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2022年01月29日 09:01 更新

子育て世代が知りたい「iDeCo」と「つみたてNISA」のキホン。そもそも投資って何?

子どもが生まれて少しずつはじめた貯金。ただ銀行にお金を預けていても残高が増えることはないので、投資運用をしてみたいけど……よく聞く「つみたてNISA」や「iDeCo」など、どう使い分けるのが正解?

年始に「今年こそお金を増やしていくぞ!」と目標を立てたものの、投資ってよくわからないし、なんだか損しそうで怖いイメージも。そもそも投資信託ってどういうこと? マネーリテラシー超初心者のママ編集者が、ファイナンシャルプランナー・鈴木さや子さんに「投資キホンのキ」を聞きました。

投資って、何にお金を払うの?

(photoAC)
ーー投資信託ってそもそも、何にお金を払うのかがわからないんです。

鈴木FP なるほど、そこからですね! そうですね、何にお金を払ってるのか、何を買っているのかがわからない。じゃあたとえば、株式投資という言葉は知っていますか?

ーー株式投資は、「株式会社の株を買う」ってことですね。

鈴木FP その通りです。1株1万円の株式会社Aの株式(会社の発行する証券)を、1株買ったとしましょう。その会社の利益の状況に応じて、買った人は配当金をもらえます(会社によってないこともあります)。
また、株価が1万1000円になったときに株を売却すれば、1000円の利益になりますね。買ったものの値段が上がったときに売れば、差額を儲けられる。手数料とかもありますが、これが全ての投資の基本なんですね。投資信託にも色々ありますが、主にこの株式投資がベースになっています。

ーーなるほど。

鈴木FP 株式投資は、ある会社を選んでその会社に自分のお金を出してあげる(=出資)ことで株主になります。一方、投資信託というのは、たくさんの会社などに同時に投資ができる金融商品というか、テーマ別で集められたいろいろな会社の株が入っている福袋を買うようなイメージです。

ーー株の福袋!

鈴木FP あくまでイメージですが、株式投資は自分の目で選んだ一つの食材を、自力で料理する、投資信託は、プロが選んだたくさんの食材を、プロの料理人が合わせて調理した料理、みたいな感じでしょうか。それが「和食」だったり「洋食」だったりと、テーマごとに選べる、そんなイメージです。
「和食」、すなわち日本の会社たちを応援したい!と思ったら、日本全体の経済成長に投資する投資信託商品を選ぶ、「洋食」だったらアメリカ全体の経済成長に投資する商品を選ぶ、といった感じです。

ーーまたイメージがわからなくなってきました……。経済成長に投資をするって、どういうことですか?

鈴木FP たくさんの株が入った福袋と言いました。それぞれの会社がどんどん利益をあげて、株価があがっていくと、福袋全体の価格も上昇していきます。こうして福袋全体が成長すると、投資信託の価格もあがるため、高いときに売れば利益を得られますし、分配金という形で一部が投資家に還元されたりします。
投資信託は、1人で1つの福袋に投資するものではないんですね。たくさんの投資家がその福袋にお金を投じ、まとまって大きくなった資金が、運用の専門家によって株式や債券などに投資・運用されているんです。

ーー投資信託を売っているのは、銀行とか証券会社とかですか?

鈴木FP 銀行もそうですし、信用金庫、信託銀行、証券会社など一般的な金融機関で販売しています。また、商品を作り運用する会社と、販売する会社、集めたお金を保管する会社が連携して成り立っているのも特徴です。銀行で買う場合は、預金口座ではなく、投資信託口座が必要です。

ーー今日はこのあと「つみたてNISA」と「iDeCo」について知りたいのですが、これらも銀行などで口座を開いて始めるんですよね?

鈴木FP そうです。銀行のほか、証券会社でも買えます。金融機関によっても商品のラインナップなども異なるので、選ぶときは注意が必要です。このあと、詳しく説明しますね。

「つみたてNISA」と「iDeCo」はどう違う?

(photoAC)
ーー昔は銀行にお金を預けていれば利息がついて、どんどんお金が増えていく時代もありましたが、今は、ただ預金しているだけでは増えませんよね。

鈴木FP そうなんです、預金はほとんど増えません。預貯金は、銀行などにお金を預けて利息を得るものですが、期待できる金利は、年0.001%〜0.2%です。20年間毎月1万円ずつ貯金しても、元本240万円に対して、なんと利息は200円ちょっと。でも毎月1万円ずつ20年間積立投資をして、年平均利回りが3%だったとすると、328万円になります。

ーー増えますね!

鈴木FP ですので、今すぐ大きくお金を増やすのではなく、数十年後を見据えて、貯金だけでなく投資も始めることがおすすめされているんです。国も税制面で優遇している制度である「つみたてNISA」「iDeCo」を調え、自分で将来に備えましょうと発信しています。今から投資を始めるのであれば、まずは税制優遇を受けられるこれらの制度を使うのがよいですよ。

ーーでもそもそも「つみたてNISA」と「iDeCo」って、どういう違いがあって、どちらを始めたらいいかわかりません。

鈴木FP どちらも「積立投資」といって、同じ商品に毎月、同じ額を長期的に投資する点は同じです。短期間で大きく儲けるイメージはせず、長期的にお金を積み立てていき、運用益を得るものと思ってください。
しかし買える商品、掛金の上限、運用して得た利益の非課税期間、お金を引き出せる時期、受けられる所得控除など、異なるところもたくさんあります。
働いて得た賃金に税金がかかるのと同じように、預貯金や投資で得た利益にも税金がかかります。でも、「つみたてNISA」は積立を始めた年から20年間、「iDeCo」は最大70歳までこの税金がかかりません(iDeCoでは、60歳以降に受取る金額に課税されるが大きな控除を受けられる)。
iDeCoにおいては、年間の掛金全額が所得控除の対象になるので、節税につながります。また、つみたてNISAでは投資信託しか買えませんが、iDeCoには買える商品に定期預金などもある、という違いもあります。
とはいえ、どちらも、お金を積み立てるタイプで、「運用益は非課税」といった共通点があって似ているので、どっちをやればいいの? って考えてしまいますよね。

ーーそうなんです……。

鈴木FP ずばり、「何のために積み立てるのか」という目的によると思います。というのも、この二つは、引き出せる時期が違うからです。
「iDeCo」は「個人型確定拠出年金」といって、年金ですから、原則として60歳まで引き出すことができません。そのため、老後資金として考えると良いでしょう。
今、毎月年金保険料を納めていると思いますが、年金だけでは老後が不安だと思っている人も多いですよね。特に自営業の方は厚生年金がないぶん、掛金の上限も多く設定されているので、「iDeCo」で年金を作っておくと安心です。働いて所得税を納めているなら、掛金が全額控除になる「iDeCo」はお得ですね。一度だけでなく毎年のことですから、やるとやらないとでは違いが大きいです。
同じ長期投資でも「つみたてNISA」はいつでも引き出すことができるので、教育費や住宅購入などの資金にしたいと考えるなら、こちらが当てはまるでしょう。掛金はネット証券などであれば毎月100円から設定できるところもあるので、少額で始められます。

「どこの銀行でも一緒」ではないので注意!

(photoAC)
ーー知っていくうちにどちらもやっておいた方がいい気がしてきて、なんだか両方いっぺんに始めちゃいたくなります。

鈴木FP それでももちろん良いのですが、注意してほしいのは、いきなり大きな額を掛けすぎないことです。

ーーリスクがあるからですか?

鈴木FP もちろんそうですが、あくまでも余剰金でやってほしいということ。家計をギリギリまで切り詰めて、MAXの額まで投資に使うのはおすすめできません。特に、いずれ子どもの進学や住宅購入などを計画しているなら、預貯金もしておかなければなりません。
投資信託は日々の値動きがあるので、プラスの時期に引き出せればいいですが、いざ必要なタイミングでマイナスになっている可能性もあります。なので、そうした計画に必要な資金のすべてを「つみたてNISA」で準備しようとするのはおすすめしません。毎日の生活がきちんとできて、預貯金もしたうえで、無理のない額を掛金にしてほしいです。

ーー始めるにあたっては、証券口座を新しく開設する手続きが必要ですよね。給与の振り込み口座がある銀行で相談するとか……?

鈴木FP そこは注意が必要です。金融機関によって、取り扱い商品や手数料などのルールが異なるのです。

ーー選ぶのが面倒じゃないですか?

鈴木FP 金融機関ごとのサービス内容を一覧表にしている親切なサイトがありますので、まずは比較してみましょう。金融機関によって、取り扱う投資信託の商品や取り扱い数、手数料など、全然違います。
「iDeCo」を始めると毎月かかる口座管理手数料は、金融機関によって1000円以上違ってきます。
「つみたてNISA」には口座管理手数料はありませんので、選ぶ際は、商品ラインナップや最低積立金額などに注目を。取り扱う銘柄が170本以上のところもあれば、1本しかないところもありますし、毎月100円から積み立てできるところもあれば、10000円からのところも。積立できる頻度にもちがいがあります。また、積立するお金は、指定した口座から引き落とすのが一般的ですが、クレジットカード払いで積立できる証券会社もあるなんてことにも、注意が必要ですね。
ひとつの金融機関でしか口座を開設できないですし、金融機関を変更するのは手間がかかりますので、最初によく考えて慎重に選んでください。

ーー最初が肝心ですね!

鈴木FP 何より、自分自身でしっかり調べてから始めることが大事です!

(取材・構成:マイナビ子育て編集部)

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