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2022年12月28日 17:00 更新

陶器と磁器の違いとは?それぞれの特徴やお手入れ方法を解説

日本を代表する焼き物の一種として、古くから親しまれている「陶器」と「磁器」。耳にしたことはあるけれど、いまいち違いが分からない!という方も多いのではないでしょうか。この記事では、陶器と磁器の違いについて簡単にご紹介。あわせて見分け方や使い分けについても解説します。

陶器と磁器の特徴と違いは?

日本を代表する焼き物が、せっ器・土器・陶器・磁器の4つです。このなかで、私たちの生活に身近な焼き物が陶器と磁器です。

「陶磁器」と呼ばれることもありますが、これは陶器と磁器の総称のこと。陶器、磁器、陶磁器……色々あって「一体なにが違うのだろう……」と、気になってしまいますよね。

ここでは、それぞれの違いについて簡単に解説していきます。

原材料の違い

陶器は、木節(きぶし)粘土と蛙目(がいろめ)粘土といった、粘土が主な原料です。一方で、磁器は陶石・カオリン・長石・硅石(けいせき)などを細かく砕き、粘土質にしたものを原料とします。

これらの原料の比率が、それぞれで異なるのが大きな違いのひとつです。その比率を細かく見てみると、下記のようになります。

・陶器:長石10%、硅石40%、粘土50%
・磁器:長石30%、硅石40%、粘土30%[*1]

簡単にまとめると、陶器は粘土が主な材料であり、陶器はガラス質の石を主な材料としています。その分、陶器は磁器よりも肉厚になり、磁器は陶器よりも薄く仕上がるのです。

焼くときの温度の違い

焼き物を作るときには、焼成(しょうせい)と呼ばれる工程が必要です。これは原料を高熱で焼いて性質を変化させるために行います。

この焼成の温度も、陶器と磁器で違います。磁器は高温で焼成するのが特徴で、約1300度前後の温度で焼き上げます。一方で、陶器は磁器よりも温度が低く、約1200度ほどです。

硬さの違い

高温で焼き上げる磁器は、陶器よりも硬いのが特徴です。反対に、低温で焼く陶器は磁器よりも割れやすく、扱いに気を付けなければいけません。

磁器は薄くなめらかな感触であるのに対し、陶器は厚ぼったくぼこぼことした感触なのも違いのひとつです。

吸水性の違い

陶器の場合、私たちの目には見えないほどの、無数の小さな穴が開いています。この穴が水をよく吸ってくれるので、吸水性が高いのです。一方、磁器は吸水性がほとんどありません。

なぜ、陶器に穴が開いているのかというと、粘土を主原料としているため、素焼きの時点で多くの空気を含んでいるのが理由です。これが焼成時に気泡となり、無数の穴になります。

ただ、そんな陶器も、釉薬(うわぐすり)を塗った場合は、吸水性がなくなります。

陶器と磁器の見分け方は?

これまで、陶器と磁器の違いについて解説しました。ここからは、実際に雑貨店や食器専門店で陶器や磁器を手に取ったときに、それぞれを見分けるポイントをご紹介します。

まず、商品を手に取ったら、光にかざしてみてください。陶器は素地に色がついているため、光をほとんど通しません。反対に、素地が白い磁器は光をよく通します。

軽く叩いたときの音で判断するのも良いでしょう。ほとんどがガラス質でできた磁器は「キーン」と高い音が鳴りますが、粘土質の陶器は「ごん」と鈍い音がします。

このとき、陶器はもろいのであまり強く叩きすぎないように注意しましょう。

陶器と磁器の代表的な種類は?

一口に「陶器」「磁器」と言っても、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。ここでは、陶器と磁器の代表的な種類をご紹介します。

【陶器の種類】
・益子焼(ましこやき)
・備前焼(びぜんやき)
・常滑焼(とこなめやき)

【磁器の種類】
・伊万里焼(いまりやき)
・有田焼(ありたやき)
・瀬戸焼(せとやき)

焼き物に詳しくなくても、どれも「聞いたことがあるな」といった名前ばかりではないですか?これから陶器や磁器を購入するなら、有名なものから手に取ってみても良いかもしれませんね。

陶器と磁器の特徴をいかした使い分け方

ふたつの焼き物は一見似ているようで、さまざまな違いがあることが分かりましたね。さらに、それぞれの特性を踏まえたうえで使い分けることができれば、陶器と磁器の強みをより発揮できます。

たとえば、保温性と吸水性が高い陶器であれば、あつあつのお茶を注ぐマグカップや、ほかほかのご飯を盛り付けるお茶椀、調理後も冷めにくい土鍋が最適です。

丈夫で割れにくい磁器は、マルチに使いやすいのが特徴です。普段使いするお皿やコップに適しています。商品によっては電子レンジの使用OKなものもあり、温め直しができるのもうれしいポイントです。

陶器・磁器を扱うときの注意点

陶器も磁器も繊細な焼き物なので、扱い方を間違えると、傷がついたり、割れたり、カビが発生したりする可能性があります。食卓に取り入れる前に、注意点をおさらいしておきましょう。

陶器と磁器の洗い方

吸水性の高い陶器は、ニオイや汚れがすぐに染み込みやすいので要注意。つけ置き洗いは避け、使い終わったらなるべく早く洗うようにしましょう。

また、磁器と比べてもろい陶器は、ほかの食器とぶつかることでヒビが入ったり、割れてしまったりする恐れがあります。なるべくほかの食器と分けておくと安心です。

磁器を洗う際も、なるべくほかの食器とぶつからないようにして、早めに洗うようにしましょう。色絵や金彩がついた磁器の器は、強くこすると絵が剥がれるかもしれません。柔らかいスポンジなどで洗ってください。

陶器と磁器のお手入れ方法

陶器の場合、水分が残ったまま収納してしまうと、カビが発生する可能性があります。ふきんなどで拭いた後でもしっかり風を通し、完全に乾かしてから収納しましょう。特に土鍋などは乾きにくいので要注意です。

磁器は丈夫で割れにくいものの、万が一割れてしまうと、ガラス質であるため大変危険です。なるべく子どもの手が届かない安全な場所で保管しましょう。陶器と磁器は傷つくことがあるため、なるべく重ならないように収納するのがベストです。

まとめ

この記事では、陶器と磁器との違いを解説しました。
似ているようでまったく違う陶器と磁器には、はっきりとした見分け方があります。この記事で紹介した見分け方のポイントを参考に、自分好みの素敵な焼き物を選んでみましょう!

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