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2024年02月02日 07:00 更新

痴漢が多い車両はある?東京都の調査では「真ん中の車両」が約6割で最多に

痴漢は通勤・通学ラッシュ時などの混雑する電車内で起きやすいというイメージを持つ人が多いでしょう。実際に、東京都がはじめて大規模に実施した「痴漢被害実態把握調査」でも、それが裏付けられています。子どもも被害にあう可能性がある痴漢。電車内でどのように起きているのか、確認していきましょう。

都として初の大規模な痴漢被害の実態調査

東京都では、都内の痴漢被害の実態およびその傾向を調査して対策につなげるために、初めての大規模調査となる「痴漢被害実態把握調査」を実施しました。

なお、痴漢の定義としては「迷惑防止条例」で禁止された行為としていて、具体的に以下のような行為を指します。

・痴漢行為(5条1項1号)
衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること(体を触られた・体を密着された・ボタン等を外された・髪を触られた)

・卑猥な言動(5条1項3号の一部)
社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作(匂いをかがれた・息を吹きかけられた・カバン等を押し付けられた・AirDrop等で画像を送られた・見せられた)
※盗撮行為は対象外

今回は同調査の中から、電車内での痴漢被害は具体的にどんな状況や場所で起きているのかを示したデータをご紹介します。

痴漢にあったときの混雑率|200%が約3割で最多

痴漢被害は混雑に乗じて起こりやすいと想像されますが、実際、今回の調査でもそれを裏付けるような結果が出ています。

まず、痴漢被害にあったときの電車の混雑率を聞いた結果を見ると、「200%」が29.7%で最多となりました。次いで「180%」19.9%、「150%」14.5%と続きます。200%は「体が触れあい相当な圧迫」がある状況、180%は「体が触れ合うが新聞は読める」という状況です。こうしたなかでは痴漢だと思っても離れられなかったり、それが故意なのか偶然なのかをすぐに判断できないことが想像されます。加害者はそれを巧みに利用しているのでしょう。

なお、「身動きできない」ほどの乗車率である250%に至ると、痴漢被害にあった人は10%と、かえって低くなりました。

また、駅構内に関しては、「周りにある程度の人がいた(問題なく歩行などが可能)」が46.4%、「ある程度混みあっていた(体が触れ合う程度)」が24.4%でした。また、「周りにほとんど人がいなかった」も16.3%と少なくありません。電車内と比べると、あまり混雑していなくても犯行が行われやすいという違いがあります。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

痴漢にあったときの車両|真ん中が約6割

痴漢被害が起きている車両として最も最も多かったのは「真ん中あたりの車両」で、59.8%を占めました。「端の方の車両(おおむね端から2~3両目)」は29.7%で、「真ん中あたりの車両」と比べると約半数、「一番端の車両」は10.6%という結果でした。これはそれぞれの駅の構造にもよるため一概には言えませんが、真ん中あたりの車両が混雑しやすい電車が多く、痴漢も発生しやすいということなのかもしれません。「一番端の車両」が比較的少ないのは、関東の路線では女性専用車両が先頭や最後部の車両に多いことも関係しているでしょう。

駅構内に関しては、「ホーム」で34.9%で最も多く、次いで「階段・エスカレーター」が28.7%、「通路」が16.3%となりました。人が密集して混雑しやすい場所で起きていることがわかります。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

痴漢にあったときの車両内の位置|ドア付近やその間の空間で多い傾向

次に、車両内の位置にはどうでしょうか。被害に遭ったときに車両内のどこにいたかを聞いた結果、「座席の前の通路」(23.3%)、「ドア付近(開閉が多い側)」(23.0%)、「ドア付近(開閉が少ない側)」(20.8%)が上位となりました。さらに「ドアとドアの間のスペース」が17.2%で続きます。ここで注目したいのは、ドア付近や左右のドアの間のスペースで約6割の痴漢被害が発生している点です。ドア付近は車内で最も混雑する場所であることが関係していると思われます。また、ドアの開閉の頻度による違いはあまりないこともわかりました。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

まとめ

今回の調査結果から、電車内での痴漢は乗車率が高い車両で起きやすく、車両内においては、ドア付近やドアとドアの間のスペースという、やはり特に混雑しやすい場所で起きやすいことがわかりました。痴漢被害にあわないために少しでも空いている電車や車両に乗ることは、一つの対策になるとはいえるでしょう。しかし、通勤や通学のために満員電車に乗らざるを得ない人はとても多いと思います。個人での対策には限界があり、社会全体での取り組みが求められます。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■令和5年度 痴漢被害実態把握調査/東京都
被害者調査:
2,219名(電車内2,010名、駅構内209名)
東京都内在住または東京都に通勤・通学等をする16~39歳の方で、通勤・通学に電車を用いる方のうち、電車内、駅構内で痴漢にあったことがある方
第三者調査:
1,354名(電車内1,042名、駅構内312名)
東京都内在住または東京都に通勤・通学等をする16~69歳の方で、通勤・通学に電車を用いる方のうち、電車内、駅構内で痴漢を目撃または痴漢の現場に居合わせたことのある方
調査時期:2023年8月10日~30日

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