「突然世界が色を失ったような感覚だった」息子が知的障害のある自閉症だとわかった日

「突然世界が色を失ったような感覚だった」息子が知的障害のある自閉症だとわかった日

ママライターのべっこうあめアマミさんが、長男が知的障害のある自閉症とわかったときのことを描いた漫画が沸々と話題になっています。障害を持つ子どもとその親たちに寄り添いたいというべっこうあめアマミさん。その作品をご紹介します。


「なんでムスコは……知的障害だったのかな」

べっこうあめアマミさんは2014年に長男を出産。1歳くらいまでは発達に特に遅れもなく、育てやすい子だったといいます。しかし徐々に普通の子との違いが目立つように感じ、明らかな発達遅滞が見られるように。

べっこうあめアマミさん(以下、アマミさん)「息子は、0歳の頃は発達に何も不安はなかったのですが、1歳を過ぎた頃から他の子と比べて発達が遅く、人への興味も極端に薄いことが気になりだしました。そこで私は1歳半健診を待たず、1歳5ヶ月の時に個人的に保健センターに発達相談に行っていました」
「ただやはり、1歳半健診で息子とほぼ同じ月齢の子どもたちの様子を目の当たりにすると、息子と他の子たちとの差が歴然であることに、大きなショックを受けました。
事前に配布されていた1歳半健診のチェック項目のほとんどが、息子はできませんでしたし、健診の場で行われた課題のほとんども、息子はできませんでした。
その日は家に帰った後、電気もつけずに薄暗い部屋の中で、ずっと泣いていました」

まだこの頃は、息子に障害があるとは思いたくなくて、「なんとかしゃべってくれさえしたら、この不安は払拭できるのに」と思っていたといいます。

アマミさん「息子が一気に成長して他の子に追いつくのを信じて躍起になっていました。息子のためにできることは何でもやりたいと思い、保健センターで教えてもらった児童発達支援センターに通い、色々な病院や民間の療育などにも通い、プレ幼稚園も3か所も通いました。それでも時間だけが過ぎていき、息子の発達が他の子に追いつくことはありませんでした。
今思えば、息子は確かに成長していたのです。でもそのスピードが周りに比べてゆっくりすぎること、積み上げてもまたできなくなって、3歩進んで2歩下がるような進み方だったことから、暗闇の中でもがいているような状況でした」

3歳からは幼稚園に通わせたいと思ったものの、発達の遅れを理由に入園を遠回しに断られ、未就学の障害児を対象にした児童発達支援センターの通園コースも1年待っても空きが出ず、「地域に居場所がない」と感じていたそうです。

そして4歳のとき。長男は病院で正式に、知的障害のある自閉症だと告げられました。べっこうあめアマミさんはこのときのことを漫画にし、公開しました。

ママやパパの気持ちに寄り添いたい

漫画で描かれた時期からおよそ3年が経ち、7歳になった長男は、特別支援学校の小学部の1年生に。障害の診断が下りた当初は大きなショックを受けたべっこうあめアマミさんですが、今は「うちの子は自閉症で知的障害があります」と自分からサラッと言えるようになったといいます。

アマミさん「この言葉を自分で何度も使うことで、抵抗感がなくなってきたのかもしれません。息子は障害があるけれど、多くの人にかわいがられて楽しく生活してきましたし、今は私も、息子の障害について思い悩んだり、深く落ち込んだりすることはほとんどなくなりました。
もちろん、息子との毎日は気が抜けず、大変なことも多いですが、この3年で少し吹っ切れたのかもしれません。障害があることを受け入れた上で、息子が無理せず笑って過ごせるような未来に向けて、サポートしていきたいと思っています」

また、「ここまで息子の障害を前向きに捉えられるようになったのは、今住んでいる地域に引っ越してきたおかげ」だとも。

アマミさん「前に住んでいた地域では、受け入れてくれる幼稚園が見つからないなど、どうしても居場所がなく、孤立した状態でした。でも引っ越して今の地域に来てからは、孤独を感じることがほとんどありません。
幼稚園では手厚く見守っていただいたおかげで、息子も私も楽しく通えましたし、児童発達支援センターはどんな悩みも困りごとも相談できる、頼れる場所でした。
今は特別支援学校や放課後等デイサービスの先生方が、いつも支えてくれています。
そして、同じように障害がある子を育てるたくさんのママ友に出会えたことも大きかったです。『自分は一人ではない』と実感しながら子育てできていることを、とてもありがたく感じています」

ただでさえ、育児と向き合う中で社会から孤立しているように感じ、孤独を深めてしまうママやパパは少なくありません。子どもの発達がゆっくりであったり、障害の可能性がある特性を持っていたりすると、なおさら疎外感を覚えがちです。だからこそ、周囲の環境や人々とのかかわりがとても大切になってきます。

アマミさん「障害がある子どもに対しては支援のスポットライトがあたっても、その子をずっと間近で支えてきたママやパパには、どこか『自分の子どもなんだから自分を犠牲にしてでも無理してがんばるのが当たり前』の風潮があるのではないでしょうか。でも、ママやパパがしんどくて無理をしていて、子どもが幸せになれるわけがないと思うのです。
だから私は、電子書籍やnote、ブログ、各種SNSなど、どこに住んでいる人も気軽に手にできるweb上のコンテンツを使って、障害がある子どもだけでなく、そのママやパパの気持ちにも寄り添う発信を続けていきたいと思っています。
私の発信を目にした人に、『あ、こんなこと思ってるの私だけじゃないんだ』と共感してもらえたり、『こんな情報欲しかった』と思ってもらえたりしたら、これほど嬉しいことはありません」

12月9日は「障害者の日」。1975年に国連総会で「障害者の権利宣言」が採択された日で、1993年には法律にも規定されました。また、12月3日は「国際障害者デー」であり、この日から12月9日までの1週間は「障害者週間」となっています。

「障害は社会の側にある」という言葉を聞いたことのある方もいるでしょう。障害者は本人の持つ身体的な特性がもとで困難を感じるのではなく、社会の側がバリアを張っているがために、問題が生じているのだと。結果的に、発達がゆっくりだったり障害の可能性がある特性を持つお子さんのパパママは、様々な困難に直面することがあります。

べっこうあめアマミさんは「障害がある子を取り巻く環境は、今も十分に支援が行き届いているとは言えない状況です。地域によって受けられる福祉サービスにも差がありますし、出会う人によっても、うまくかみ合わないことは多々あると思います。でも本当は、障害がある子がどこに生まれてどこで生活していても、親も子も孤独を感じず、笑顔で生きられる社会であってほしい」と語ってくれました。

■べっこうあめアマミ
障害児ときょうだい児を育てる2児の母。ライター・イラストレーター。息子7歳、知的障害を伴う自閉症で発語一切無し。「障害のある子供」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信をしていきます。
note:https://note.com/ariorihaberi_im
Twitter:https://twitter.com/ariorihaberi_im

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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