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2022年07月20日 11:50 更新

管理職の働き方に課題。女性管理職率引き上げの動きの反面、半数以上が管理職を希望しない理由

総合転職エージェントのワークポートはこのほど、働く女性130人(20代~40代)を対象に「女性活躍推進と仕事の価値観」に関するアンケート調査を実施しました。

「女性が活躍できる職場は魅力的か」

働く女性たちは、女性活躍推進や自身のキャリアをどう思っている?

今年4月、「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現」を目的とした女性活躍推進法が改正され、これまで以上に女性管理職の比率をあげ、職場の環境整備を進めていく動きが強まっています。

先日の参院選では女性の当選者が過去最多となるなど、あらゆる場面で女性の活躍が目立っていますが、当事者である働く女性たちは、女性活躍推進や自身のキャリアに関してどんな価値観を持っているのでしょうか。

93.8%が、「女性が活躍できる職場は魅力的」と回答

まず、働く女性が「女性活躍推進」に関してどんなイメージを抱いているのかを知るために、対象者全員に女性が活躍できる職場は魅力的か聞いたところ、「とても魅力的」が63.8%、「やや魅力的」が30.0%と、「魅力的だ」と回答した人が93.8%に上りました。

「魅力的だ」と回答した理由では、「有能な女性がしっかり長く働け、給与面での心配がなくなるから」(40代・システムエンジニア)、「子供ができたときに仕事も両立できるため」(30代・企画)などの意見が挙がり、「女性が活躍できる=ライフイベントが発生しても長期的に働きやすいイメージ」を抱く人が多いことがわかりました。

また、「意見を言いやすい雰囲気があるから」(40代・製造)、「女性であることに負い目を感じることがないのは良い環境だから」(40代・保守運用)など、男女差別がなく働く一員として安心して意見を言いやすくなるという声も挙がりました。

ほかにも、「女性だからとキャリアアップを諦める必要がないのは女性にとって自信に繋がると思うから」(40代・企画)、「自分にもチャンスがあり、実績をあげれば評価されると思うから」(40代・事務)など、女性活躍推進の環境は働くうえでのモチベーションアップにも繋がるようです。

さらに、「女性活躍の職場と全面に押し出す会社であれば、女性だけではなく、男性も子育てや介護に協力できる環境が考えられるのではないかと思うため」(40代・企画)、「性別に関係なく社員が活躍できる環境は魅力的で、女性が活躍する職場は社員を大切にしていると思えるため」(40代・管理系)など、女性が活躍できるということは、男女問わず誰にとっても働きやすいのではないかという意見も挙がりました。

働くにあたって、女性であるがゆえに不当な扱いを受けないか、妊娠・出産などライフイベントが発生してもキャリアを諦めずに働けるかなど、働き方に不安を感じることは少なくありません。それらの不安を解消する女性活躍推進に積極的に取り組んでいる企業では長期的に働ける印象が強いため、より魅力的に映るのではないでしょうか。

「管理職につきたくない」回答が半数超

女性活躍推進を歓迎する一方で、昇進して管理職になりたいかどうかはまた別の問題です。そこにはまだ大きな課題が横たわっていました。

女性活躍を示す数値として扱われる女性管理職比率。回答者自身は管理職についているのか、ついていない場合、今後のキャリアの中で目指しているのかを調べました。

まず、対象者全員に現在管理職についているか聞いたところ、大多数を占める83.1%が「管理職についていない」と回答しました。

「管理職についていない」と回答した人にこれから管理職につきたいと思うか聞いたところ、「管理職につきたくない」という回答が56.5%と、半数を超えました。

管理職につきたくない理由を一部抜粋します。

「管理職になると残業が増えそうだから」(20代・医療)
「ワークライフバランスを崩したくないから」(30代・化学系エンジニア)
「業務量を考えると、家庭との両立が難しいと感じるため」(40代・事務)
「女性管理職がいても独身者が多く、家庭と仕事の両立ができるイメージが湧かないから」(40代・事務)
「専門職のため、技術を伸ばしたいから」(30代・クリエイター)


今回の調査結果では管理職を希望しない理由のほとんどが、管理職の業務量の多さから仕事の負担が増えることで、プライベートや家庭との両立が難しくなることを懸念するもので、現状の管理職の働き方にも課題があることが浮き彫りになりました。

働く女性たちが企業に求めること

女性活躍推進には魅力を感じつつも、女性管理職を目指すには気が引けるという働く女性の本音がわかりました。では、企業にはどんな対応を求めているのでしょうか。

対象者全員に、女性活躍推進の取り組みで会社に希望することは何か聞いたところ、性別問わず正当な評価を望むという意見が多く挙がりました。また、女性であっても理想のキャリアが叶う制度を期待するという意見もありました。

「男女に関係ない明確な評価制度及び報酬、子育て世代や子育てシングルに対する配慮」(40代・コールセンター)
「性別でレッテル貼りをせずに本人の希望を汲んでほしい」(30代・管理系)
「女性管理職のキャリアプランの形成」(20代・製造)
「残業への考慮や出産などで休職しても昇給する仕組み」(20代・機械系エンジニア)


家庭と仕事の両立がしやすいよう、時短勤務、リモートワーク、休業などの制度の充実を希望する声もあります。

「時短勤務者でも裁量の大きい仕事ができる環境作り、意識改革」(30代・事務)
「残業時間の短縮、男性の育休取得推進」(20代・企画)


ただし、「産休育休の制度は良いが、独身や子離れ、子なしの人にしわ寄せがいくので人員補充をして一人当たりの仕事の負荷を考えるべき」(30代・企画)という意見もあり、出産・育児をする人に限らず、すべての人が納得して働けるシステムが必要だとする声もありました。

そして、「女性活躍を女性だけの問題のように考えないでほしい」(40代・管理系)と、女性活躍推進のためには男女問わず課題に向き合う必要があることを訴える意見もありました。

女性活躍推進のために希望する取り組み(一部抜粋)

・「共有協業など担当者ありきではなく誰もが有事に見舞われたときにサポートできる環境作り」(30代・営業)
・「表面だけではなく実際に女性を活用してほしい」(40代・管理系)
・「偏見のない職場作りやハラスメントへの厳正な対処」(40代・システムエンジニア) など

「『女性は結婚・出産があるから』と言われて出世できなかった」

同調査では、現在の勤務先(離職中の人は直近の勤務先)で女性であるがゆえに不利だと感じたことがあるかという設問もありましたが、「不利だと感じたことがある」が半数以上の53.1%を占めました。

女性であることが仕事に不利だと感じるのはどんなときでしょうか。回答を一部抜粋します。

「男性社員同士(上司と部下)の方が話がしやすい雰囲気があり、新しい案件の話がきても情報が流れてこないとき」(40代・企画)
「発言権がなく、言いなりに業務をこなすしかできないとき」(30代・事務)
「男性社員と同じ成績だったが、女性は結婚・出産があるからとの理由で出世できなかったとき」(20代・事務)
「結婚・出産にあたり、女性だからすぐやめる、フルタイム稼働できないことを理由に、高度な案件やポジションを見送られたとき」(30代・営業)
「客先対応で女性だからと軽視されたとき」(40代・システムエンジニア)
「女性だからできないだろうという固定観念にとらわれた人と仕事をするとき」(40代・コールセンター)
「事務作業を暗黙の了解で押し付けられたとき」(40代・製造)

女性が本当に活躍できる職場とは?

働く女性は、女性が活躍できる職場に身を置きつつも、自分自身が管理職を希望するかと聞かれると敬遠してしまう人が多く、その理由として管理職の働き方に課題があることがわかりました。政府や企業は女性管理職の積極登用を掲げることで、女性活躍を推進しようとしていますが、当事者である働く女性との間にはギャップが生じているようです。

真の女性活躍推進には、働く女性がキャリアを諦める理由に耳を傾けたうえで、求められる対応を一つひとつ丁寧に検討していく必要があるのではないでしょうか。

調査概要

調査内容 :女性活躍推進と仕事の価値観
調査機関 :自社調査
調査対象 :当社を利用している全国のビジネスパーソン (20代~40代・女)
有効回答 :130人
調査期間 :2022年4月19日~4月26日
調査方法 :インターネット調査
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

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