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2024年03月09日 09:20 更新

「ブレーメンの音楽隊」のあらすじ|境遇のバラバラな動物たちが仲間になって知恵を武器に活躍するお話

親子で楽しみたい物語をご紹介している本連載「親子のためのものがたり」。今回は、日本でも親しまれているグリム童話の有名なお話の一つ「ブレーメンの音楽隊」を紹介します。実は意外な結末を迎えるお話でもあるんです。知っているようで知らない方も多いのでは? ぜひ改めてあらすじを確認し、お子さんに聞かせてあげてくださいね。

「ブレーメンの音楽隊」を子どもに聞かせよう!

グリム童話の一つ、「ブレーメンの音楽隊」。誰もが知っているお話ですが、タイトルから考えると実は結末が意外であることを覚えていますか? 泥棒との攻防も一回ではなく二回あるんですよ。今回は楠山正雄の訳をもとにあらすじをお伝えします。

「ブレーメンの音楽隊」のあらすじ

ブレーメンの音楽隊

「ブレーメンの音楽隊」は、人間に処分されそうになって逃げだした動物たちが仲間になって、最後には最良の家を手に入れるというお話です。泥棒をやっつけるシーンでは、見事に勘違いする泥棒の様子がなんとも面白いでしょう。

ブレーメンを目指す音楽隊を結成

年を取ったロバがいました。主人の下で長く重い荷物を運んできましたが、体がいうことをきかくなってきました。それがわかると主人はロバに餌を与えるのをやめようと考えだします。ロバは、こりゃろくなことにならないと気づき、ブレーメンの町へと逃げ出しました。そこへ行って町の楽隊に雇ってもらおうと思ったのです。

しばらく歩くうちに、だるそうに転がって口を開け、はっはと喘いでいる猟犬に出会いました。「おい、なにをあっぷ、あっぷ言っている」と、ロバは声をかけました。

猟犬は言いました。「年を取って昔みたいに猟場を駆け歩けなくなってね。主人に処分されそうになって慌てて逃げ出したんだ。この先どうやってパンにありつくか、考えていたところだよ」

「実はこれからブレーメンの町へ行って、楽隊に雇ってもらおうと思うんだ。どうだ、一緒に行って音楽で飯を食う気はないか。わしはリュートを弾くから、お前さんは太鼓を叩くがいい」

猟犬は、ロバと一緒に出かけることにしました。

少しばかり進むと、道に座り込んだまま三日も雨をくったような顔をした猫がいました。「やあ、どうした、床屋の親方。どうやらお髭の手入れどころではないという顔つきだが」と、ロバは言いました。

「なにしろ年をとって来てね、歯がぼろぼろなんだ。ねずみのやつを追い回すよりか、炉端に座って喉を鳴らしていたいのさ。主人の奥さんがわたしを水に沈めようとするから飛び出しては来たけど、一体どこへどう行ったものか」と、猫は言いました。

「わしらと一緒にブレーメンの町へ行こう、お前さんは夜の音楽ならお手の物だろう。町の楽隊に使ってもらえるぜ」と、ロバは言いました。猫は喜んで一緒に出かけることにしました。

三匹がとある屋敷を通りかかると、門の上でありったけの声を振り絞って、叫び立てるおんどりがいました。「骨の芯まで響くような声を出すなあ、どうかしたのかい」と、ロバは言いました。

「明日の日曜日に、奥さんが情け知らずにもおいらをスープにして食べちまうってんでね。だからせめて声の出せるうちに、明日はいいお天気ですよって、喉の破れるほど喚き立てているんだよ」

「何てこった、赤ずきんよ。わしらと一緒にブレーメンの町へ行こうよ。死ぬくらいなら音楽を流して歩こう。お前は良い声をしているからきっと稼げるぞ」と、ロバは言いました。おんどりはうなずき、四匹は連れ立って出かけることになりました。

\ココがポイント/
✅年老いたロバが主人の下から逃げ出し、ブレーメンで楽団に入ろうと考える
✅ロバは途中で、やはり人間のもとを逃げ出してきた猟犬、猫、おんどりに出会い、次々に仲間にしていく

泥棒を家から追い出すために一計を案じる

ブレーメンの音楽隊

ところで、ブレーメンまではとても一日では行けません。日が暮れたので、森の中で一晩明かことにしました。

ロバと犬は木の下にごろりと横になり、猫とおんどりは木の枝の上で休みました。眠る前におんどりが風の吹く方角を見回すと、向こうにちらちら火らしいものが見えました。
おんどりは仲間に声をかけて、そう遠くないところに家があって、灯りが点いているようだと知らせます。

「じゃあここはやめて、もっと先まで行ってみようや。どうもこの宿は上等とはいかないから」そうロバが言うと、皆も賛成しました。

こういう次第で四匹は、その灯りの差している方角に向かって出かけました。するとそこには泥棒の家があり、中にはこうこうと灯りが点っていました。

仲間でいちばん背が高いロバが窓から中を覗いてみます。「何かあったかね」と、おんどりは尋ねました。「あったかどころの騒ぎじゃないぞ」と、ロバは答えました。「ちゃんとテーブルがあって、結構なご馳走と飲み物が並んでいるよ。泥棒どもがはち切れそうな顔で楽しんでいるさ」

「そいつを物にしようじゃないか」と、おんどり。「うん、どうしたって割り込まなきゃあな」と、ロバは言いました。そこでまず、泥棒どもを追っぱらうにはどうすればいいかと相談を始めましたが、やがて良い考えが見つかりました。

ロバが前足を窓に乗せ、犬はロバの背中に飛び上がり、猫は犬の背中によじ登りました。おしまいにおんどりが飛び上がって、猫の頭の上に乗っかりました。いよいよ支度が出来上がると、一、二、三の合図で一斉に音楽をやりだしました。

ロバはひひんと喚きました。犬はわんわん吠え立てました。猫はにゃおんと鳴きました。おんどりはこけこっこーと時を告げました。そして窓を突き破って、一同部屋の中へ飛び込みます。

泥棒どもはびっくり仰天、きゃあとさけび声をあげて飛び上がりました。大変な怪物が飛び込んで来たとすっかり怯えきって、てんでに家を飛び出し、森の中へ逃げ出して行きます。

そこで四匹は悠々テーブルに着きました。これからあと四週間ぐらい食べられなくてもいいという勢いで、詰め込めるだけたらふく詰め込みました。

\ココがポイント/
✅ブレーメンへ行く途中、森の中で寝ようとしたら、灯りのついた家を見つける
✅家では泥棒がご馳走を食べている最中だった
✅動物たちは大きな化け物に扮して一斉に声を出し、泥棒を追い出すことに成功する

戻ってきた泥棒を再びやっつける

さて、四匹の楽隊仲間はお腹が膨れると灯りを消して、それぞれの習性と好き好きに任せて、良い具合の寝床を探して休みました。ロバは外の堆肥の上に、犬は戸の陰に、猫は灰のぬくもりのあるかまどのそばに。そしておんどりは止まり木のかわりに、屋根裏の梁の上に乗りました。疲れていたので皆ぐっすり眠りっています。

真夜中を過ぎたころ、泥棒たちが遠くから家の様子をうかがっていました。灯りはなく、家の中はひっそりと静まり返っているようでした。「脅かされて逃げ出したと言われちゃあ、我慢できないぞ」お頭はこう言って、手下の一人に言い付けて様子を見せにやりました。

さて、手下が入ってみると家の中はどこもひっそりしていました。そこで灯りを点けてみようと思って、台所へ行きました。すると、闇に光っている猫の目玉を炭火と間違えて、いきなりマッチを突っ込みました。

ところが、猫の方はううう、と猛りながら顔に飛び付いてやたらめったら引っかきます。驚いた手下の泥棒は裏の戸口から逃げ出そうしますが、今度はそこに寝ていた犬が飛び上がって向こう脛に噛み付きました。

そこで、庭へ駆け出して堆肥の側を駆け抜けようとしますと、ロバが後足で強く蹴飛ばします。このさわぎで目を覚ましたおんどりが梁の上からひと声、コケコッコーと怒鳴りました。

泥棒は命からがら逃げ出して、お頭のところへ帰りました。

「どうもあの家にはすごい魔物が入り込んでいます。いきなり気味悪く息をふきかけ、長い指でおれの顔を引っかくんです。戸の前では男にナイフで脛を切られました。庭には黒い怪物がいてこん棒で殴られましてね。上には裁判官がいて、『悪者を個々に連れてこい』と怒鳴るんです。必死で逃げてきましたよ」

それからは泥棒どもも懲りて、二度とこの家に入ろうとはしませんでした。そしてブレーメンの楽隊仲間四匹も、ここが気に入ったので、もう、よそへ出て行こうとはしませんでした。

(おわり)

\ココがポイント/
✅真夜中に泥棒の手下が家の様子を見にやってくる
✅動物たちは暗闇の中でうまく手下をやっつけた
✅手下は魔物に攻撃されたと誤解し、泥棒たちは二度と家に近寄らなかった
✅動物たちは家を気に入り、ずっとそこで暮らした

子どもと「ブレーメンの音楽隊」を楽しむには?

それぞれ身の危険を感じ、それまでいた家から逃げ出してきた、ロバ、犬、猫、おんどり。ブレーメンで楽団に加わろうと出発しましたが、その途中で新たな家を手に入れてそこで落ち着いたんですね。動物が彼らの「音楽」で泥棒を脅かすシーンはわくわくしますし、泥棒が動物の攻撃を勘違いして報告するシーンは滑稽で、子ども笑ってしまうでしょう。

・どのシーンがいちばん気になった?
・どうしてロバは犬や猫、おんどりを仲間に誘ったんだろう?
・泥棒はかわいそうだと思う?
・種族の違う動物たちが仲間になって、平和に暮らしたことをどう思う?


などと聞いてみてもいいですね。動物たちの鳴き声もぜひ、工夫してみてください。

まとめ

体の大きさも特徴もバラバラな四匹が、力を合わせて泥棒をやっつけるシーンはスカッとしますね。個々の力は弱くても、知恵があれば腕力で勝る者にも勝てると教えているようです。また、結局、当初目的としていたブレーメンには行かないわけですが、動物たちが本当に求めていたのは音楽隊になることではなく、心の許せる友人であり、平和に暮らせる家だったのかもしれませんね。人生において何が大切かを考えさせてくれる物語です。

(文:千羽智美)

※画像はイメージです

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