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2023年05月28日 05:41 更新

中学受験をご自身で経験された保護者の方が知っておくべきこと|低学年のための中学受験レッスン#13

中学受験を目指す家庭は「保護者自身が中学受験経験者」であるケースも意外と多いそう。実体験にもとづいたアドバイスは、子どもの受験に役立ちそうですよね。けれど、親の知識が「令和の中学受験」へアップデートできていないと、不幸な結果を招くことも…。中学受験専門家・宮本毅先生が、親の受験経験の活かし方・注意点を教えてくれました

「令和の中学受験」の熾烈さは想像以上

小学生の親世代が経験した「昔の中学受験」と、現在の子どもたちが立ち向かう「令和の中学受験」には、さまざまな相違があります。

ただ、ひとくちに「昔」といっても幅が広すぎますよね。

そこで、今から約20年前、中学受験業界に激震が走った「ある出来事」を区切りとし、それ以前に中学受験を経験した方々の記憶を「昔」と定義させていただこうと思います。

業界に激震を起こした「午後入試」

では、その後の中学受験の様相を一変させるほどの20年前の「出来事」とは、一体何だったのでしょうか。

それは「午後入試」の導入です。

今でこそ午後に入試があるのは、中学受験においては「当たり前」のことですが、昔は「当たり前」ではありませんでした。

中学受験の様相を一変させたのは、2002年に高輪中で「2/2午後入試(算数1科目入試)」が導入されたことです。

ここから午後入試を導入する学校が徐々に増え、現在では多くの学校が午後入試を実施しています。午後にしか入試を行わない学校も出てきたほどです。

では、午後入試の導入は、中学受験をどのように変容させたのでしょう。

受験機会の増大は倍率UP、難易度UPに繋がった

最初は「受験機会が一回増えてラッキー」くらいな感じでした。学校側としても、他校に流れていた優秀層を取り込むことができますので、双方にとってwin-winな制度だったことは間違いありません。

しかし多くの学校が午後入試を取り入れたことで、それが「併願パターン」へと組み込まれることとなり、午後入試が当たり前のこととなっていきました。

皆が受ければ当然倍率も上がります。倍率が上がれば各校の偏差値も上がります。

偏差値が上がれば当然人気も出ます。

人気が出ればますます難度が上がるという正のスパイラルに入ります。

学校としてはウハウハですが、受験生にとってはそれまで合格できたはずの学校にも受からなくなっていきます。

また、かつては2月に受ける学校は3~4校でしたが、午後入試が併願パターンに組み込まれることで、子ども達の受験校数がものすごいことになり、負担が激増する結果となりました。

生徒の中には「2/1の午前・午後、2/2の午前・午後、2/3の午前・午後、2/4の午前・午後、2/5の午前・午後、2/6、2/7」と12連続受験となったケースもあったそうです。

中学受験が以前よりはるかに激戦であるとまず理解しよう

ですから「昔」中学受験をした保護者の皆さんは注意が必要です。

理解しておいてください。中学受験はかつてのそれよりもはるかに激戦で、はるかに難度が上がっているということを。そのため、かつては皆さんが滑り止め校にしていた学校に、今は合格するのも至難の業だということを。

そのあたりをきちんと理解しておいていただかないと、「あなたはなんでこんなに偏差値が低いの!」とか「このままじゃ私がかつてすべり止めに受けた学校しか受からないじゃないか!」とかいうことになってしまいます。

そうなるともう「不幸な結末」しかなくなってしまいます。

校名変更にともない、難関校と化した学校も

多くの学校が「校名変更」しているのも大きな変化のひとつです。例を挙げるとこんな感じですね。

嘉悦女子→(2006)かえつ有明
順心女子→(2007)広尾学園
戸板女子→(2015)三田国際
日本橋女学館→(2015)開智日本橋
村田女子→(2021)広尾学園小石川
東京女子学園→(2023)芝国際

こうしてみると多くの女子校が共学化して、偏差値も大幅に上げているのが分かりますね。

広尾学園や三田国際などは、もはやトップ校の一角です。失礼ながら、かつて女子校だった時代には考えられなかったことですね。

こうした情報についてもアップデートしておかないと、時代についていけなくなります。

「中学入試=暗記勝負」は過去の話

入試問題については、今も昔も「つるかめ算」や「旅人算」は出題されますし、「なんと(710年)見事な平城京」というような語呂合わせを使った覚え方も健在です。

一部で「グリセリン」が「モノグリセリド」に変わったというようなケースもありますが、基本的には出題内容が大きく変質しているということはありません。

ただ昔に比べて圧倒的に「考えさせる問題」や「記述問題」が増えていることが特徴です。

問題は「昔に比べて、覚えるべきことがはるかに多くなった」ということです。ビックリするくらい深くて広い知識が必要となりました。

大まかな目安ですが、皆さんが大学受験の時に習った「日本史」の知識レベルが、今の中学受験の知識レベルだととらえていただくといいかなといった感じです。

それほど令和の中学受験は過酷だということです。

変わらない部分でのサポートは大いなる力に!

だからといって、昔の中学受験経験者の知識と経験は現代の中学受験には役に立たないのかというと、そんなことは決してありません。

先ほども述べた通り、算数では相変わらず「過不足算」とか「ニュートン算」が出題されます。その解法も昔ながらでまったく変わりません。

お父さんお母さんの受験算数をやった経験は大いに役立つでしょう。

特に最近の中学受験はとにかくやることが多すぎて、塾の授業だけでは子ども達は消化不良に陥りがちです。保護者の皆さんがそこをフォローできれば、大きなアドバンテージを得ることができるでしょう。

ぜひご自身の受験経験を活かして、お子さんをサポートしてあげてください!

中学受験ナビの連載『低学年のための中学受験レッスン』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ

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