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2021年09月10日 14:21 更新

【医師監修】妊娠初期の体温はどうなる? 基礎体温の変化と心配な発熱

妊娠が成立し、妊娠初期症状として心身に様々な変化が現れます。人によっては体がほてったような感じがすることも。「微熱があるけれど、妊娠したのかも?」「風邪のような症状だけれど、妊娠の可能性があるのかな?」など、体温の変化をきっかけに妊娠の可能性を考える人もいます。今回は、熱(体温の変化)と妊娠の関係について解説します。

妊娠初期の体温はどんな状態?

女性の体温は月経周期に合わせて変化しています。妊娠しやすい時期などの体のバイオリズムを知るために基礎体温(朝の起きてすぐ、安静時の体温)を毎日測定されている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊娠すると、基礎体温はどのようになるのでしょうか?

妊娠初期はしばらく基礎体温が高い状態が続く

妊娠した時の基礎体温

妊娠が成立すると基礎体温はしばらく高いまま続くことになります。実際に、妊娠した時にその徴候として、「熱っぽい」と感じる人もいます 。
高温期が17日以上続いたら妊娠した可能性があると考えていいでしょう[*1]。

なお、高温期(高温相)と低温期(低温相)の基礎体温の差は0.3~0.5℃ほどです[*2]。

妊娠中期ごろまで高温期は続く

妊娠初期の体温まとめ

妊娠初期にわずかに上昇した基礎体温は、妊娠中期に入ったころの妊娠4~5ヶ月から下降し始めます。そして妊娠6~7ヶ月以降には低温期になります。

妊娠すると高温期が続く理由は「ホルモン」

女性の基礎体温の周期的な変動は、女性ホルモンのバランスが変わることによって起こっていますが、高温期に基礎体温が高くなるのは、女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの働きです。

生理(月経)のスタートから排卵までは「卵胞期」と呼ばれ、この期間は基礎体温が低い低温期(低温相)となります。やがて「排卵」が起こり、次の月経までの約2週間は「黄体期」と呼ばれ、この期間は基礎体温が高い高温期となります。

黄体期ではプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用によって子宮内膜はさらに厚くなり、着床しやすい状態になります。プロゲステロンは妊娠を維持する、つまり、おなかの中の赤ちゃんを育てるのに適した環境を整えるように働きますが、 妊娠が成立しないと子宮内膜が剥がれ落ちて生理が起こります。

一方、着床し妊娠が成立した場合は、プロゲステロンの分泌が続くために生理は起こらず、基礎体温が高い「高温期」が続くことになります。

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頭痛、悪寒、気持ちの悪さ、だるさ……これは妊娠初期症状?

まだ妊娠が確定していない時期、熱っぽさを感じると風邪なのか妊娠の兆候なのか気になる人もいるでしょう。妊娠初期の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

妊娠初期には様々な症状が現れる

妊娠が成立してしばらくすると、多くの人がつわりを経験します。

つわりの症状として、消化器系の症状である悪心、嘔吐、唾液の増加、食欲不振、食べ物・飲み物の好みの変化などが起こります。また、その時期に頭痛や倦怠感(けんたいかん)が現れることもあります。ただ、つわりの症状は個人差が大きく、とてもつらいと思う人もいれば、反対にそれほどつらさを感じない人もいます。

なお、つわりは妊娠6週ごろから始まり、その頃はまだ基礎体温が高い状態が続いています。また、つわりの症状として、もしくは妊娠中の妊婦さんに生じがちな症状として、気温の変化に敏感になることがあります。

つわりは、多くの場合12~16週には自然におさまってきます。

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妊娠中の発熱で注意が必要なのはどんなとき?

妊娠初期で熱があり、ベッドで眠る女性
Lazy dummy

妊娠初期の微熱はホルモンバランスの変化によるものが多く、それは生理的なもので心配ありません。しかしそれとは別に、何かの病気の症状として発熱する場合もあり得ます。風邪などの感染症のほか、早急な治療が必要なつわりの重症型である「妊娠悪阻」でも発熱が見られることがあります。
ここで、生理的ではない熱、つまり何かの病気による発熱についても触れておきます。

病的な原因での発熱では、赤ちゃんへの影響も心配に

妊娠に伴う生理的な発熱ではなく、感染症などの病気による発熱の場合、お腹の赤ちゃんに影響が現れることもあります。例えば、妊娠初期の39.5度以上の高熱が流産などのリスクとなるという指摘もあります[*3]。

いずれにしても、体の異常を感じたら早めに医師の診察を受けて治療することが、安心・安全につながります。

つわりの重症型で発熱も

「妊娠悪阻」は激しい吐き気や急激な体重減少などの重い症状が現れますが、その症状のひとつとして体温が上昇することもあります。妊娠悪阻の頻度は全妊婦の0.5~2.0パーセントで、初産婦に多いとされていますが、より重症化するのは経産婦(出産経験のある妊婦)です[*4]。
関連記事 ▶︎妊娠悪阻の判断と治療方法

熱が生理的なものなのか病気によるものなのかは、自分では判断が難しいかもしれません。いつもと違うような発熱がある場合は、早めに医師に相談しましょう。
関連記事 ▶︎妊婦の高熱は危険?胎児へ影響はある? インフルエンザなど妊娠中の発熱について

まとめ

妊娠初期で体温計で熱を計る女性
Lazy dummy

妊娠すると、初期からさまざまな変化が心身に現れます。微熱も妊娠初期に起こる症状のひとつで、ほとんどは生理的なものです。ただし、中には診断・治療が必要な発熱もあります。高熱が出たり、他にも気になる症状がある場合は、速やかに受診しましょう。

(文:久保秀実/監修:窪麻由美先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「病気が見えるvol.10婦人科・乳腺外科」(メディックメディア)p.25
[*2]厚生労働省 女性の健康推進室「基礎体温」
[*3]メルクマニュアル「妊娠中の発熱」
[*4]「病気が見えるvol.10産科編」(メディックメディア)p.88

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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