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2022年10月01日 05:55 更新

親の57%は体罰を許容? 保育士が見た「家で叩かれてる子」の特徴的な3つの行動

「おしりぺんぺん」や「頭ごつん(げんこつ)」など、“子どものしつけに体罰は必要“ と考える親御さんもいるかもしれません。でも、それは本当に効果的な方法なのでしょうか? 体罰がもたらす影響について考えてみましょう。

「体罰が必要」だと思っている人は多い

体罰についての意識の割合グラフ
体罰についての意識 [*1]

上の図で示したように、20,000人を対象に行われた調査では、程度の差はあるものの「体罰を容認する」という大人はなんと全体の60%近くもいたという結果となりました[*1]。

もちろん、このなかには「虐待」と考えられるほどの暴力から「軽くたたく」というものまで、人によってさまざまな程度を想定していると考えられますが、それにしても多いとは思いませんか?

軽くたたくなら大丈夫?

「軽くたたくくらいは体罰じゃないでしょ?」と思っている人もいるかもしれません。そもそも「体罰」とはどのような行為を指すのでしょうか。

体罰とは、教育のためという名目で、「身体に、何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為」のことを言います[*2]。

軽くたたくのも体罰

「痛みの程度が軽いから問題ないだろう」「感情的になっていないからセーフ」などと思うかもしれませんが、たとえ軽くでも、お子さんを叩いて言うことを聞かせようとしたり、必要だからといけないことをしたら強く怒鳴ったりという行為は、れっきとした「体罰」です。

以下に挙げる行為も、すべて体罰です[*2]。
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・ 言葉で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬をたたいた
・ 大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
・ 友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
・ 宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった

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最初は軽い体罰だったとしても、子どもがそれに慣れてしまったり、親が自分を守るために体罰を正当化し始めると、さらなる体罰に繋がったり虐待にエスカレートすることもあります。

なぜいけないの?体罰の与える悪影響

泣いている小さな女の子
Lazy dummy

2020年4月施行の「児童福祉法」と「児童虐待防止法」に、体罰の禁止が新たに規定されましたが、法律で禁止されたから体罰をしてはいけないのではありません。

体罰にはさまざまなデメリットがあるのです。

【1】問題行動のリスクが上がる

「親から体罰を受けていた子ども」は、全く受けていなかった子どもに比べて、
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・落ち着いて話を聞けない
・約束を守れない
・一つのことに集中できない
・我慢ができない
・感情をうまく表せない
・集団で行動できない
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などといった行動の問題を起こすリスクが高くなり、体罰の頻度が上がるほどこうした問題を起こす可能性は高くなると言われています[*2]。

【2】成長や発達に影響がある

体罰や暴言は子どもの心身に多大なダメージを与え、その後の成長や発達に影響すると言われています。

私が実際に保育士・幼稚園教諭として見てきた「親によく叩かれているという子」では
✅ なでようと手を出すと「頭をかばう」ようなしぐさをして怯える
✅ 名前を呼ばれただけで「叱られる」と感じ、暴れたり逃げ出したりする
✅ ママが怖いので叱られないように「ママの前でだけいい子」にし、幼稚園や保育園ではトラブルばかり

というケースがありました。

【3】親に相談できなくなり非行に繋がる

体罰をされることで、子どもは親に対して恐怖を抱くようになります。

困ったときに相談することができず、結果、非行や犯罪など別の問題に発展してしまう可能性もあります。

【4】体罰は自己肯定感も下げる

体罰は、一時的に効果があるように感じられるかもしれません。しかしその勘違いはとても危険です。

「忘れ物が多い子」に対して叩いて叱ったとして、翌日はその恐怖を覚えているので効果があるかもしれません。ですが、体罰では問題の根本は解決されないため、子どもはまた忘れ物を繰り返します。

「なぜ忘れてしまうのか」「どうしたら忘れないのか」を一緒に考え、解決法を見つけるサポートをしていくことが大切なのです。

体罰を与えたところで問題は解決しないので、子どもはその行動を繰り返すことになり、その度に
「こんなに叱られるのに、どうしてわたしは忘れ物をしてしまうんだろう……」と落ち込んで、自己肯定感も下がっていく可能性があります。

ブランコで遊ぶ母子
Lazy dummy

体罰はダメ、と言われても、じゃあどうやってしつければいいの?と悩む親御さんも多いのではないでしょうか。体罰によらない子育てのコツには以下のようなものがあります。
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・子供の気持ちを聞き、なぜそんなことをしたのかを考える
・子供なりの気持ちを尊重し、言うことを聞かせようとしない
・子供の「イヤ」に対抗せず、一旦受け止めたり、クールダウンの時間をおく
・叱らないで済むよう、環境を整える
(触ってはいけないものはしまっておく など)
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そのほか、体罰をしない子育てのコツの詳細や、思わず体罰をしてしまうケースなどについては、以下の記事の中で詳しく解説しています。
▶︎「おしりぺんぺん」は効果的?体罰のもたらす悪影響と上手な回避方法【教えて保育士さん】(文:mamaco / 元保育士・幼稚園教諭)

※本記事は上記の記事を一部抜粋したものです
※画像はイメージです

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※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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