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2018年11月29日 17:40 更新

産休中にもらえる給付金とは?対象者、金額、申請方法と期間について

出産にそなえて仕事を休んだ場合に気になる、休業中のお金。日本には、産休中に無収入になってしまう人のために「出産手当金」という制度があります。今回は、そんな「出産手当金」についてご紹介します。

産休にともなう給付金「出産手当金」とは

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まずは、「出産手当金」とはどんなものなのかをはじめ、受給できる条件などについてご説明します。

出産手当金とは?

出産手当金とは、子供を出産する被保険者とその家族の生活を保障するための制度のこと。同制度では、被保険者が一定期間、出産をするために仕事を休むことで給与(報酬)が受けられない際に申請によって支給を受けることができます。

出産手当金の対象になる人

出産手当金の支給を受けることができる条件は、次の事項にすべて該当することです。

・被保険者が出産する、またはしたこと
・妊娠4ヶ月(85日)以上の出産であること(死産・人工妊娠中絶も含む)
・休業期間中に給与・報酬の支払いがない、または支払い額が出産手当金の額よりも少ないこと

また、退職して資格喪失した場合にも、次の条件を満たしていれば出産手当金の支給を受けることができます。

・資格喪失の日の前日まで被保険者期間が継続して1年以上あること
・被保険者の資格喪失の日の前日に、出産手当金の支給を受けている、または受けられる状態(出産日以前42日目が加入期間であり、退職日に出勤していないこと)であること

出産手当金の給付期間と金額

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出産手当金で何より気になるのが、もらえる金額ですよね。次は、出産手当金の給付期間、もらえる金額などについてお話します。

給付期間

給付の対象となる期間は、出産の日までの42日(多胎妊娠の場合98日)から出産した翌日以後の56日目までの範囲内。出産が予定日を過ぎている場合には、出産予定日をもとに計算します。つまり、出産が遅れた期間についても出産手当金が支給されるのです。

給付金額(1日あたりの金額)

1日あたりの給付金額の計算は、次のように計算されます。

支給開始日(最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2

支給開始日前の期間が12ヶ月を満たない場合には、支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額か、当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬額月額の平均額のうち、少ない方の額を基準に計算します。

ちなみに出産手当金の算出方法は、2016年4月1日より改正されています(改正前は、休業した日の標準報酬月額÷30日×3分の2)。

産休前(1年未満)に転職した場合の計算方法

12ヶ月前以降に転職などをしている場合には、転職前にも協会けんぽに加入していた事、離職していた期間が1ヶ月以内であることを条件に、転職前後の標準報酬月額を通算して計算することになります。また、月の途中で退職・転職した場合、現在の職場の標準報酬月額を参考にします。同月から支給を開始する場合には、支給開始日に該当する標準報酬月額をもとにします。

いつ、どのような形でもらえる?出産手当金の申請と給付方法

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出産手当金をもらうには、自分からきちんと申請しなければなりません。次は、出産手当金の申請方法やもらえる時期などについてご説明します。

出産手当金はいつもらえる?

まず、出産手当金を申請するには医療機関などにより出産した事を証明しなければならないので、申請時期そのものが出産後となります。そして、申請書類を不備なく提出した場合で申請から約1ヶ月〜2ヶ月後、対象期間分がまとめて振り込まれます。

出産手当金は、産前分と産後分で分割して請求することも可能です。その際に申請できるタイミングは、産前分では出産日以降、産後分は産後休暇が終了した日を経過してからとなります。産前分・産後分をまとめる場合には、産後の休暇を終えた日以降での申請となります。

支給の申請を忘れていた場合には、産休開始の翌日から2年以内であれば全額を請求することができます。2年を過ぎてしまうと、1日経つごとに支給対象となる日数が毎日1日分ずつ減っていくのでもらい忘れには十分に注意しましょう。

出産手当金の申請方法

まず、提出する主な書類は「健康保険出産手当金支給申請書」です。この用紙は、職場の総務部など担当部署か健康保険組合、もしくは会社を管轄する社会保険事務所からもらうことができます。

健康保険出産手当金支給申請書には自分で記入するだけでなく、出産でかかった病院や自分の会社が記入する項目もあります。直前にバタバタすることのないよう、用紙は出産前に用意しておくと良いでしょう。病院の記入欄は、入院中や病院にかかっている間に記載してもらうとスムーズです。

また、申請期間の初日に属する月まで現在の事業所での資格期間が12ヶ月に満たない場合には、同書に加え保険加入期間などを記載する書類も必要となります。

出産手当金を産前分、産後分と分けて申請する場合には、申請するごとに事業主から証明欄にて証明を受ける必要があります(医師からの証明は最初の一度だけで可)。

知らなきゃ損!妊娠・産休中にも対象となる「傷病手当金」について

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妊娠中には、産休中以外でも体調不良や病気のために仕事を休まなければならなくなる場合があります。そんな時のために知っておくべきなのが、傷病手当金について。次は、そんな傷病手当金についてご紹介します。産休中についても制度が改正されているので、必見です。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、被保険者が怪我や病気のために休業した際に、被保険者とその家族の生活を支援する制度です。大まかには、療養のために仕事を休んだ際に受けられなくなった給与や報酬をまかなうもの。申請すると、支給を受けることができます。

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から1年6ヶ月の範囲となっています。

傷病手当金の対象になる人

傷病手当金を受けられる条件は、次の事項にすべて該当することです。

・業務外の理由による怪我や病気の療養をするために働くことができないこと
・療養のために、待機期間(3日)を含み4日以上連続して仕事を休んでいること(公休日も待機期間に含める)
・休業期間は給与・報酬がストップする、または支払い額が傷病手当金の額よりも少ないこと

妊娠・産休中に傷病手当金の対象となるケース

妊娠中、妊娠の異常によって入院や自宅療養をした場合、傷病手当金を受けることができます。傷病手当金の対象となる妊娠の異常には、切迫早産や切迫流産、妊娠悪阻、妊娠高血圧症などがありますが、そのほかにも医師からの指示で自宅療養をしなければならなくなった場合も診断書を提出すれば受給することができます。

産休中においては、以前は出産手当金を支給する期間に傷病手当金をもらうことはできませんでした。しかし、2016年4月からの改定により、現在では傷病手当金の方が出産手当金よりも金額が高かった場合、その差額をもらえるようになっています。

いくらもらえる?金額の計算方法

傷病手当金は1日単位での算出となり、計算の仕方は出産手当金と同じです。企業によってはそこからさらに上乗せでお金がもらえる「付加給付」の制度がある場合もあります。

いつもらえる?申請期間と方法

妊娠中に入院、または医師の指示で自宅療養が必要になった場合には、まず職場に報告します。その後は退院または職場復帰した際に「傷病手当金支給申請書」にて必要事項を記入して、担当の窓口に提出します。傷病手当金支給申請書は、医師が記入する欄もあり、基本的にはいくらかの手数料がかかります。

出産にともないもらえるその他のお金

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出産にともない、国や自治体、保険機関からもらえるお金・援助してもらえる出費には出産手当金以外にも次のようなものがあります。

出産育児一時金

出産育児一時金とは、被保険者またはその被扶養者が出産した時に支給される給付金のこと。金額は、子供1人につき42万円、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.4万円です。多胎児を出産した場合には、出産した人数分だけ支給されます。

妊娠85日(4ヶ月)以後であれば、生産(早産)や死産(流産)、人工妊娠中絶の場合でも出産育児一時金の受給対象となります。

また、出産育児一時金には「直接支払制度」があります。これは、協会けんぽから出産した医療機関に出産育児一時金を直接支払える制度です。この制度を利用することで、被保険者が出産後の退院時に費用をまとめて支払う負担を軽減することができるのです。同制度を利用する場合には、出産を予定している医療機関などに被保険者証を提示し、同意書を交わします。出産費用が、出産育児一時金の支給額より少なかった場合には、出産後に差額を協会けんぽへ請求することができます。

育児休業給付金

育児休業給付金は、被保険者が子供の1歳の誕生日まで(場合によっては1歳6ヶ月まで)仕事を休業して育児をする際に、その期間雇用保険から給付を受けることができる制度。支給額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から6ヶ月経過後は、50%)となります。

医療費控除

医療費控除とは、自分自身または配偶者や家族のために医療費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けられる制度で、出産に伴う一部の費用も医療費控除の対象となります。医療費控除の対象となる費用には、次のようなものがあります。

・妊娠と診断されてからの定期検診や検査、通院の費用
・入院中の食事代

入院のために購入した寝巻きや洗面具といった身の回り品や里帰りのための交通費などは対象となりません。

児童手当・乳幼児の医療費助成金

児童手当は、0歳〜中学校卒業までの子供を養育している人を対象に支給されます。支給される金額は、年齢や世帯の所得によって異なります。

乳幼児の医療費助成金は、「乳幼児医療費助成制度」からなる助成金。乳幼児が医療機関で診察や治療を受けた際に、自治体がその費用の一部または全額を助成してくれる制度です。助成の対象となるのは、医療保険の対象となる医療費と薬代。健康診断や予防接種、薬の容器や入院時の食事などは対象となりません。

まとめ

仕事を休んだことによって給料がストップしてしまうことに不安を覚える人も多いですよね。しかし、こういった手当金の制度があるので、出産に向けて無理なく産休を過ごしたいところ。ただし、申請の仕方はケースによっても複雑なので、事前に必要書類を揃えたりと余裕を持って進めておきたいですね。

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