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2022年02月16日 06:15 更新

【ワンオペ育児に関わり隊】こんなの欲しかった!!! 共感とアイデア続々「栄養士も」「つわり妊婦にも」、発案者の思いを聞いた

Twitterで話題の投稿を編集部がピックアップ!今回は、いまこそ多くの人に知ってほしい、ワンオペ育児のお悩みを解決する「子育てサポート案」をご紹介します。

「ワンオペ育児に関わり隊」が話題

ワンオペ育児をめぐるTwitterでのある投稿に、子育て世代から多くの共感の声が寄せられています。

雨滴堂(@Utekido)さんが投稿した、「ワンオペ育児に関わり隊」と題したイラスト図。いらすとやさんの素材を使って、ワンオペ育児に疲弊し助けを求める人のもとへ育児の専門家チームが駆け付け、子育てをサポートする流れが描かれています。

出典: https://twitter.com

孤立しやすい現代日本の子育てシーンにおける「あったらいいな」を、ポップなイラストで伝えていますが、その投稿に込められた切実さがひしひしと伝わってきます。雨滴堂さんに、この投稿の背景を聞きました。

親たちを追い詰める無理解

――「ワンオペ育児に関わり隊」の投稿に、大きな反響が広がっています。なぜこの投稿をされたのですか?

雨滴堂さん ワンオペ育児をめぐる世間の解像度の低さや無理解が、子育ての現場で奮闘する親たちを追い詰めていると感じています。無理解のひとつの発露の形が、ネットでのコメントです。虐待事件がワンオペ育児と紐付けられて報道されるたびに、「死刑だ」と熱狂する方は少なくありません。
ただ、密室で赤ちゃんを抱き、ようやく寝かしつけてスマホに目を落としたところに、「育てられないなら生むな」「虐待は死刑だ」といった短絡的なヘイトが並んでいたら……。
お母さんのことを考えたら、そういった発言こそ慎むべきであり、事件に対して行うべきは、『なぜそこに至ってしまったか』『どうしたら防げたか』『どんな介入をすれば再発を防げるか』といった建設的な議論だと考えます。すべては児童虐待を未然に防ぐために、ですね。
私は事件に関しては報道を聞いて初めて知る立場なので、『なぜ起きたか』に関しては言及できません。自分の体験を元に『どうしたら』を想像し、『どんな』を考えてダメ元で発信していくくらいしか、できません。ですから、私にできることとして、育児において必要だと感じる福祉サービスを考え、図にして発信した次第です。

――雨滴堂さんも「孤育て」を経験しているそうですね。この投稿はご自身の体験が背景にあるのでしょうか。

(雨滴堂さんnote「密室の中で、起きていること」参照)

雨滴堂さん 子どもが年中後半で保育園に入るまでのおよそ4年間、24時間365日子どもと密着して過ごしていて、話す大人といえばかかりつけの小児科医の先生と受付の方、スーパーのレジ打ちスタッフさんくらいでした。
特に30分以上続けて眠るのが困難な子でしたので、まとめて眠れない・横たわっていられないこと、答えがないなかで自分だけで育児に取り組む、いわば絶対に失敗が許されない状況がしんどく、緊張の糸が切れて理性を失ったらとんでもないことをしてしまうのではという恐怖感に常にさらされ、我が子を「かわいいなあ」と思う余裕もなかったです。

――長いあいだ、お一人で耐え続けていたのですね。専門機関にも繋がれたのですか。

雨滴堂さん 相談はしたのですが……地域の保健師さんは相談しに行っても具体的な助言を得られず、失敗しても「子どもはお母さんを嫌いになりませんよ」といったふわっとした話しか聞くことが出来ませんでした。
児童相談所に電話をかけて、何から相談したらいいかわからないもののとにかく限界だと告げても、「まだ殴ってないなら大丈夫」という程度の助言に留まり、これでは児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」の意義もわからないと思いました。
そこで私は社会に対して失望してしまいました。結局、「子どもとちょっと離れて冷静になる時間」を持てないまま、ひたすら耐え続けることで今に至っています。

介護のように育児も公的ケアサービスが必要

――「ワンオペ育児に関わり隊」の投稿では、赤ちゃんを預かる保育士さん、ワンオペ親の悩みを傾聴する心理士さん、子育て相談に乗る保健師さん、授乳や悪露のケアをする助産師さんで専門家チームが組まれています。なぜこのチームに?

雨滴堂さん やはり赤ちゃんという未知の生き物に詳しいプロの保健師さんに智恵を授かりたいですし、いつまで産後の出血や傷の痛みが続くのかといった母体に詳しい助産師さんにも助けてほしいです。また、そうした話をしている間や2時間だけ続けて眠りたいといった時に子どもを安全に見てくれる保育士さんも不可欠ですし、頼りたい人を詰め込んだ座組にしています。
この投稿を見た栄養士さんを名乗る方からは、「栄養士は離乳食のアドバイスもできる」とコメントいただき、その観点はなかったのでさらに夢が膨らんでいます。

――「つわり妊婦さん支え隊」のアイデアも寄せられていますね。こんな事業を一刻も早く実現できたら! と思わずにいられません。

雨滴堂さん このような《願い事》を書くと、だいたい「費用のことを考えていない」という批判的なリプライも必ず飛んできますが、今の日本では高齢者のためのデイケア・ナイトケアの送迎車は目にしない日がないほど走っていますし、それらの預かり介護も必要なものだからこそ実用化され、保険点数もつき、広く利用されています。

――育児に関するサポートももっと実用化されていいはずですね。

雨滴堂さん 赤ちゃん・多胎児、また医療的ケア児や障害児周りのニーズに対しては、介護のような公的な往診事業がすっぽりと抜けていて、各自治体の手腕と予算に任されるばかり。いざ専門機関に相談するとなっても、産後のお母さんがボロボロの体を寝不足のまま引きずって、相談の予約を入れて数週間後に話だけをする、数時間預けるために前々日から家族に周知して準備をする、といった煩雑な運用を強いられている気がします。
《赤ちゃんを預けること、産後のお母さんが体を休ませること》が必要不可欠なこととして社会に組み込まれていれば、そのためのサービスが発生して定着し、専門家に適正報酬も出るのではないでしょうか。
このツイートが健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する厚生労働省の中央社会保険医療協議会に届いてほしいと思いますし、専門職の方や現場の識者が代わりによりよい案を出してくれたら、ワンオペ育児なんて言葉も過去のものになっていくと思います。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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