【医師監修】子供の爪噛みをやめさせたい! 知っておきたい原因と対策
「爪噛み」は指しゃぶりと同じように、子供によくみられる癖です。愛情不足だから爪を噛むのではと言われることもありますが、愛情たっぷりに育てられていても爪を噛む子はたくさんいます。なぜ爪噛みをしてしまうのか、その原因や対策を紹介します。
子供が爪を噛む原因とは
指しゃぶりは乳児のころから見られますが、爪噛みは指しゃぶりよりも少し年齢が上がった4~5歳から見られるようになると言われています[*1] 。
まずは、爪噛みの主な原因について知っておきましょう。
ストレスを感じている
爪を噛む原因の1つは、「淋しさや不安感、緊張感を解消しようとしていること」と言われています。
ママやパパなどの保護者が過干渉なときや要求が多いとき、厳しいしつけが続いているとき、子供がイライラしているときなど、子供らしい生活ができずに心が満たされていない場合に、心を満たすために爪を噛むことがあります。
癖になっている
爪を噛むことが、単に「癖」になっている場合もあります 。五感の発達が未熟なので、その感覚を刺激したくて爪を噛んでいるともいえます。
宿題が難しくて進まなかったり、テレビや本などに集中しているとき、退屈なときなどに、爪を噛む癖が出てくる子もいます。こういったときは、爪を噛むことで心を落ち着かせて、自分の心のバランスを取っていると考えられています。
爪を噛んで気になっていた部分が取れたときに感じる「スッキリした気持ち」を覚えていて、心のバランスをとりたいときその感覚を求めて、爪噛みを繰り返すようになるのです。
爪噛みをやめさせるための対策
爪噛みは無意識のうちにしていることが多く、「やめなさい」と言われても簡単にやめられるものではありません。子供の爪噛みが気になったら、どんな対策をとればよいのでしょうか。
どんな状況で爪噛みするのか観察する
まずは、よく爪を噛む状況を確認しましょう。子供が「どんなときに爪を噛むか」「どんなときには爪を噛んでいないか」を観察してみます。
「爪を噛まない状況」がわかったら、その状況を増やしていきます。同時に、「爪を噛んでしまう状況」はできるだけ減らしていくようにします。
子供の心が満たされていないときに爪噛みをすると考えられる場合は、親子の関わり方を見直すことも大切です。ママやパパ、保護者の人は子供の相手をする機会を増やし、できるだけのんびりと甘えさせてあげるようにしましょう。
なお、爪を噛むことを責めても何も変わらないので、子供を責めたり叱ることはしないでくださいね。
爪を短く整える
あらかじめ爪を切って、短く整えておくのもおすすめです。
爪が短くなると噛む回数が少なくなり、爪噛みを楽しいと感じにくくなるからです。
ただし、切り過ぎて深爪にならないように注意しましょう。
専用マニキュアを使う
マニキュアの中には爪噛み対策専用のものがあります。
このマニキュアを爪に塗っておくと、噛むたびに苦い味がします。毎日爪に塗っておけば、苦みが嫌で爪を噛みにくくなっていきます。
子供は自分で上手に塗れないので、ママやパパ、保護者の人が塗ってあげてくださいね。
爪噛みを別の習慣に変える
爪を噛む習慣を別の習慣に置き換えていく方法もあります。
例えば、爪を噛みたいと感じそうな状況になったら、握ってストレス発散できるボールやパテのようなおもちゃを握って遊ぶよう促してみましょう。
手を忙しく使うことで、口もとに持っていきにくくする効果もあります。
なお、この方法を試す際は、口に入る大きさや千切れやすいおもちゃは誤飲の危険があるので避けてください。
注意や励ましでは治らないことも多い
爪噛みをするたびに注意したり叱ったりしても、親子で疲れてしまうばかりでなかなかやめられないことは多いものです。癖になっていることを我慢しようとしても、なかなかうまくいかないからです。
ママやパパは子供が爪を噛む姿を見ても焦ったりイライラせずに、まずはここまでで解説したような対策を試してみてください。
なお、一度治ってきていた爪噛みが「再発する」「増える」などしている場合は、精神的負荷がかかっているサインかもしれません。家庭で思い当たることがない場合は、集団生活で困っていることがないか、本人や先生から情報を聞いてみるのもいいかもしれません。
病院に行く必要はある?
爪噛みが続いたら、受診する必要はあるのでしょうか。医療機関に行くとしたらそのタイミングはいつなのでしょうか。
無理に治そうと焦らない
爪を噛む癖を無理やり押さえこんで直そうとすると、不安感や緊張感がさらに高まって、かえって治りにくくなることがあります。
子供が爪噛みをしているとき一切指摘してはいけないということではありませんが、さきほど解説した対処方法を試しながら、注意するとしても時々「優しく軽く伝える」程度にしておきましょう。
子供の爪噛みはたいてい自然によくなっていきます。無理に治そうとしたからといって治るものではないので、気長に付き合うようにしたほうがよさそうです。
あまりにもひどい場合には小児科か皮膚科で相談を
ただ、爪噛みがひどい場合は、爪の周辺が傷ついて細菌などに感染し、「爪周囲炎」という炎症を起こすこともあります。
爪周囲炎になると、爪のまわりが赤く腫れたり痛みます。悪化すると膿がたまってひどい痛みを起こすこともあります。
さらに悪化すると、「ヒョウ疽」といって指の腹側まで感染が拡がることもあります。
手指に湿疹がある状態で爪噛みをしていると、なおさらこうしたトラブルが起こりやすくなります。また、炎症を起こした爪をさらに噛むと、顔や口にも細菌やウイルスが移動して感染が拡がることもあります。
爪噛みがひどかったり、爪周囲炎や湿疹などもみられる場合は、早めに小児科や皮膚科に相談しましょう。
ウチはこれで対処した! 先輩ママたちの声<体験談>
ここからは、子供の爪噛みで悩んだとき実際どのように対処したか、体験談を紹介します。
※マイナビ子育て編集部の口コミ 調査日:2021年6月17日~6月18日
※ここで紹介した内容は、個人の体験によるものです。記載の内容を推奨したり、結果を保証するものではありません。
抱っこするなどして思い切り甘やかした
専用の苦いマニキュアを使ってみたけれど……
かわいいネイルを見せて、塗ってあげる約束をした
まとめ
子供の爪噛みは、4~5歳くらいからよく見られるようになってきます。淋しいときや緊張したとき、不安なときにするだけでなく、ちょっとしたきっかけから癖になって爪を噛むようになることもあります。一度癖になると、注意したり叱ってもなかなか直りません。
親ができる対処法には、爪を短めに切る、噛むと苦い専用マニキュアを塗る、ストレスや不安に寄り添う、爪噛みをよくする状況を避ける、別のものごとに気をそらすといった方法があります。こうした対処をしても、爪噛みがやめられないこともありますが、子供の場合はたいてい自然に治っていきます。
無理やり治そうとはせず、まずは子供の気持ちに寄り添ってあげましょう。傷ついた指先に腫れや赤みがみられたら、受診して治療してくださいね。
(文:大崎典子/監修:三木崇弘 先生)
※画像はイメージです
[*1]「乳幼児保健指導の手引改訂第4版」新潟県福祉保健部
“How to stop biting your nails” American Academy of Dermatology Association
「爪周囲炎」日本整形外科学会
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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