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2024年07月22日 11:16 更新

15~17歳では2割ほどにとどまる「グルーミング」の認知度、実際に若者が経験したグルーミングの中身とは

性犯罪の手口の一つである「グルーミング」。昨今、メディアでも関連報道が増えており、見聞きしたことがある人もいるでしょう。そのグルーミングがSNSにも広まっており、問題となっています。では、実際にSNSでターゲットにされやすい若い世代は、どのくらいの人がグルーミングを犯罪として認識しているのでしょうか?

全国の15~24歳の男女1,735人が回答

アジアを中心に貧困の中で暮らす子どもたちへの支援活動を行う認定NPO法人チャイルド・ファンド・ジャパンは、全国の15~24歳の男女を対象に「若者を対象としたグルーミングに関する調査」を実施しました。昨今、SNSなど、オンライン空間におけるグルーミングの横行が問題となっています。今回は調査の中から、若者のグルーミングに対する認知度や、実際にオンラインで経験したグルーミングについてお伝えします。

グルーミングとは
もともとは「動物の毛づくろい」を意味しますが、性犯罪においては、性交やわいせつな行為を目的に子どもや若者を懐柔することを指します。信頼関係を築くことによって、性的虐待への抵抗感や疑念を低下させてる意図があると考えられます。

女子高生 スマホ
※画像はイメージです

若い世代は、グルーミングを知っているか?

まず、「グルーミング」と言われる犯罪を知っているかを聞いた設問では、全体で「知らない」と回答した人の割合が73.3%と多くを占めました。年齢別に見てみると、「15~17才」の若い世代は男女ともに、全体と比べて「知らない」という人が多く、男性が79.3%、女性が76.6%といずれも8割近くに及んでいます。

グルーミングについての認知度はまだ低いことがわかります。

「グルーミング」という犯罪について知っていますか。

どんなグルーミングを経験したことがあるか?

次に、オンラインでグルーミングに関連するような経験をしたことがあるかを聞いた設問では、全体の86.5%は「経験したことがない」と回答しています。

一方で経験した人の具体的な内容としては、「性的なトピックに関する会話をされた」6.9%、「性的な自画撮りを送るように頼まれた」4.2%、「性的な画像や動画を送られた」3.7%などとなっています。とくに「性的なトピックに関する会話をされた」経験は、男性の「18~20才」が12.3%、女性の「18~20才」が14.3%、「21~24才」が13.9%となっており、いずれも1割以上の人が「ある」と回答しています。

オンラインで出会った相手から以下のことを経験したことはありますか。

グルーミングを経験したのはいつか?

前問で、グルーミングに関連する経験をしたことがあると回答した人を対象に、その経験をしたのはいつかを聞いたところ、全体では「高校生のとき(中学卒業から18歳未満)」が35.3%、「中学生のとき」が34.4%、「高校卒業以降(18歳以上)」が34.0%と、いずれも同じくらいの割合でした。

男女別で見ると、「高校卒業以降」はやや男女で開きがあり、男性が26.6%に比べ、女性は38.2%と10ポイント以上の違いがありました。また、年齢別に見ると、「21~24才」で「高校卒業以降」の割合が多いことが目立ちます。

オンラインで「グルーミング」行為に巻き込まれた経験がある場合、それはいつ頃でしたか。

グルーミングを経験したSNSは何か?

前問で、グルーミングに関連する経験をしたことがあると回答した人を対象に、その相手から接触されたSNSを聞いた設問では、全体では「X」が45.5%で最も多く、次いで「Instagram」31.1%、「LINE」21.3%となっています。やはり、よく知らない人とつながることが可能なXやInstagramで経験した人が多いようです。

Xに関しては男女とも、「18~20才」、「21~24才」は5割を超えており、男性の「18~20才」においては6割超となっています。一方で、男女ともに「15~17才」というより若い人では、「LINE」と回答した人が他の年齢よりも多いことがわかりました。

「グルーミング」の経験をした相手から接触されたのはどのSNSからでしたか。

グルーミングを経験したとき、どう対応したか?

では、グルーミングに関連する経験をしたことがある人は、そのときにどんな対応をとったのでしょうか。

性的会話になったり、性的な自画撮りを送るよう要求されたり、直接会おうと言われた際、相手の要求にどう対応したかを聞いた設問では、「相手をブロックした」で52.8%、「無視した」が49.8%でした。このいずれかを行った人が多いようです。次いで「拒絶の返信をした」という人が20.0%でした。

なお、「誰かに相談した」という人はわずか4.7%。「拒まず要求に応えた」と回答した人も7.2%いました。

性的な会話になったり、性的な自画撮りを送るよう要求されたり、直接会おうと言われた際、相手の要求にどのように応えましたか。

相手の要求を拒んだ理由

続いて、相手の要求に応えなかった理由を尋ねた設問では、全体で最も多かったのは「気持ち悪かったから」で57.1%と約6割を占めました。次いで「怖かったから」33.0%、「興味がなかったから」30.0%、「相手の行為は間違っていると思ったから」26.1%と続いています。

男女別でみると、男性と比べて女性は「気持ち悪かったから」「怖かったから」と回答した人の割合が特に多いことがわかります。

相手の要求に応えなかった理由は何ですか。

相手の要求に応えた理由

回答数は17と少ないですが、「拒まずに要求に応えた」と回答した人にその理由を聞いたところ、「相手のことが好きで嬉しかったから」、「怖くて逆らえなかったから」がいずれも29.4%となっています。また、「応えないと嫌われると思ったから」、「周りに知られたくなくて頼れなかったから」、「相手の行為が犯罪だと知らなかったから」といった理由も挙がりました。

相手の要求に応えた理由は何ですか

まとめ

SNSを通じてグルーミングと思われる接触を受けた若者が、割合としては多くないものの、一定数いることがわかりました。そうした接触を受けても無視したり、ブロックしたりできればよいですが、拒否できず要求に応えてしまったケースもゼロではありませんでした。その理由を見ると相手に好意を抱いていた状況がうかがえ、グルーミングという犯罪の怖さがあらわれていると言えるでしょう。

グルーミング自体の認知度もまだ低いのが現状です。まずは大人がこうした犯罪の実態を理解し、SNSを使う子どもたちにその危険性を伝えていくことが大切です。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■若者を対象としたグルーミングに関する調査/チャイルド・ファンド・ジャパン
調査対象:全国の15~24歳の男女
調査時期:2023年12⽉22⽇〜2024年1月5⽇
回答数:1,735(男性:747、女性:988)

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