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2022年09月26日 07:15 更新

「子供に薬はよくないのでは?」そう考える保護者に現役小児科医が知っておいてほしいこと

「子供に薬はよくないのでは……」と考える保護者は多いもの。でも薬が必要なときには使ってほしいと、森戸やすみ先生。子供と薬についての基本的な考え方を聞きました。

不安に思わなくても大丈夫

(photoAC)

子供に薬を飲ませたり、塗ったりすることに抵抗を感じる保護者は、意外と少なくないようです。実際、診察室でも保護者の方から「薬を飲ませるのはよくないのでは?」「体が弱くなりませんか?」「体に薬の成分が蓄積してしまうのでは?」などと聞かれることがあります。

もしかしたらご自身が子供の頃に、周囲の大人から「薬はできるだけ飲まないほうがいい」「薬は癖になる」などと言われ、頭痛や発熱、月経痛などのときにもつらさを我慢してきた経験から、そう思ってしまう方もいるのかもしれません。

もちろん、どんな薬も万能ではありませんし、薬にはメリットもデメリットもあります。メリットは「効果」で、デメリットは「副作用」ですね。

だから基本的に、専門家である医師が患者さんの症状を診たうえで、薬が必要で、かつメリットがデメリットを上回る場合に処方するのです。また多くの一般的な薬には、用量用法を守って使えば、それほど深刻な副作用はありません。

処方薬にしても市販薬にしても、厳しい検査や臨床試験などをパスしてきたものですから、「薬は毒」「癖になる」ということは考えられないのです。薬を飲んだり塗ったりしたせいで免疫力が下がったり、体が弱くなったりすることもありません。

それから、ほとんどの薬は体に蓄積されないからこそ、1日に1〜3回ほど飲んだり塗ったりする必要があるわけです。以上のように考えると、一般的な薬の安全性については、それほど心配する必要はありません。

薬は必要に応じて使うべきもの

もちろん、薬を使わなくても自然に治るのであれば、それに越したことはないですね。私を含めて、多くの医師も同じように思っていると思います。

ただ残念ながら、薬を使わないと治らない病気もたくさんあるのです。例えば、アトピー性皮膚炎はごく軽度なら清潔を保って保湿するだけでよくなる場合もあるでしょう。しかし、怖い薬だと誤解されている「ステロイド」が必要な場合も多いでしょう。

確かにステロイドは使い方に注意が必要な薬ではありますが、薬の強さや使用頻度や量などに気をつけて使えば、アトピー性皮膚炎の改善にとても効果的で、お子さんのつらさを軽減することができます。それだけでなく、皮膚の状態がよくなることは食物アレルギーなどを予防することにも繋がるのです。

このように薬は必要だから処方されるもの。だから反対に風邪をひいても、さほどつらくないのであれば、薬は必要ありません。風邪の場合は、大人でも子供でも多くは自然に治癒するうえ、根本的な治療薬はなく対症療法の薬があるだけだからです。軽い嘔吐下痢や手足口病などの場合も同じですね。

念のために小児科を受診しても、医師に「薬はなるべく飲ませたくないです」と伝えても構いません。一方、高熱が出てつらそうであれば解熱薬、鼻水で息が苦しいのであれば抗ヒスタミン薬、といったように必要な薬は我慢しないで使っても問題ありません。ゆっくり休んで早く回復するためにも、薬の力を借りるのは決して悪いことではないからです。

お子さんに何かつらい症状がある場合は、小児科医や薬剤師に相談してくださいね。

参照)森戸やすみ『子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)

(編集協力:大西まお)

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