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2024年03月13日 09:53 更新

親の過度な期待が子どもを壊す…!? 思春期を迎える前に知っておきたい子どもとの接し方|抱きしめよう、わが子のぜんぶ #1

我が子に「こうなってほしい」「こういう人間に育ってほしい」という願いは、親として誰もが持っているものではないでしょうか。子どもを愛しているからこその願いですが、その期待が強すぎると子どもは重圧に感じ息苦しくなってしまうことも……。

児童精神科医の第一人者である佐々木正美先生は、半世紀以上にわたり、子どもの臨床にたずさわりながら、さまざまな親子に寄り添ってきました。
佐々木先生の著書『【新装版】抱きしめよう、わが子のぜんぶ』(大和出版)では、思春期を迎える前に今から知っておきたい子どもへの接し方について、さまざまな親子のエピソードとともに解説しています。

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今回はこの中から「思春期につまづいてしまうのはなぜか」についてお届けします。

今できていることを認める

※画像はイメージです

子どもはいつも、親の期待に一生懸命こたえようとしている

私のところにやってきたある女子大生の話です。

彼女のご両親は「できのいい、自慢の娘だ」とおっしゃっていて、実際、勉強もよくできたのですが、妊娠と人工中絶を何度も繰り返すという状態でした。何度繰り返したかわからないほどです。

でも孤独でいられないために、すぐヒッチハイクをして車を止めて、性的な関係をもってしまうということでした。気持ちが沈んでくると、衝動を抑えられないのです。

なぜ彼女はそのような状態になってしまったのか。その根底には、親の期待に一生懸命こたえようとして、がまんや無理を重ねていたことがあります。

その無理が原因で、彼女は自己破壊的な行動を繰り返し、実家にいると何をするかわからない状態が続いたため、両親の了解のもと病院へ入院させました。

入退院を繰り返していたのですが、看護士や医師の献身的なサポートにより、徐々に精神的に安定するようになっていきました。

回復するのに1年以上かかりましたが、ひとり暮らしをはじめ、現在は自立した生活を送っています。

ひとつ残念だったことは、彼女がよくなっていく過程に、両親の変化はなかったことです。最後まで自分たちの育て方は間違っていない。こんなふうになってしまった娘に失望しているという様子でした。

彼女が安定を取り戻したのは、親ではなく医療スタッフの理解とサポートによるものが大きかったのです。

※画像はイメージです

みなさんには子どものことを全部受けとめられるお父さんお母さんであってほしいと願っています。

親がわが子に「こうあってほしい」「こんな人間に育ってほしい」と願うのは当たり前ですし、愛しているからこその願いでしょう。しかし、その期待が強すぎると、子どもはそれを重圧に感じて息苦しくなってしまいます。

小さいときから、聞き分けのいい子でいなさいとか、お稽古事や勉強がよくできるようになりなさいと、自分の希望を伝えすぎていませんか?

そして、希望どおりにならないと、「どうしてできないの!」と責めたり、「お母さんのいうことが聞けないの!」などと、頭ごなしに叱ったりしていませんか?

子どもはお父さんお母さんが大好きですから、その期待にこたえようと本当はがんばっているのです。

がんばっているのに、そんなふうにいわれたらどう思いますか?

「自分はダメな子だ」「お父さんお母さんはわたしのことがきらいなんだ」と自分を否定したり、親に見捨てられたという感情を強くもってしまうでしょう。

子どもはいつだって、親の期待にこたえようとがんばっている。

※画像はイメージです

子どもが思いどおりにならないと、ついイライラしてしまいがちですが、子どもは子どもなりに一生懸命がんばっているのだということを、認めてあげてほしいと思います。それを否定して、「親に見捨てられる」と思わせてしまうことは、本当に危険です。子どものいうことを聞いてあげる、要求を満たしてあげる、できないことを指摘するより、できていることを見つけて「がんばってるね」といって応援してあげる。

こうして育てていくのがいいのですね。

思春期以降の精神的な危機の問題は、その最初のステップである乳幼児期に親のいうことを聞かせすぎた結果であることが多いのです。

あるいは子どものいうことを聞いてあげながら育児をすることが不足した結果だといってもいいでしょう。

子どもに期待を寄せることよりも、今がんばっていること、できていることを見つけて、「よくがんばってるね」と認めてあげてほしいと思います。

まとめ

「こうしなさい」ではなく、
「がんばってるね」とたくさん応援してあげましょう。

この記事は、佐々木正美著『【新装版】抱きしめよう、わが子のぜんぶ』(大和出版)より一部抜粋・再編集したものです。

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