分・栄養補給を行い、万が一脱水症状を起こした場合は、点滴もしくは経口補液(口から電解質溶液を与えること)などを行います。

受けるべき?ロタウイルスの予防接種

予防接種は受けたほうが良いの?

予防接種には国民が受けるように勧奨された勧奨接種(のうち定期接種)と希望者に対して行われる任意接種の2種類があります。国が接種することを勧めて、決められた期間内であれば無料(※1)で受けられる定期接種に対して、ロタウイルスのワクチンは任意接種の予防接種です。

そのため、ロタウイルスの予防接種には費用がかかりますが(※2)、任意接種だからといって必ずしも医学的に重要度が低いわけではありません。

ロタウイルスは、5歳までの子供はほとんど一度は感染することがあると考えられていますが、ロタウイルスワクチンを接種することで、感染した際に症状が悪化し、重症化を防ぐことが可能と考えられています。接種時期を逃さないように、ママ・パパでワクチン接種の必要性を検討しておきましょう。

(※1)一部有料の場合もあります。お住まいの自治体にお問い合わせください。
(※2)任意接種のワクチンに関しても公費助成制度がある場合があります。お住まいの自治体にお問い合わせください。

ロタウイルスのワクチンってどんなもの?

ロタウイルスのワクチンはロタウイルスを弱毒化したものです。注射で接種するではなく、口に入れて飲むタイプ(内用液)のものです。

間隔や回数は? スケジュールの立て方

ロタウイルスワクチンは、「1価経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン」と「5価経口弱毒生ヒト-ウシロタウイルスワクチン」の2種類があり、それぞれで成分や接種回数が異なります。

1価経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンは生後6~24週の間に2回接種する必要があります。

5価経口弱毒生ヒト-ウシロタウイルスワクチンは生後6~32週の間に3回接種する必要があります。

2種類とも、初回は生後15週未満までにワクチンを接種することが推奨されており、2回目以降は4週以上の間隔を空けることになっています。詳細なスケジュールに関しては、かかりつけの医師と相談しましょう。

接種時の注意点について

お住まいの自治体から配布された書類(※)やホームページに、予防接種に関する情報(スケジュール・接種場所など)が表記されていますので、事前に確認しておきましょう。

予防接種当日は赤ちゃんの体温や食欲など体調が平常であることを確認し、授乳は少なくとも予防接種の30分前までに済ませておきましょう。体温が37.5度以上あるときは予防接種が受けられないので注意が必要です。

接種前の注意事項に関して細かいことが気になる方は、病院に予約を取る際に確認してみましょう。

(※)配布状況に関しては各自治体にお問い合わせください

ロタウイルスの予防接種の費用

予防接種の費用は?

ロタウイルスのワクチンは前述した通り、任意接種で自由診療のため、地域や病院によって費用が異なります。気になる方は事前に病院に電話で確認しておきましょう。

1回当たりの費用は1万円前後といわれています。自治体によってワクチン接種費用を一部助成するところもあり、その助成費用はそれぞれ異なります。事前にホームページなどで確認することをおすすめします。

ロタウイルスの予防接種後の注意

外出や入浴など日常生活での注意点

ロタウイルスのワクチンを接種した後、まれに重いアレルギー反応が出ることがあります。接種後30分間は医師に連絡できる状態で待機しておくことをお勧めします。

帰宅後は外出をなるべく控えるか最低限にし、いつも以上に興奮することがないように経過を見守るようにしてください。また、入浴なども副反応(副作用)を見るために1~2時間は接種から時間を空けるようにしましょう。

副反応(副作用)は?

ロタウイルスのワクチン接種後、赤ちゃんによっては副反応が出るケースがあります。主に見られる副反応としては下痢、嘔吐などです。

特に初めて予防接種を受けたママにとって、突然の副反応に戸惑い不安を感じてしまいますが、どれも軽症で心配いらないものがほとんどです。3日以上経過しても体調が良くならない場合は小児科を受診しましょう。

腸重積にも注意

ワクチンを接種した後の反応で、注意が必要なケースも存在します。赤ちゃんが「激しく泣く」「機嫌が良かったり悪かったりする」「顔色が悪い」「繰り返し嘔吐している」「いちごジャムのような血便が出る」「お腹の張りがひどい」と言った反応が見られた場合、腸重積(ちょうじゅうせき)の状態である可能性があります。

腸重積とはその名の通り腸が重なってしまっている病気。このような反応がみられた際は自宅で経過観察をせず、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

ワクチンによる二次感染はある?

ワクチン接種後、1週間程度はワクチン接種した乳児の便や嘔吐物などからウイルスが排泄されます。2次感染として広がるケースは極めて低いと考えられていますが、念のためおむつ交換時には使い捨てゴム手袋などを使用し、処理後は必ず手洗いを徹底するよう心掛けてください。

まとめ

ロタウイルスは感染力が強く、感染すると重症化するケースも少なくないため、任意接種とはいえども赤ちゃんにとっては大切な予防接種の1つです。

乳児期は受けるべき予防接種の種類が多く、スケジュール調整も一苦労ですが、スケジュール管理アプリや病院で配布されている専用のスケジュール帳などを活用して、ぜひ積極的にワクチン接種を検討してみてくださいね。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.06.25)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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