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2024年07月24日 12:16 更新

直近1年でカスハラ被害のあった企業は15.7%、中小企業よりも大企業に多い傾向が明らかに

帝国データバンクはこのほど、カスハラに関する企業の意識について、全国の企業に調査を実施しました。

企業対個人に限らず、企業対企業でも起こり得る「カスハラ」

「顧客や取引先などからのクレーム・言動のうち社会通念上不相当なものであり、その手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義される「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。カスハラは、企業対個人に限らず、企業対企業でも起こり得ます。

著しい迷惑行為により、従業員の精神的苦痛や退職リスク、業務効率低下などの悪影響が生じる恐れがあるため、厚生労働省では有識者検討会を通じて、企業に従業員保護を義務付ける法整備を進める方針を示しています。

なお、東京都ではカスハラ防止条例を今秋、都議会に提出し、制定されれば全国初となる見通しです。そこで実施された今回の調査、どのようなカスハラの実態が明らかとなったでしょうか。

直近1年でカスハラ被害が「ある」企業は15.7%、B to C業界で目立つ

直近1年以内のカスハラなどの被害有無
直近1年以内のカスハラなどの被害有無

直近1年以内に自社もしくは自社の従業員がカスハラや不当な要求などを受けたことがあるか尋ねたところ、「ある」とした企業は15.7%に。規模別でみると「大企業」が21.0%、「中小企業」が14.8%、「小規模企業」が14.4%でした。

業界別
業界別

直近1年以内にカスハラなどを受けたことが「ある」企業を業界別でみると、「小売」(34.1%)がトップとなり、「金融」(30.1%)、「不動産」(23.8%)、「サービス」(20.2%)と主に個人を取り引きの対象とする業界が比較的高い割合で並んでいます。また、主に企業間での取り引きが多い「製造」(7.8%)や「運輸・倉庫」(12.9%)、「卸売」(13.1%)などは全体平均を下回りました。

他方、カスハラなどを受けたことが「ない」企業は65.4%となり、「ある」よりも4倍以上高い結果に。規模別では、「大企業」が49.7%、「中小企業」が68.3%、「小規模企業」が71.6%で、規模が大きい企業ほどカスハラを受けている結果となりました。

企業からは、「自分のわがままを押し通そうとし、思い通りの結果にならないと罵倒する年配の方が多い」(金融、鹿児島県)や「近年はネットに書くと脅されるほか、一方的に事実無根の悪評を書き込まれ、対応に苦慮している」(専門商品小売、大阪府)などの声があがっています。

「ない」「分からない」と回答した企業からは「どこまでの発言・行為がカスハラに該当するのか不明なため、判断しづらい」(情報サービス、東京都)のように、判断の難しさを訴える声が多数みられましたほか、「BtoBの事業会社であり、表立ったカスハラ経験がなく、遭遇する機会もない」(建材・家具、窯業・土石製品製造、愛知県)のように、そもそもカスハラなどを受ける状況がないといった声も聞かれました。

カスハラへの対応策や取り組み有無はほぼ半々、「顧客対応の記録」が最多に

カスハラや不当な要求への対応策や取り組み(複数回答)
カスハラや不当な要求への対応策や取り組み(複数回答)

カスハラや不当な要求などへの対応策や取り組みについて尋ねたところ、電話に録音機能をつけるなど「顧客対応の記録」が20.1%で唯一2割を上回り、トップとなりました(複数回答、以下同)。

次いで、「カスハラを容認しない企業方針の策定」(12.3%)や「カスハラ発生時のサポート体制の構築」(9.6%)、「被害者への相談・通報窓口の設置」「警察や警備会社、行政との連携」(ともに8.2%)が続いています。

総じて何らかの「取り組みあり」とする企業は50.1%、「特に取り組んでいない」が47.4%とほぼ二分する結果となりました。

また、業界別では直近1年以内にカスハラ被害が多い業界では取り組みも多く、被害が少ない業界では取り組みも少ない傾向でした。

そのほか、具体的な対策としては「顧問弁護士と迅速な連絡・相談する体制を整えている」(旅館・ホテル、神奈川県)や「カスハラをしてきた企業との取り引きを停止している」(建設、香川県)のように、毅然とした態度でカスハラに対応する声が多く寄せられていました。

調査概要

調査期間:2024年6月17日〜30日
調査対象:全国2万7,159社
有効回答企業数:1万1,068社(回答率40.8%)
調査機関:帝国データバンク


帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/index.html

(マイナビ子育て編集部)

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