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2021年03月26日 20:30 更新

妻の職場復帰を応援できる夫に!パパがしがちな無用なアドバイスとは? #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.1

『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。

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「ワーパパ」という言葉をポジティブなイメージにしたい

新連載を務めることになりました、渡邊大地(わたなべだいち)です。長く愛されるコラムになるよう、精いっぱい頑張りたいと思います。

自己紹介の前に当連載の紹介をしますと、「パパ目線での家事・育児・夫婦関係などについて問題提起や解決方法の提案などを述べ、夫婦の相互理解に繋がる記事」を書くように仰せつかっているわけですが、タイトルにも出てきます「ワーパパ」という言葉、皆さん、どのように受け取りましたか?

ぼくはこのタイトルをいただいて、「ほうほう、ワーママならぬワーパパってことね。パパによる共働きの実践術、家族の絆の強め方、って感じかな」と好意的に受け止めまして、ただ、「ワーパパ、って、一般的に結構使われてる言葉なのかな? 実際ほとんど聞いたことないけどなぁ」と思いました。

そこで、Googleで「ワーパパ」と検索しようとすると、そもそも予測検索の1個目に「ワーパパ 炎上」と出てきて、「オイオイ大丈夫か!」と。原因はどうやら、数年前にワーパパに関する記事が派手に炎上したことによるもののようです。女性からのひんしゅくはもとより、男性たちからも「ワーパパが聞いてあきれる!」という非難をもってツイート・記事シェアされているという荒れ具合。

該当の炎上記事を読んでみると、「ワーパパ」うんぬんというより、普通に夫たちの愚痴大会だったわけですが、決して悪意のある記事ではないんですよ。問題は、それに「ワーパパ」と名付けてしまった点です。だってGoogleで「ワーママ」と検索すると、予測変換が「ワーママ フルタイム」「ワーママ 幼稚園 保育園」「ワーママ 転職」「ワーママ スケジュール」などと出てきて、これがいわゆる「ワーママ」のイメージじゃないですか。そこに登場した「ワーパパ」なる新参者が酒の席の愚痴大会みたいなことになってたら、そりゃ炎上しますわ。

というわけで、連載をスタートするにあたって、「ワーパパ」つまり「働く父親」を、男性からも女性からもポジティブな存在として受け止めてもらえるような、そんな「ワーパパって何だろう?」ということを皆さんと一緒に考えていくものにしていけたらと思います。

自己紹介が遅くなりましたが、改めまして渡邊大地と申します。札幌出身・所沢在住で株式会社アイナロハという産後ヘルパー会社を経営しています。この4月に小6になる長男、小3になる長女、保育園の年中クラスに上がる次女の3人の子がいます。数年前には、長女と次女が別の保育園に通っており、さらに長男が学童に行き、と3カ所へのお迎えをヒイヒイ言いながらやっていましたが、その後長女が小学校に上がり、いよいよ来年には、中学生・小学生・保育園児とそれぞれ異なるステージの子どもを持つことになります。本連載をお読みくださっているあなたも、お子さんの年齢やステージごとにいろいろな悩みがあると思いますが、一緒に悩みながら前進していこうじゃありませんか。

「理由は明確じゃないけど何かが不安」ーー復帰前の妻のスケジュール帳

さて、わが子が4月にそれぞれ進級すると書きましたが、お読みくださっている方のなかには4月からいよいよお子さんが保育園に行くことになり、会社復帰が迫っている! というワーママさんも多いかと思います。もしくは、妻が四月に復帰を控えているというワーパパさんも読んでくれているとうれしいです。

わが家の、妻の“初”復帰(第1子誕生後の職場復帰)と言われて最初に思い出すのは、妻の「スケジュール帳」です。復帰を数カ月後に控えたある日、妻が仕事用のスケジュール帳に何やらササっとメモをしていたんですね。最初は「もう仕事の予定が入ってるのかな?」くらいに思っていましたが、ササっとメモする姿をその後も何度か見かけたので、何を書き込んでいるのか尋ねたところ、
「復帰まであと何日か、カウントダウンしてるんだ」というわけです。

見せてもらうと、確かに日付のところに「80」「79」「78」……などと復帰初日までの残り日数が書き込まれていました。男性読者のみなさん、それってどういう気持ちなんだと思います?

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妻は「早く復帰したい!仕事に戻るのが楽しみ!」という気持ちも多少はあったそうですが、ご想像の通り、ワクワクよりもはるかに不安が多かったようなんですね。では、どんな不安があったのか、想像できますか?

この件の難しいところは、妻に尋ねても「何が不安なんだか言葉にできない」という点です。「ぼんやりした不安なんだよねぇ」と言われて、つい「芥川龍之介か!」とツッコみそうになりましたが、そんな冗談で片付けるような雰囲気でもなく、じっくり妻の不安の正体に耳を傾けてみました。以下、妻の言葉の断片をもとに、おそらくこういうことに対する不安だったのだろうというぼくの当時の理解で書きますが、

・仕事を忘れていないかなぁ、パソコンなんてしばらくさわってないなぁ
・新しいプロジェクト、企画、事業があって、ついていけるかなぁ
・子育てと両立できるかなぁ、送り迎え大丈夫かなぁ
・通勤途中で体調悪くなったりしないかなぁ

などなどあったように記憶しています。そんな中で唯一ハッキリ妻が言葉にしたのが
「約2年のブランクの間に、自分の同僚や後輩たちがどんどんキャリアアップしていき、自分は恐らく新人に近い形で復帰することになる、というブランクに対する何とも言えない焦りを感じる」とのこと。
ぼくら男性は、病気やケガで数年単位で会社を離れて復帰する、という経験が少ないじゃないですか。だから、“自分がいない間に”キャリアで追い越される、っていう感覚が実感として沸きづらい。でも、想像してみると、おぞましい感じがする……。

確かに、自分が教育した新人が上司になり、その人に対して、「育休いただきましてありがとうございました! 2年ぶりの現場なのでどうぞよろしくお願いします!」と頭を下げることを考えると、胃が痛くなる気もわかります。そして今後はその元後輩である現上司に「すみません、子どもが熱を出して保育園がお休みになりまして……」「その日はどうしても子どもの保育園の行事で……」「保育園から電話があって、すぐに迎えに行かないと……」というお伺いを立てないといけない。

くそおっ! ブランクさえなければこんな目に遭わずに済んだのに!……その日が迫っていると思うと、スケジュール帳にカウントダウンを記入していくほど恨めしいレベルです。

「無用なアドバイス」を吐き出し続けるぼくたち

というわけで、妻が復職を控えているという男性のみなさん、まだ遅くはありません。復職にあたっての妻の不安を聞きましょう。言葉になるもの・ならないもの、たくさんあるはずです。

ただ、世間でよく言われているので耳にタコができると思いますが、妻の不安を聞くと、ついつい「それってこうすれば解決するんじゃないの?」とか「そうするからダメなんだよ、こうすればいいんだよ」って言いたくなりません? こんなん書いているぼくだって、いまだに妻の相談事に「無用なアドバイス」をしてしまうことがあるので、これはよくよく気にかけて自制しないといけません。ぼくらは「妻の話」を吸って「無用なアドバイス」を吐き出す生き物です、残念ながら。

思い出してみてください、妻が「どっちの服がいい?」って持ってきた服のうち、ぼくらがAを指しても、妻はBを買ったりするじゃないですか。ぼくらがアドバイスを求められていないことは明らかです。ということで、「夫は妻の不安に解決策を出すのはやめましょう!」というのが、これまでの定説だったかと思います、「これまで」のね。そして、これまで散々そう言われ続けてきたのに、いまだその撲滅に至らず、ぼくたちは呼吸するように「無用なアドバイス=解決策」を吐き出し続けています。

それはなぜか?
解決策を出すのはやめましょう、の「解決策」が何なのか、ぼくらが腑に落ちていないからなんです。「解決策って何?」を解決しないと、この世から夫の無用なアドバイスが消える日は訪れません。そんな歴史は令和でお別れしましょう。

今から、妻たちの言う「無用なアドバイス」の具体例を5個紹介します。ただ、気にしておいてほしいのは、必ずしも解決策を提案することだけを「無用なアドバイス」としているわけではなく、「早めに切り上げようとする姿勢」「決着を付けようとする姿勢」「善悪を判断しようとする姿勢」「途中経過を無視する姿勢」など、我々の必殺技がことごとく「無用なアドバイス“的なもの”」として見破られているという点です。それらも含めて紹介しますので、ぜひとも「無用なアドバイス“的なもの”」の守備範囲の広さに目を見張って下さい。

これらすべて「無用なアドバイス」!具体例5選

導こうとする

「で、どうしたいの?」「君はどうしたいと思ってるの?」
のような、妻の決断を迫る姿勢。決断できるなら相談してねえわ、ってパターン。

促す

「だから何なの?」「早く結論を言いなよ」
のような、今話している途中経過を無視する姿勢。水差さずに全部聞けや、ってパターン。

責める

「それは君の努力が足りないからでしょ」「そんなの、みんなやってることだし」
のような、妻に責任や義務を自覚させようとする姿勢。アンタに相談して逆に疲弊したわ、ってパターン。

いい加減に聞く

見るからに関心がなさそうな態度。妻の話を聞けと言われたから聞いてます、っていうのが丸見えなんだよ、ってパターン。

結論づける

「こうすればいいじゃん」「オレだったらこうするけどね」
のような、解決してやったぞと勝ち誇る姿勢。スッキリしてんのアンタだけだから、ってパターン。

ね、守備範囲広いでしょ? これらはあくまでもぼくの収集できた範囲の実例ですから、現場にはまだまだ多数の「無用なアドバイス」が転がってるはずです。取り急ぎ、この5個については家庭から一掃しましょう。

全部覚えられませんか?

M「導こうとする」
U「促す」
S「責める」
I「いい加減に聞く」
K「結論づける」

――以上、MUSIK。これをやってはいけないわけですから、「NO! MUSIK」(ノー・ミュージック)と覚えましょう。

ぼくらは出産をすることはできませんが、働くことは多くの男性が経験済みなので、キャリアや社内関係について思いを馳せることはできるじゃないですか。

・急な早退を申し出たときに、上司がどんな顔をするかな?
・自分だけ休日出勤が全然できない状況で、チームのメンバーはどう思うかな?
・子ども優先の働き方をすることで、取引先に迷惑をかけないかな?

いつ起こるか分からない不安を抱えるというのは、かなりのストレスになります。妻の不安に対して「それって自分だったらどういうことかな?」を考えれば、簡単に結論を出せるような問題ばかりじゃなく、誰にも解決できず、だからこそ大きなストレスの種になる、ということが想像できるんじゃないでしょうか。

妻だってうまく気持ちの整理ができず、スラスラ話が出てくるとは限りません。「NO! MUSIK」を胸に、「オレでよければサンドバッグになるぜ」の精神で、妻の不安を分かち合いましょう。

「ワーママ サポートパパ」になって、夫婦でキャリア形成をしよう

子育てと仕事の両立は本当に大変ですよね。本来、仕事と家庭を両立するということは、不安や悩みがつきまとうはずです。その悩みがまったくないのなら、それは勤め先がとんでもなく社員を大事にしてくれていて誰もが受け入れている社風か、もしくは、パートナーにその負担がすべて乗っかっているかのどちらかです。

ひとりですべて担当するのはとても難しい。でも仕事を諦めたくない気持ちに男女は関係ないですよね。であれば、せっかく夫婦になったんだから、パートナーの「働く」を応援すべきじゃないですか。

ぼくは、家事育児をやりつつ仕事もしゃかりきやって、いっぱい稼いでるぜ! っていう「ザ・ワーキング・パパ」はもちろん尊敬するけど、それよりも、妻が働くことを全力で応援できる「ワーママ サポートパパ」こそ、「ワーパパ」と呼ばれるべきじゃないかと思うんです。だって、自分はキャリアをどんどん積み上げているけど、その陰で妻がキャリアを諦めているんじゃ、何のために働いてるんだか分からないですもんね。
妻のブランクを、夫婦の絆を強めるチャンスに代えていきましょう!

あ、「しゃかりき」って令和的に古かったですか?

今回のまとめ

「無用なアドバイス」の実態を知り、妻の不安を聞けるワーパパになろう!

(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香/編集:マイナビ子育て編集部)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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