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2023年10月31日 07:07 更新

「親の焦り」は一番の障壁!? 子どもの「考える力」を親子のおしゃべりで伸ばす方法|岩瀬先生インタビュー<後編>

「自分で考える力」を養うためには、勉強しないといけないと思ってはいませんか?毎日の会話の中で楽しく「考える力」を養うコツについて、『3~6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム』(小学館クリエイティブ)の著者、かたばみ塾の塾長・岩瀬政行先生にお話をうかがいました。

一番重要なのは「楽しく遊ぶ」こと。同じ問いかけばかりせがまれてもつき合って

――先生は「考える力」を毎日の会話の中で養う方法として、『3~6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム』の中で、楽しく問いかけられる「おしゃべりゲーム」を紹介されています。
保護者の方はお子さんとおしゃべりゲームをしながら、「1つのことだけでなく、幅広く考える力を伸ばしたい」と思っていることと思います。そのためには、同じ質問を問いかけてもらいたがっても、いろいろな問いかけをしてあげた方がいいのでしょうか?

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イラスト: つむぱぱ
『3~6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム』より


岩瀬 おしゃべりゲームで一番重要なことは、「楽しく遊ぶ」ということです。
繰り返しやりたがるおしゃべりゲームがあったら、楽しくやっているでしょうから、それをどんどんやりましょう。子どもの気が乗らなかったら、その子にとってそのゲームはまだ早いかもしれないので、やらなくていいということになります。
できるゲームを繰り返しながら考える力を鍛えていくと、他のゲームもできるようになることもあります。
焦らずに親も一緒に楽しみながら、少しずつできるものを増やしていただけたらと思います。

――本の通りにおしゃべりゲームが進まなかったり、上手に問いかけられないこともあるかもしれません。本を見ながらやった方がいいのでしょうか?

岩瀬 「考える力」を育てるために必要なのは、「子どもにたくさん考えてもらうこと」です。
だから「おしゃべりゲーム」を見ながらやっても、見ないでやっても、それほど効果は変わらないと思います。状況に応じて、アドリブで質問やツッコミを変えてもらってもいいんです。
子どもが言ったことに疑問を持ったら、その理由を聞いて、子どもに考えさせ、 面白いことを言ったら、褒めて感心して、もっと出てくるようだったら、その続きを聞いてみることで考えさせ、その時その時の状況で自由にどんどん考えていきましょう。

子どもが喜ぶ問いかけを続けるうちに、考える力が深まり育つ!

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イラスト: つむぱぱ
『3~6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム』より

――言葉が遅い子、話すのが苦手な子の場合は、言葉で返せないこともあります。また、年齢が小さい子ほど、途中で飽きてしまっておしゃべりゲームの問いかけに答えたがらない時もあるかもしれません。その場合は、いったん問いかけをやめていいのでしょうか?

岩瀬 途中で飽きてしまい楽しめないようでしたら、そこでやめた方がよいでしょう。楽しくないゲームをやっていても、あまり効果も出ません。
また、子どもの成長速度はそれぞれなので、言葉が遅い子、話すのが苦手な子の場合は、最大限ヒントを出しても、できそうにないのであれば、このゲームをやるにはまだ早いのかもしれません。いったんやめて、しばらく間を空けて成長してからやるといいと思います。

――保護者が問いかけて考えさせようとしても子どもはうまくできなくて、癇癪を起こしたり泣いてしまったらどうすればいいでしょうか?

岩瀬 うまくできなくて癇癪を起したり泣いてしまう子は、「やりたい気持ちは強い」けれど、「できなくて悔しい」ということだと思います。
その場合は、できるだけ簡単なものからやり、できるだけヒントを出しながらやるとよいと思います。

――癇癪や泣くのはやりたい気持ちがあるからこそ、なんですね。子どもが考えやすいこと、答えやすいことも考えてあげるのがよさそうですね。

岩瀬 子どもによって、苦手なタイプのおしゃべりゲームもあります。その場合は、その子にとって得意な問いかけを中心にやるといいですね。やっているうちに少しずつできるようになってくると思います。
いつもはできているのにその日はできない、というのであれば、また気が乗った時にやりましょう。できない日に無理にやっても効果が見込めないからです。

子どもが答えない、親が無口……。そんな時もうまくいくコツ

――「お勉強!」という感じで取り組むのではなく、あくまで子どもが楽しい気持ちで、会話をしながらたくさん考える機会を持つことが大切なんですね。
子どもによっては「わかんない」「教えて」と言って、なかなか自分で考えようとしないこともあるかもしれません。そういう場合は、親が答えてみせていいのでしょうか?

岩瀬 いろいろな方向からヒントを出して、できるだけ子どもが自分で考えるように促してみましょう。
子どもが答えないからといって親がすぐ答えを教えてしまうと、あまり考えることなく終わってしまうので、なるべく、答えは教えないようにしてください。
最初は上手に答えることができないために「わかんない」「教えて」と言ってしまっても、親が根気強くヒントを出せば、子どもが自分で答えられることがあります。答えることができたら褒めてあげると、子供はどんどん楽しくなっていきます。
それを繰り返していくうちに、ヒントがあまりなくても答えられるようになっていくでしょう。

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イラスト: つむぱぱ
『3~6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム』より


――保護者も怒ったりしないで、気長に取り組む必要がありますね。

岩瀬 答えられないからといって、怒るのは絶対にしないでください。
もし他のことが気になるなどの理由でやる気がなくて「わかんない」「教えて」と言ってしまうようなら、その日はやめて別の日にやりましょう。

――保護者自身が無口だったり話すのが苦手な場合、いい取り組み方はありますか?

子どもの回答や反応に応じようとして言葉が詰まってしまう場合は、
「どうしてそう答えたの?」
「どうしてそう反応したの?」

と理由を聞くと、子どもに考えさせることができます。
連続で使うこともできるので、返答に困った時は使ってみてください。

焦りやイライラはやめて、ゆっくりその子のペースで考える力を養おう

――「考える力」をつけたくてつい効果を期待したくなりますが、保護者は焦らず、一緒にリラックスして楽しむのがよさそうですね。

岩瀬 この本に限らず、教育でもスポーツでも何でも、子どもの成長を妨げる一番の要因は「親の焦り」だと私は感じています。
「うちの子はこんなにできないのか?」「なんでこんなこともできないのか?」というように親が焦ってしまい、その結果、イライラし、怒ることが子どものやる気、成長を妨げてしまいます。
焦らず、イライラせず、怒らず、ゆっくり、その子のペースでやっていきましょう。
子どもそれぞれの現時点での成長段階が違います。おしゃべりゲームがなかなか進まない場合はゆっくりとやるのがよいでしょう。

保護者も一緒に「考える力」を伸ばしていける

――ゆっくり楽しくやった方が、保護者自身も楽しめそうですね。

今回の書籍はは3〜6歳向けとなっていますが、小学生や大人がやっても簡単すぎる内容というわけではありません。
子どもの考える力を伸ばすために作りましたが、一緒にやる親の考える力も、同時に伸ばすことができる内容でもあります。子どもの回答をよく聞き、それに対してよく考えることで、親も考える力を鍛えていきましょう。

(解説:岩瀬政行、聞き手・構成:大崎典子)

書籍『3〜6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム』

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2020年度に改定された学習指導要領からは、「考える力」=思考力がこれからの時代に必要なスキルとして重視されています。家庭で考える力を養いたいと考えている親御さんたちにおすすめなのが、『3~6歳 考える力がぐんぐん伸びるおしゃべりゲーム 発想力と語彙力が身につく!』です。

思考力をやしなえる「おしゃべりゲーム」100問を掲載!
「おしゃべりゲーム」では、親子の会話だけで考える力をはぐくめるように工夫されたメソッドをまとめています。親子で楽しめる「おしゃべりゲーム」は計100問あり、毎日のちょっとした会話の中で楽しく取り組むことができます。どのゲームも、「考える力を身につけること」を重視する、東京都江東区の学習塾・かたばみ塾によって考案されたものです。

子どもが考えを深めるために親ができるメソッドもわかる
ただ会話をするだけでなく、子どもが考えやすいように具体的に問いかけたり、急かすことなくゆっくり最後まで耳を傾けるなどと、より効果的に「考える力」をはぐくむためのメソッドを“おしゃべり”を使ったゲームに落とし込んでいます。Instagramのフォロワー数が約76万人(2022年9月現在)の人気クリエイター、つむパパ氏のかわいい挿絵ととも、楽しみながら取り組みましょう!

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