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2021年08月30日 11:20 更新

パパがママと同じ期間の育休を二度取得した理由。#男性育休取ったらどうなった?

2022年4月から育児・介護休業法の改正により、働く男性も育児休業を取りやすくなることが期待されています。それに先立ち、すでに育休を取得して子育てに奮闘しているパパの声を聞いていく連載「男性育休取ったらどうなった?」をスタートします。

男性育休インタビュー

パパママ交代で二回ずつ育休を取得した藤原家

男性育休インタビュー
今回のパパ
藤原祐介さん/34歳/会社員(製造業)

●ご家族
妻:藤原奈央さん/35歳/会社員(IT/WEBディレクター)
長女:まゆちゃん/4歳
長男:ゆいとくん/1歳

●藤原家の育休
第一子誕生(2016年10月)
妻:2016年の10月~1月(3ヶ月間)
夫:2017年1月~3月(3ヶ月間)

第二子誕生(2020年3月)
妻:2020年4月~9月(6ヶ月間)
夫:2020年9月~3月(6ヶ月間)

藤原家の平日タイムスケジュール

男性育休インタビュー タイムスケジュール

「産休⇒そのまま1年育休」ではなく、半分ずつの育休

男性育休インタビュー
祐介さんとゆいとくん。最近はボール遊びがお気に入り
ーー藤原さんご夫妻は、奈央さんが産休からそのまま育休にスライドし、数カ月で祐介さんにバトンタッチするやり方で夫婦それぞれが同じ期間ずつ育休を取っているんですね。どうしてそのやり方になったのですか?

祐介さん:妻のほうが自分より少し給与所得が多いので、産休・育休での家計ダメージを抑えたかった、というのがひとつです。

奈央さん:もうひとつは、私だけが産休の続きで1年とか長期間の育休を取ってしまうと、それ以降の育児の負担も全部自分になるんじゃないかなあと思ったんです。でも、できればパパもママも一緒に子育てする家庭にしたかったので、祐介さんに「あなたも育休を取ろう」と相談しました。

ーー祐介さんの職場では、男性の育休取得実績がありましたか?

祐介さん:なかったですね。24歳から今の会社でずっと働いているのですが、育休を取りたいと上司に相談したら、男性で育休取るのは僕が初めてだと言われました。別に嫌味を言われたりとかもなく、淡々と手続きをしてもらいました。

ーー休業期間があることで、復帰後の仕事に影響が出そうだとか、不安に思うことはありましたか?

祐介さん:それも特になかったですね。そもそも僕は、どんどん出世して仕事で栄誉を手にしたいというタイプでもないので……「普通に」働いて、生活したかったんです。

奈央さん:出会った頃から、仕事一筋タイプではなかったかも。夫に仕事をバリバリ頑張って稼いでほしいという妻もいるとは思うんですけど、私としては祐介さんに育児とか家のことをいろいろやってもらえてありがたいと思っています。でも、私たちは外から見たら「仕事よりも育児の比重がめちゃくちゃ大きい夫婦」って見えるかもしれないのですが、気合を入れて育児に力を注ぎこんでいるわけではないというか……。普通に働いて普通に子育てしているだけなんですよ。

祐介さん:うちは、片方が時短勤務で片方が長時間労働という役割分担をしていなくて、夫婦どちらも「育児担当」でもあり「仕事担当」でもあるんですね。このバランスを保って働けているのは、ありがたいなあと思っています。

ーー子どもが体調を崩したとき、保育園のお迎えや病院受診をするのはどちらですか?

祐介さん:僕は有給休暇などは2日前に申請しないと皆勤手当がなくなるという職場のルールがあるので、突発的なことに対応するのは妻です。

奈央さん:明らかに3日で登園できるようにならない病気の時は、私がお迎えした時点で夫に「有給を申請しておいて」と連絡します。3日めからはバトンタッチですね。

ミルクと抱っこで1日が終わる「さすがに参ってるふうに見えました」

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授乳や排泄回数などはアプリで記録して夫婦で共有。これは2016年、第一子のときのもの。
ーー祐介さんが最初に育休を取ったのは、第一子のまゆちゃんが生後3ヶ月のときから保育園に入園した6ヶ月まで。この期間、一対一で赤ちゃんと向き合う生活をしていかがでしたか。

祐介さん:……もう、二度目の育休で上書きされてしまったというか、最初のときのことはあんまり覚えてないんですよね(苦笑)。ただ、二度目よりはずっと大変だったはずです。

奈央さん:私は覚えてます(笑)。まゆ、めっちゃミルク拒否してなかった? 母乳はよく飲んでたんですけど、仕事復帰のタイミングでミルクに切り替えるじゃないですか。そのとき、全然哺乳瓶でミルクを飲んでくれなくて、祐介さん困ってたなあって。

祐介さん:そうだった。はあ~、困りましたね。拒否というか、あんまり量を飲んでくれなかったんですよ。ちょっと飲んでやめて、みたいな。せっかくミルクを作っても、残しまくってたんですよね。自分は「生後何ヶ月の子には●●cc」って決められた量を全部、絶対にあげないといけないと思ってて、なんとか飲ませようとしたのが大変でした。

奈央さん:当時は祐介さんも私も、育児のスキルが足りなかったからね。

祐介さん:確かにスキル、経験の問題かも。別に書いてある通りやらなくても大丈夫だって今はわかったから、第二子の育休は気持ち的にずっと楽でした。

ーーまゆちゃんはよく寝る・あんまり泣かないタイプの赤ちゃんでした?

祐介さん:あんまり……寝ない(苦笑)。そのときはわからなかったけど、ゆいとに比べたらめっちゃ育てにくい赤ちゃんだったのかもしれません。赤ちゃんってこういうものなんだ、寝ないし泣くんだと思って対応してました。特に夕方、ママが仕事から帰ってくる少し前くらいの時間にやたら泣いてて、それがつらかった記憶はあります。

ーー最初の育休中はリモートワークも普及しておらず、奈央さんが会社へ出かけて夜に帰宅するまで10時間くらいあったと思います。赤ちゃんと二人きりでどういうふうに過ごしていましたか?

祐介さん:ミルク拒否がすごかったのでミルクを飲ませることに一生懸命時間を使ってたなとは思います。哺乳瓶の洗浄・消毒で、すぐ次のミルク調乳の時間になっちゃって、一日が終わる……。あと、掃除などの家事は毎日やってました。外に出かけて人と会ったりは全然しなかったです。まゆは、おもちゃで泣き止む子でもなかったので、家の中でもずっと抱っこしていて背中がめちゃくちゃ痛くなった覚えがありますね。

奈央さん:一人目の育休中は、部屋も今より狭かったよね。二人目を妊娠する前に引っ越したんですが、前の家は2Kで、6畳二間に家具がぎっしり。日当たりも悪くて狭くて……彼はそもそも、1人の時間を大事にするタイプというか、友達と遊んだり外出したりしなくても平気な人だと思いますが、あのときはさすがに結構参ってるふうに見えました。
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ゆいとくんの寝かしつけで重宝したスワドルミー。「まゆが赤ちゃんのときは全然、こうしたグッズも活用していなくて。今は良さそうなグッズはどんどん使うようにしています」。
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ゆいとくんのSIDS予防として使っていたポータブルベビー体動センサ。赤ちゃんの睡眠中におむつにつけて、15秒間おなかの動きがない場合、センサーが感知して振動する。「最近は寝返りしまくるのでもう使えないですが、使っていたときは安心感がありました」。

子どもが転んだとき「パパ~(泣)」と手を伸ばしてくれるのがうれしかった

ーー夫婦の家事分担は、お子さんが生まれてから変わりましたか?

祐介さん:そんなに変わらないですね。

奈央さん:妊娠前から、【料理は妻】【掃除と皿洗いとゴミ捨ては夫】だったので。洗濯は半々です。現在の分担は、料理は妻、皿洗いとゴミ捨ては夫、掃除は夫7:妻3、育児は夫4:妻6の割合かなあ。

ーーいわゆる「名もなき家事」で揉めることはありますか?

奈央さん:うちは「名もなき家事」は基本、夫が全部気がついてやる人なんですけど……。今朝も喧嘩したんです、「冷蔵庫が汚い」って言われて!

祐介さん:だって汚れてたから。

奈央さん:私は汚れとかあんまり気にならないので、汚してもそのまま使うんですね。でも夫は、料理はできないけどキレイ好きなので、頑張って整理整頓とか掃除をしてくれます。生活必需品の補充とか、排水溝が詰まらないようマメに掃除するとか、ゴミ箱を洗うとかも全部夫です(笑)。

祐介さん:汚れが残らないように掃除してるだけですよ(笑)。

ーー先ほど、「育児は妻6:夫4」と奈央さんが言っていましたが、これってどういうことですか?

奈央さん:夫はごはん・お風呂・おむつ替えといったお世話面は何でもやりますけど、子どもの情緒面のケアにはやや無頓着なところがあるので、子どもに絵本を読んだり遊んだりはわりと私が担当なんです。まあ、あと名もない家事に忙殺されて休日の夫は家事が忙しそうです。そういう意味で、少し私のほうが子どもとのかかわりが多いかなというだけで、それほど偏りがあるわけではないんです。

祐介さん:でも今は「ママ、ママ」じゃない? それがちょっと残念。僕の育休中は、子どもが転んじゃっても泣きながら「抱っこ~」って手を伸ばすのはパパの方だったので……。

奈央さん:確かに! 育休中はなんでも「パパがいい」って言ってた。特にゆいとはね。やっぱり、一緒にいてお世話してる時間が長い方に来るんですよ、赤ちゃんは。ゆいとの慣らし保育期間は私が在宅で、彼は育休明けで出社していましたけど、それまで四六時中パパと一緒にいたのに急にママだけになったから、その時期は泣きがすごくて大変でした。で、パパが帰ってくるとピタっと泣き止む。

祐介さん:そうだったね。

奈央さん:まゆも「パパイヤ期」がなかったし、パパとママどっちも同じくらい接してるので、子どもにとってどっちが好きとかはなさそうです。ただ、子どもを叱ることは祐介さんのほうが多いかな。

ーーどういうことで叱るんですか?

祐介さん:うーん、子どもがわがまますぎたり……? やるべきことを、やらないときとか。叱る役割を夫婦で分けているわけではないんですけど。

奈央さん:冷蔵庫の汚れもそうですけど、私は子どもの生活スケジュールの遅れとかもそんなに気にならないんですよ。ごはん、お風呂、寝る時間が遅くなるとか。だから寝る時間でも子どもがまだ遊びたがってるとかは、私はそんなにイライラしないけど、祐介さんは結構気になるようです。

祐介さん:妻から「ちょっと言いすぎだよ」とかたしなめられることもあります。

奈央さん:私も、まゆの気持ちがわかるところはあるから。集中力はあるけれど、片付けとかが苦手なタイプなんですよね。それで、「片付けるって約束したのに、また別のおもちゃを出して熱心に遊んでる!」とか叱られているのを見ても、「それ叱っても仕方なくない?」と思うことはあります。だからパパに叱られた後の子どもは、私がフォローしていますね。
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まゆちゃんとゆいとくんの、お気に入り絵本。

子育てってどういうことか、体で理解できた

ーーご夫婦それぞれ、お子さん抜きの自由時間は持てていますか?

奈央さん:私が21時頃に寝かしつけで寝室に行ったら、夫はもう自分の1人時間スタート。私も、寝落ちしなければ、そこから0時頃までは自由時間です。

祐介さん:自分の趣味は、Netflixで海外ドラマを見ることなので、子どもたちが寝てから続きを見るのがとにかく楽しみです。二度目の育休中も、上の子が保育園に行っている昼間、下の子のお世話しながらずっとNetflixをつけっぱなしにして、隙あらば見てました(笑)。

ーー育休を取って良かったですか?

祐介さん:良かったですよ。最初は、子どもを育てるってどういうことなのか全く何もイメージできなかったんですけど、毎日自分がメインで子どものお世話を実践することで、体でわかるようになったというか。もし育休を取ってなかったら、全然わからないままだったかもしれない。

奈央さん:本当に家事も育児も祐介さんのスキルが高いので、ちゃんと大人二人で子どもたちの世話をできています。育休を取ってなかったら、どうなっていたことか。

祐介さん:でも自分が二度、育休を取ってみて、おかしいなと思ったのは、産後~育児期間の女性は時短勤務という選択肢があるけど、男性の時短勤務は想定されていないんだなということ。自分の勤務先でも時短勤務している女性社員は少なくないのですが、男性社員で時短勤務してる人はいないし、社外でも聞かないです。

奈央さん:私の勤務先でも、男性社員で時短勤務を選択をしている人はいないです。男性の育休が普及したら、その先には男性の時短勤務もアリになるかもしれないですね。働きながら子育てすることが、女性だけでなく男性にとっても当たり前のことになるように、社会が変化したらいいなと私も思います。

(取材・文:マイナビ子育て編集部、撮影:尾藤能暢、イラスト:すみれ)

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