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2021年11月22日 10:41 更新

最上もがさん、産後のメンタルは地獄だった。「自分って生産性がないな」と落ち込んだ日々を越えて/最上もがインタビュー

今年5月、第一子の出産を公表した最上もがさん。アイドルグループでんぱ組.incのメンバーとして活躍し、脱退後は個人事務所を設立しマルチに活動しています。母になった彼女に、出産と育児、そしてこれからの仕事について聞きました。

「食あたりかと……」陣痛を一人で堪え朝に

最上もがさん
ーー今年5月に第一子女の子出産を公表。スムーズに分娩は進行しましたか?

最上もが(以下、もが) 予定日より少し早かったんですけど、病院へ行ってからわりとすぐ産まれたので、スムーズな方だったと思います。でも前駆陣痛なのかよくわからなくて、陣痛はほとんど家で耐えてたんですよね……。

ーーご自宅で1人で陣痛に長く耐えていたんですか?

もが まさかまだ陣痛だとは思わなかったんです。なんとなく「うっ」ってお腹が痛くなって、食あたりかな? って。実は妊娠中に二度、食あたりになってて……生ものとかも食べてないですし、何が原因かもわからないんですけど、とにかくその症状に近かったので「なんかお腹痛いな」と思ったんです。夜中の12時~2時頃にはかなり痛くなったんですが、家で朝の9時ぐらいまで耐えてましたね。

ーー我慢強いというか、耐えすぎでは!?

もが つい我慢しちゃいました(苦笑)。気づいたら3分間隔で陣痛がきていて、病院に電話してタクシーで向かい、分娩台に上がる頃には子宮口が5センチ開いてました。そこからはスムーズに産まれましたね。分娩のとき、助産師さんに「いきむのがうまい」と褒められたんです。妊娠中も適度な筋トレを続けてたからか、筋力があって出しやすかったみたいです。もともと鍛えるだけで分娩の楽さが全然違うと聞いていたので、やっといてよかったなって。

ーー分娩のときも筋肉って大事なんですね。具体的にどんなトレーニングをしてたんですか?

もが 妊娠7ヶ月まではパーソナルジムでトレーナーさんに見ていただいて、以降は散歩とか家でマイペースな筋トレをしてました。あ、フィットボクシングもやってみたんですが、結構きつかったです。あとは会陰マッサージをちゃんとやっていて、それも分娩のときに良かったと言われました。分娩の最中、娘の首にへその緒が絡まってしまって、できるだけ早く出さなきゃいけないとなって会陰切開はしたんですけど、すごく浅くて済んだようです。自分でも効果あるんだ~と驚いたので、これから出産の方は会陰マッサージを是非おすすめしたいです。
最上もがさん
ーー出産に際して「やったほうがいい」と言われることを真面目にちゃんとやっていたんですね。

もが いえ、むしろ「やらなくていい」ってことまで無理してやりすぎてしまって(苦笑)。出産から2ヶ月後に撮影の仕事が決まっていたので、そこまでに体型を戻さなきゃいけないという強迫観念に駆られてしまいまして、出産翌日に病院のベッドでプルプル震えながらプランクしてたんですよ。あれは今思うと、やるべきじゃなかったです。

ーー産後すぐプランクしたんですか!?

もが 絶対やんないほうがいいですね(笑)。すごい体が痛いのに鎮痛剤の坐薬を入れて……今思えば本当バカだなって感じですけど、産後ハイになっちゃってたのか妙に元気で。めちゃくちゃ悪露も出てるのに「いける。今のうちから体力戻さなきゃ!」と燃えてました。絶対やっちゃダメですね、産後は休まなきゃダメ。

ーー無理がたたりました?

もが たたりました。退院してすぐは母が泊まり込みで世話をしに来てくれてたんですけど、なぜ私はそうしたのかわからないんですが、料理以外の家事を全部自分でやろうとしてたんですね。お母さんはご飯を作ってくれてすごいありがたいから、他のことは全部自分でやらなきゃと思ってしまって。でも夜中も授乳やおむつ替えでほとんど眠れないですし、そんなふうに続けてたらつらくなってお母さんにもあたっちゃって。後悔しましたね。
メンタル的にも産後ハイから一気にダウナーになって、「もう何もやりたくない」みたいな感じでした。もう何もやりたくないし、起き上がりたくないし、でも授乳はしなきゃいけない……。

3時間おきの授乳=睡眠時間は30分

最上もがさん
ーーその時期って体のダメージももちろんありますし、あと睡眠が圧倒的に足りてないですよね。

もが 圧倒的に足りないですよね。そもそも熟睡ができないじゃないですか。あと、これ経験してないと勘違いしてしまうと思うんですが、マニュアル的に「3時間おきに授乳しましょう」とあるので、「じゃあ3時間寝れるじゃん」と思ってたんですよ。でも違いますもんね。最初はまだ母乳もたくさん出なくてミルクもあげてたのですが、作って冷まして飲ませて哺乳瓶洗って消毒して乾かして、という手間がかかるじゃないですか。しかもゴクゴク飲んでくれるわけじゃないので決まった分量をあげるのに何十分もかかるし、おまけに「ミルク飲んでも全然寝なくない?」って。

ーー本当それがきついですよね。

もが きつかったです。寝れたとしても30分くらい。全然寝てないのに、さっきミルクをあげ始めた時間からもう3時間後になってる……結構しんどかったですね。細切れ睡眠を合計して1日に3時間しか寝れないなんてザラで。そもそも、神経が過敏になっているのか、ちょっとした物音や唸り声でも気になってハッと目が覚めちゃう。夜は心細い気持ちにもなるし、ずっと抱っこして眠いままフラフラしていました。だから最初の1ヶ月は地獄でしたね。

「インスタは病むから見ないようにしてます(苦笑)」

最上もがさん
ーー眠いのに眠れない夜、ネットを見たりもしていましたか?

もが 検索魔になってました。最初からいろいろ良いと言われていることを試して、ルーテインを作ったりしてたんですけど「あれ? 全部効果ない」って焦って。ひたすら「赤ちゃんどうやったら寝る」で検索したんですけど、どれもあてはまらない、しっくりこない。だめなものはだめでしたね。

ーー同じように子育てしているママさんのInstagramを見ることもありますか?

もが 病むからもう見ないようにしてます(苦笑)。もともと最初のうちは見る余裕が全然なくて、生後5ヶ月くらい経ってからかな、ちょっと他のママさんのインスタを覗いてみたんですね。パッって見たときに、もうすごい! って驚いちゃって。私はあんなふうにちゃんとできてないなと、自分と他人を比べて凹んじゃったんです。
たとえば、私たぶんオモチャデビューが遅くて。赤ちゃんのオモチャって「どう遊べばいいの?」とわからなかった。ガラガラとか使ってみましたが、「これが遊ぶってことになってるんだろうか?」と(苦笑)。散歩も、生後1ヶ月で外気浴など始めていいはずなのに、怖くてなかなか行けなかったです。それも子どもに良くないのかな、と思ってしまったり。

ーー散歩が怖かったのはどうしてですか?

もが 外で泣いちゃったら気まずいとか……なんだろう、周りの人に見られるのがなんとなく怖かったような気がします。あと抱っこ紐だとゲップの反動で吐いちゃうこともよくありましたし、着替えやタオルなどの荷物もたくさん必要ですよね。だんだんその怖い気持ちも薄れて、首が据わってきたくらいからお散歩も出るようになりました。

ーー現在は生後半年が経って、睡眠も安定してきたのでしょうか。

もが 新生児の頃に比べたらだいぶ安定してきたと思います。今は夜21時に寝かせて、朝7時に起きる……というのを理想にしていますが、最近は前よりも夜中に起きるようになってしまい、細切れ睡眠に逆戻りしつつあります(笑)。このくらいの月齢ではよくあること、らしいのですが、何か他にも原因あるのかな? と日々試行錯誤しながら、寒いのかな? 暑いのかな? と考えながら微調整を繰り返してます。

ーー同じお布団で寝ているんですか?

もが 今は同じベッドで、抱き枕をあいだに挟んで仕切りみたいにしています。一度、寝かしつけに試行錯誤する中で、別室で寝るのも実践したんですよ。泣いた瞬間すぐ親がかまっちゃうと、親なしで眠れなくなっちゃうと寝かしつけの本で読んで……。でも、別室にするとベビーモニターをつけてても気が気じゃなくてドキドキしちゃうから、結局こっちは寝れないみたいな(笑)。今、抱き枕でガードを作ってるのは、「本当はママいるけどいないよ〜」みたいに見せかける折衷案ですね。

「自分って生産性がないな」と思ってしまった

最上もがさん
ーー8月1日から、Amebaブログを開始されましたよね。以前からのLINEブログも続けているのに、どうしてブログを増やしたんですか?

もが 単純に、LINEブログは私が母になる前からファンでいてくれた人たちが見てくださってると思うので、そこに育児のことを書くのは少し抵抗がありました。できれば子どものことを記録したかったんですけど、そうすると今までとはガラッとテイストが変わってしまうので、自分もやりづらいなと。育児ブログで頻繁に更新してる人が多いのはアメブロな感じがしてて、だから新しく始めました。
本当は妊娠してからすぐ始めたかったんですけど、妊娠中はマイナートラブルも多くてやる気が出ず、先延ばしにしちゃって。初期のつわりが終わったと思ったら後期つわりもきちゃって、とりあえず筋トレだけして寝る生活だったんですね。生まれたらやるぞーと思っていたものの、結局生まれたら今度は何の時間も取れない(笑)。あー、なんであのときにやらなかったんだと後悔しましたけど、でもあの頃はメンタルも落ちてたししょうがないんですよね。

ーー産後3ヶ月ほどして、メンタルも落ち着いてきて「よし、やるぞ」と。

もが ですです。本当は漫画を描きたかったのですが、それだと時間がかなりかかってしまうので、漫画は諦めて普通のブログにしました。全然マメな方ではないんですけど、でもいざやってみると、日々のことを記録するのは楽しいですね。
育児ブログを始めた理由の一つに、育児していて「自分って生産性がないな」と思ってしまったこともあります。

ーーそんな。でも子育て中、そういう気持ちを抱いてしまうときってありますよね……。世間に取り残されてしまったような。特にもがさんはワンオペですし。

もが そうなんです。シングルですし、自分で働いて稼がなきゃという不安や焦りもありました。私は個人事務所のタレントで、産休もないですし、いつでもオファーがいただけたら仕事はしようと思っていて。それこそ臨月でも受けようと思ってたんですよ。激しく体を動かすものでなければやれるし、つわりはあったけど我慢すればなんとかなると。
でも妊娠や出産を公表すると、やっぱりオファーしづらいみたいで……仕事自体が減っていて。産後も「いつから復帰です」とか特に言っていなくて、いつでもお仕事受け付けてはいるのですが、一方で私自身、時間の調整が難しくてリモートじゃないと受けられないお仕事とかもあるんですね。それがもどかしくて、ブログ発信から今までとは違うジャンルに仕事の幅を広げていきたいなと思いました。

ーー今は、仕事のときは赤ちゃんを実家に預けてるんですか?

もが はい。だから今日みたいに現場に行く仕事は、母が休みの日に調整していて。緊急のときは親戚も協力してくれるので、ありがたいですね。私、実家が大家族なんです。小さい頃は10人で住んでて。

ーー10人ですか!

もが 母の兄家族が4人いて、うちが5人(両親と私と兄妹)、あとおばあちゃんがいたので10人でした。今も実家は7人で住んでいます。私は同居してないですが、出産を機に実家の近くに引っ越しました。すごく頼れる存在ですね。頼れるといえば、事務所のスタッフさんもまだ3歳の女の子のママで、先輩としていろいろ相談もさせてもらっています。

たとえ妊娠出産でファンが離れたとしても

最上もがさん
ーーママブロガーとしてブログを書き始めてちょうど3ヶ月が過ぎました。何か変化はありましたか?

もが それが、最初の2ヶ月で200回くらい更新してて……これが私の悪い癖で、一気に頑張ろうとしちゃうんですよ。で、パンクする(笑)。疲れて更新を止めちゃったこともありました。娘が寝てる時間に書いてるので、自分が寝る時間が結局なくて。でも、必要に迫られてる感じが自分の中でずっとあって、書かずにはいられなかったんですね。
これが直接的に収入になるのはまだまだ先の話だしこれでお仕事のオファーも来るかというとそれも別の話だと思うんですけど、すぐお金にならないとしても何かしら動かなきゃという焦りが、今も自分の中ですごいあります。

ーー真面目に頑張り過ぎてしまう。

もが 今までのファンの人たちが、妊娠出産で離れてしまうだろうなとは思ってたんです。実際、離れてしまった人は多いと思います。だから、私って今後どんなふうに活動したらいいのだろうかと悩みました。ただ、これだけは言えるのは、「母である」ということからは絶対に逃れられないんです。であれば、そのことで新しく私に興味を持ってくれる人もいるかもしれないし、育児ブログでの発信は続けていきたいですね。
実際、今まで私のことを知らなかったけど、ブログを見て知ったという人がコメントを残してくれたのがすごく嬉しくて。私はそんなにバラエティとかテレビに出る感じじゃないですし、名前は知ってても何をしてる人か知らないって人がほとんどなんじゃないかなと思っています。それに「何してる人ですか?」と聞かれたら、今は「メインは母をやってます」って答えになっちゃう。だったら、ちゃんと誇りを持ってというか、そこに向き合っていこうと思うんです。

ーーそうすることで必然的に、お仕事の幅も広がって、新しい繋がりができて。

もが そうなったらいいなあと。もともと、アイドルやモデルになりたいと思ってこの業界に入ってきたわけではなかったので、「こういう仕事しかやりたくない」とかもないですし。あと、昔からのファンの人で今も応援してくださる方ももちろんいるんです。私がこの活動して今年で10年なのでファンの方のライフステージも変わっていて、アイドル時代に握手会とかによくいらしてくださってた方が、パパやママになったりもしています。そういう方たちのためにも、今はこのまま、新しい活動を軌道に乗せたいですね。

(取材・構成=マイナビ子育て編集部、撮影=尾藤能暢)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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