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2021年06月24日 16:10 更新

【2021年6月】絵本のプロが選ぶ 0~3歳年齢別おすすめ3冊「あかいかさ」ほか

東京は神保町にある絵本専門店「ブックハウスカフェ」が全面協力! プロが選ぶおすすめの絵本をセレクトして、毎月紹介します。

0歳向け

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【写真左】『ぽんちんぱん』(作:柿木原 政広/福音館書店)

「ぱんぱん しょくぱん ぽんちんぱん」と、リズミカルな言葉に合わせて、パンをちぎってみると、顔が出てきた! 思わずクスッと笑えるユニークな写真絵本です。

著者の柿木原政広さんはアートディレクターとして活躍していて、この絵本はお父さんが恥ずかしがらずに読めることを意識して作ったそう。また、「ぽんちんぱん」の文字の配置の仕方にも工夫があり、「トントントン」とリズムを感じられるように組んでいるそう。デザイナーならではのテクニックが随所に感じられる点も、この絵本の見どころです。

【写真中】『ねむねむ こうさぎ』(作:麦田 あつこ、絵:森山 標子/ブロンズ新社)

こうさぎが眠っています。こってんと寝返りを打ったり、小さいあくびをしたり。くうすうぴい。 でも途中で目が覚めて、びっくり。そこへお母さんがやってきて、とんとん、ゆーらゆら。再び眠りへと誘います。

うさぎのふわふわした柔らかさに、落ち着いた色味のパープルとブルーの背景。絵を見ているだけでも、静かな時間を過ごすことができます。「寝たのかな?」と思っていると突然目が覚めてしまう、こうさぎの様子も愛らしい。おやすみ前におすすめの絵本です。

【写真右】『あめかな!』(作・絵:U.G.サトー/福音館書店)

暗くなった空から、ぽつ、ぽつ。そのうち、びしゃっと大きなしぶきになって、雨が降ってきた。色とりどりの雨の後、やがて光がさしてきて……。

紙にカラーインクと水を流し込むという、独特の技法を使って描かれた絵本。にじみや色むらから水を感じることができる、雨の日にぴったりな作品です。初めての「雨の絵本」にぜひどうぞ。

1歳向け

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【写真左】『あめ ぽぽぽ』(作:ひがし なおこ、絵:きうち たつろう/くもん出版)

長靴と傘、レインコートを用意して、ママとお出かけです。向かったのは公園。雨の中を歩けば、ぴちゃ。砂場は濡れて、じゃくじゃく。じゃぼんと水たまりに入っちゃった。

作者は歌人の東直子さん。歌人ならではの言葉の選び方が印象的で、街が雨で濡れて光っている様子や、光がキラキラした雨上がりの風景の美しさを教えてくれます。言葉の一つひとつがスッと胸に染み込む一冊です。ゆううつで面倒だなと思ってしまう雨の日にこそ、手に取ってみてください!

【写真中】『おさんぽ おさんぽ』(作:ひろの たかこ/福音館書店)

雨上がりに長靴をはいてお散歩へ。いろいろなものに出会います。足元をよく見てみると、そこにはダンゴムシやカタツムリがみんなでお散歩中。大きな水たまりも見つけました。長靴でバシャバシャ。長靴を脱いで裸足でもバシャバシャバシャ。

子どもの足元のアップで話が進み、その顔は見えません。子どもがどんな表情でお散歩しているのかは読者の想像におまかせ。でも、いろんな生き物を見つけたり、植物を観察してみたり、とっても楽しそう! 水たまりで遊ぶ場面は開放的で、大人でも思わず「やってみたいな!」という気持ちになります。

【写真右】『だっぴ!』(作:北村 直子/こぐま社)

生き物たちが、なんだかもぞもぞ。なにが起きるのか見ていると……「だっぴ!」と新たな姿で登場! 生きものたちのすっきりした表情がとってもユニークです。最後にどの生き物が脱皮するかは、読んでからのお楽しみ。

「だっぴ!」の言葉と生物たちの様子が楽しい絵本ですが、ただ親子で楽しく読めるだけではありません。作者の北村直子さんはあとがきで「“だっぴ”は成長のあかし」と語っています。「脱皮をして生き物が成長するように、我が子も大きく成長できますように」と願いながら読むと、また違った見方ができそうです。

2歳向け

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【写真左】『はっぱのおうち』(作:征矢 清、絵:林 明子/福音館書店)

さちが庭で遊んでいると、雨が降ってきました。でも大丈夫、さちには木の葉のおうちがあります。木の葉のおうちで雨やどりをしていると、カマキリ、チョウ、コガネムシも雨やどりにやってきました……。

小さな秘密基地のような空間での、小さな女の子と小さな生き物たちの交流が愛らしい絵本です。カマキリは苦手なのか「あっち向いてて」と言い、モンシロチョウには「ここなら大丈夫だよ」、アリに対しては「パンが濡れちゃうよ」と心優しい言葉をかけるさちの姿に、胸があたたかくなります。

【写真中】『いろいろかえる』(作:きくち ちき/偕成社)

緑色のかえるは食べるのが好き、黄色のかえるは跳ねるのが好き、踊るのが好きな桃色のかえると泳ぐのが好きな青色のかえる、歌うのが好きなのは橙色のかえる。色鮮やかなかえるたちが次々にやってきて、みんなで遊びます。夕日が沈むころにやってきたのは、とうさんかえるとかあさんかえる。星の輝きの下、家族一緒におやすみなさい。

世界最大規模の絵本原画コンクール「ブラチスラバ世界絵本原画展」で2度の受賞経験のあるきくちちきさんの新作は、伸びやかで躍動感のあるかえるたちが主人公。梅雨のじっとりした気持ちを吹き飛ばしてくれる一冊です。

【写真右】『あかいかさ [新版]』(作:ロバート・ブライト、訳:しみず まさこ/ほるぷ出版)

晴れの日に赤い傘を持ってお出かけ。すると雨が降ってきて、女の子の傘に動物たちが集まってきます。まずは小犬が1匹。次に子猫が2匹。ニワトリ3羽に子ウサギが4匹。どんどん増えて、ついには大きなクマまで! 傘のなかで楽しいコーラスのはじまりです。

白黒のイラストに傘の赤い色が引き立つ、とってもかわいらしい雰囲気の絵本です。手のひらサイズの小さな絵本をよく見ると、女の子たちの足元に小さな虫たちの姿も。虫たちにも別の物語があるので、ぜひよく見て、たくさん想像しながら読んでみてください。女の子の傘以外にも赤く塗られているものが見つかりますよ。

3歳向け

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【写真左】『どしゃぶり』(文:おーなり 由子、絵:はた こうしろう/講談社)

夏のある日、外に出ると真っ黒な雲。雨だ。大粒の雨が降ってきて「とんととん ぼつんっ」と傘にあたって太鼓みたい。「ずざあずざあ」「じゃばばば」雨が歌ってる! 雨がぼくに「あそぼ!」ってしゃべってくる……。

どしゃぶりの雨の中、びしょびしょになって遊ぶ男の子がとっても気持ちよさそうで、読後の爽快感がたまりません。おーなり由子さんの雨音の表現や、はたこうしろうさんの瑞々しい質感の絵が魅力。絵本好きのスタッフたちにも大人気の一冊です。

【写真中】『あいたいな』(作:阿部 結/ひだまり舎)

雨がたくさん降っている日、女の子は窓辺で「みんな なにしているかしら」と大好きなお友だちのことを思います。「はやく、みんなにあいたいな」と思ったそのとき、素敵なことを思いつきました。

「〇〇ちゃん、なにしているかしら」と友だちのことを思い出す際に、その子のいろんな表情やクセなんかも一緒に思い出してつい笑顔になってしまう、そんな優しい空気が流れています。裏表紙にはみんなで遊んでいる様子も描かれていて、「よかった!」と安心する絵本です。会いたい人へのプレゼントにもおすすめです。

【写真右】『ピッツァぼうや』(作・絵:ウィリアム・スタイグ、訳:木坂 涼/らんか社)

友だちと外で遊ぼうと思っていたのに雨がふってしまい、ピートはご機嫌ななめ。そんなピートをみて、お父さんはある遊びを思いつきます。それは「ピートでピッツァ(ピザ)を作ったらおもしろいかもしれない」という、不思議なアイディア。一体どんな遊びなのでしょうか!?

子どもをピザに見立てて、生地をこねるように子どもをこねたり、伸ばしたり……。画期的な遊び方ですが、この絵本を書いたとき作者は90歳を過ぎていたというから驚きです。この絵本を真似して親子でピザ作りをして遊んでみたら、きっと子どもは大喜びのはず。たくさん笑って、雨の日もご機嫌に過ごしましょう。

まとめ

今回は、雨の日の絵本をたくさん詰め込んでみました。

雨に濡れたり、水たまりで遊んだりする絵本もあれば、雨宿りしたり、おうちで遊んだりと、同じ「雨」がテーマでもたくさんの絵本があります。みなさんの気分に合わせて、楽しんでくださいね。

また、絵本によってさまざまな雨音の表現が登場します。絵と一緒に、言葉の表現のおもしろさも味わってみてください。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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