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2021年10月29日 16:30 更新

【医師監修】臨月のイライラが辛い……解消法はあるの? 原因や胎児への影響

臨月に入ってからイライラしてばかり。いつ出産になるかわからないのに辛いですね。ここでは臨月でもできるイライラ解消法をまとめました。イライラの原因や赤ちゃんへの影響も知って、できる限り穏やかな気持ちで出産を迎えられるよう工夫してみましょう。

臨月にイライラする原因は?

イライラしている女性のイメージ

臨月にイライラすることは珍しくありません。それは次のような理由で起こります。

ホルモン分泌の変化

妊娠すると、ホルモンバランスは通常時とは大きく変わります。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは妊娠前よりずっと多く分泌されるようになり、その量は出産まで増加を続けます。ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」も妊娠が進むに連れて血中濃度が上昇することがわかっています。

こうしたホルモン分泌の変化による影響で、脳のストレスに対処する力が弱くなることなどによって、「イライラする」「不安になる」といったメンタルの不調の起こることがあります。

いよいよ迫ったお産への不安

「臨月」は妊娠10ヶ月にあたる「妊娠36週~39週まで」の期間を指します。90%以上の妊婦さんが出産する「正期産」の時期は「37週~41週まで」[*1]。臨月に入れば正期産の時期も間近で、多くの妊婦さんに出産が迫っています。

臨月になると、陣痛や出産のトラブルに対する不安が大きくなってくる人も多いことでしょう。その不安から、ちょっとしたことでもイライラしてしまったり、夜の寝つきが悪くなったりすることで睡眠不足からイライラすることも考えられます。

大きなお腹でますます行動が制限

臨月にはお腹がかなり大きくなっています。赤ちゃんはすくすくと成長を続けていますが、妊婦さんはどんどん動きにくくなって日常の動作の制限も増えてきます。何をするにもいつも以上に時間がかかるようになり、身軽に動けないことでもストレスはかかります。

臨月に悩まされるイライラなどのメンタル不調

検索している妊婦
Lazy dummy

イライラを始めとする臨月のメンタルの不調は、どのようにあらわれるのでしょうか。

イライラする、すぐカッとなる

些細なことが気になってイライラしたり、怒りっぽくなってすぐにカッとしたりすることがあります。

お産への不安や恐怖

初産であれば、出産の痛みに耐えられるのか、経験したことのない痛みに不安になる人がほとんどでしょう。2人目以降でも、前回の出産で辛い経験があるとやはり出産に不安や恐怖を感じることになります。

そんな気持ちを持つのは普通のことですが、仕事や日常生活に影響が出るほど強くなった場合は「分娩恐怖症」の可能性もあります[*2]。分娩恐怖症は産後のメンタルヘルスにも影響するといわれており、専門家の支援が必要となります。

<体験談>みんなは臨月にイライラした?対処法は?

臨月にイライラで悩まされたことはありますか?

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2020年9月16日~2021年10月4日 調査人数:154人(21歳~40歳以上の女性)の回答から抜粋 ※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

臨月のイライラは赤ちゃんに影響するの?

お腹の大きな妊婦さんとエコー写真

臨月にママがイライラしていると、赤ちゃんにはどんな影響があるのでしょうか。

強いストレスは早産などの一因となることも

妊婦が強いストレスを受けると、早産や低出生体重児のリスクが高まると言われています。ただ、これはかなり強いストレスや不安が継続してあった場合。

多少のイライラはあっても、普通に日常生活がおくれているのなら心配ありません。また、臨月も2週目(37週)からは正期産の時期になるので、これ以降の出産は早産ではなくなります。

できるだけ心穏やかにお産を迎えよう

少しイライラするとしても、それによって赤ちゃんに何か影響があると心配する必要はほとんどありません。ただ、イライラが続くのは妊婦さん自身にとって望ましい状態ではないので、できるなら改善したいところ。

そこで、次の項からは臨月でイライラしたとき、まずは試してみてほしい方法を紹介します。

臨月のイライラ解消法!

瞑想する妊婦

ここでは臨月に入ってからでもすぐにできるイライラ解消法をお伝えします。人によって何が助けになるかは異なるので、まずはいろいろ試してみましょう。

1秒で心を落ち着かせる方法4つ!

ちょっとした工夫で1秒でも心を落ち着けることができます。その方法を4つ紹介します[*3]。

肩を1cm下げる

緊張していると、無意識に肩に力が入っていることがあります。そこで肩を1cm下げるようにすると、力が抜けてラクになります。一度肩をあげて止めてから落とすのもいいですね。

息を「はぁーっ」と吐く

イライラしていると呼吸が浅くなってしまうことも。そんなとき、息を大きく「はぁーっ」と吐くだけでも多少落ち着きます。そのほか「リラックス 呼吸法」などで検索すると簡単な呼吸法がたくさんヒットするので、いくつか試して自分にあう方法を試してみては。

最初の一口を味わって食べる

食事のときもイライラを引きずっていると、早食いになることがあります。食べるものをしっかり見て、香りも楽しみ、最初の一口だけでも味わって食べるようにしましょう。その後も味や香りを感じやすくなり、満足感が生まれます。

少し顔をあげて歩く

臨月ではお腹が大きく、足元に注意して歩くことになります。だからといって、いつもうつむいて地面ばかり見ているとますます気持ちが煮詰まってしまうかも。少し顔をあげて、空を見たり景色を楽しんだり、外気の心地よさも感じながら歩いて気分転換しましょう。

<体験談>臨月のイライラへの対処法

臨月のイライラへどう対処したか教えてください

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2020年9月16日~2021年10月4日 調査人数:154人(21歳~40歳以上の女性)の回答から抜粋 ※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

臨月のイライラへの対処法|パパ・上の子・親 編

妊婦のお腹をなでるパートナー

ちょっとしたことでも、いつも以上にイライラしてしまう臨月。周囲の人にイラッとすることも当然あります。家族にあたってしまう前にそれぞれへの対処法を考えておきましょう。

パパへの対処

パパへのイライラは「産後に手伝ってくれるか心配」「他人事のように思っているように見える」といったことが根本的な原因ではないでしょうか。この不安を解消するためには、やはり「お互いよく話し合う」必要があります。

産後のママは「体も心もいっぱいいっぱいで余裕がないこと」「出産後すぐに以前のように動いたり、家事ができたりするわけではないこと」を伝えたうえで、「産後の手続き」「家事」「夜泣きの対応」「授乳(ミルクや搾乳した母乳)」についてなど、具体的にどう分担していくかシミュレーションをしておくといいでしょう。

想像以上にお産によるママのダメージが大きかった場合も想定して、そのときは臨機応変に対応してもらえるよう、あらかじめ相談しておけるとよいですね。

実はパパも臨月は気持ちが不安定に

自分で出産するわけではなくても、父親になるということはパパの心に大きな負担をかけます。出産前後の女性にメンタルの問題が起きやすいことは知られるようになりましたが、実は男性もこの時期はうつや不安の症状があらわれやすいことがわかってきました。

男性の場合、周囲に助けを求めない傾向があり、うつが悪化しやすいともいわれています。ママと同じように、パパも気持ちが不安定になる可能性があることは覚えておきましょう。

上の子への対処

幼児と妊婦さん

上の子は赤ちゃんにママをとられるのでは、という不安を抱えています。お腹が大きくなって抱っこができなくなると、妊娠中から赤ちゃん返りが始まることもあります。

ただそれはいたって自然なことです。ただでさえイライラして大変な中ですが、日頃からできるだけ上の子を優先して、安心させてあげましょう。一見、目立った赤ちゃん返りがなく、いつもより良い子に振る舞っているように見えても、やはり不安な気持ちは多少抱えているはずです。

赤ちゃんにとっては「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」でも、上の子もまだまだ幼い子どもです。イライラしているときにぐずられると余計イライラしてしまうと思いますが、そこで突き放すとかえって逆効果になる可能性も。上の子のママに甘えたい気持ちをできるだけ受け止めてあげてくださいね。

親への対処

義理の両親だけでなく自分の親でも、子育てに口を出されるとあまりいい気分はしませんね。間違ったことを言われると、対応に困るだけでなく、言い合いや喧嘩になることも。でも親はいざというときに頼れる存在でもあります。

関係があまりギクシャクしないうちに、「昔と今で違うこと」「仕事のこと」「パパとママの育児方針」を話して、温かく見守ってほしいことを伝えましょう。そして、感謝していることも忘れずに伝えましょう。

まとめ

お腹の大きな妊婦さん

臨月に入ってイライラしがちになるのは、誰にでも起こること。ホルモンや体の変化といった身体的な理由もありますが、お産や産後への不安感もイライラにつながっているかもしれません。イライラに悩まされたら周囲に相談して不安を取り除くようにしながら、もうすぐ来るお産までできるだけリラックスして過ごしてくださいね。

(文:佐藤華奈子/監修:直林奈月 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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