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2022年07月04日 07:15 更新

「冷房は子供によくない?」「汗腺が発達しなくなる?」そんな疑問に小児科医が回答!

冷房をつけたくても「子供にはよくない」「汗腺が発達しない」と言われると不安になってしまいがち。でも、冷房って本当に子供によくないのでしょうか? 森戸先生に教えてもらいました!

特に子供は暑さに弱いもの

(photoAC)

「子どもに冷房はよくない」という説を耳にすることがあります。でも、じつはこの説には根拠がありません。むしろ、大人もですが、特に子供は暑さに弱いので、暑い時期には冷房をほどよく使っていただけたらと思います。

もちろん、子供でも大人でも、設定温度を低くしすぎて寒く感じたり、お腹が痛くなったりすればよくないでしょう。でも冷房を使って室温が高くなりすぎないようにするのは全く問題ありません。病院の環境を考えてみてください。常に冷房や暖房などを使って、適度な室温を保っています。

では、どうして子供は暑さに弱いのでしょうか。じつは子供は年齢が低いほど、体温調節機能が未熟なものです。大人に比べて、暑さを感じてからすばやく十分な汗をかくことができません。また、子供は小さいぶん、体が温まりやすく冷めやすいのも特徴のひとつ。

そのうえ幼い子は、体の異変に気付きにくかったり、言葉できちんと「暑い」と伝えることができなかったり、衣服や室温の調節をしたりすることができなかったりします。まして「熱中症になるかも」と身の危険を感じて気をつけることはできないでしょう。

しかも近年は温暖化によって、夏の暑さが厳しさを増しています。その昔は30度を超えると「猛暑日」と言われていましたが、今では40度を超える日が多々あるのです。だから大人が気をつけて、子供のために室温を調整してあげる必要があります。

汗腺が発達しないことはない

ときどき「日中はともかく、夜くらいは冷房をやめたほうがいいでしょうか?」と聞かれることもありますが、やはり暑く感じるようであれば、冷房をつけたほうがいいでしょう。ヒートアイランド現象によって、特に都会は気温が高くなりやすく、夜になっても涼しくならないことがよくあります。夜間でも熱中症になるリスクはありますし、暑さで眠れないと、親子ともに体調不良や事故につながりやすいでしょう。

そのほか「冷房をつけると、汗腺が発達しないからよくない」という意見も聞きますが、冷房のきいた部屋から一歩も出ず、まったく汗をかかないという子はなかなかいないですよね。たいていの場合、一日に何度も暑い場所へ行くはずです。

例えば、保育園や幼稚園の行き帰り、園庭や公園での外遊びの時には、暑くて汗をかくでしょう。こうして汗をかく程度、1日1~2時間くらい暑い環境にいると数日から2週間で暑熱順化といって暑い環境に体が慣れるといわれています。日本で普通の生活をしているなら、無理に汗をかかせたりしなくても大丈夫そうです。

それに汗腺の発達も大事ですが、やはり子供でも大人でも、暑い部屋に長時間いると熱中症になりかねないので危険です。室温を適度に保ち、それに合わせて暑すぎず寒すぎないよう衣服を調節しましょう。あとは、お子さんの様子をよく見るようにしてくださいね。

参照)
朝日新聞アピタル「汗をかく力は2歳までに? エアコンは子どもに悪いのか」
森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケア』(内外出版社)

(編集協力:大西まお)

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