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2024年01月27日 08:30 更新

これまでに痴漢被害を受けた人は約3割、初めて被害に遭ったのは高校生のときが最多

通勤や通学中の電車内などで行われることが多い犯罪のひとつに、「痴漢」があります。誰もが知る犯罪ではあるものの、その詳しい実態となると、よく分からないという人も多いでしょう。子どものいる親にとっても決して無関係ではありません。今回は、東京都が実施した「痴漢被害実態把握調査」をもとに、痴漢被害の全体像をお伝えします。

都として初の大規模な痴漢被害の実態調査

公共空間で起きる「痴漢」は加害者との面識がないことが多く、被害者が申告をためらうことも多いので、その実数をつかみづらい犯罪だと言われています。そこで東京都では、都内の痴漢被害の実態およびその傾向を調査して対策につなげるために、初めての大規模調査となる「痴漢被害実態把握調査」を実施しました。

なお、痴漢の定義としては「迷惑防止条例」で禁止された行為としていて、具体的に以下のような行為を指します。

・痴漢行為(5条1項1号)
衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること(体を触られた・体を密着された・ボタン等を外された・髪を触られた)

・卑猥な言動(5条1項3号の一部)
社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作(匂いをかがれた・息を吹きかけられた・カバン等を押し付けられた・AirDrop等で画像を送られた・見せられた)
※盗撮行為は対象外

痴漢被害の経験がある人は約3割

これまでに痴漢被害を経験した人(痴漢被害が「ある」「確証はないがおそらくある」と回答した人)の割合は29.9%と、約3割の人が痴漢被害を経験していることがわかりました。さらに、そのうち電車関連が27.1%でほとんどを占めることも明らかに。一般のイメージとたがわず、痴漢は圧倒的に電車内や駅で起きていることを裏付ける結果です。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より
東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

女性では4割以上が痴漢被害の経験あり

痴漢の被害を性・性自認別に見てみると、やはり、特に女性で多いことがわかりました。女性の41.1%が「被害経験あり」と回答しています。しかし、男性の被害経験者も7.8%と1割に近いほか、サンプル数が少ないものの、ノンバイナリーおよびXジェンダーの人も33.9%と、約3人に1人が被害に遭っていることがわかりました。

なお、痴漢被害の目撃・居合わせの経験については、性・性自認でさほど大きな違いはなく、いずれも10~15%前後という結果でした。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より
東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

高校生のときに初めて被害を受けた人が3割以上

電車は子どもから大人まで多くの人が利用する公共交通機関であり、誰もが被害を受ける可能性があります。そこで、最初に被害に遭ったときの職業や学校について見てみます。

痴漢被害のほとんどを占める電車内のデータを見ると、高校生が36.5%と最も多く、会社員・公務員が18.9%、大学生・大学院生が18.8%と続いています。また、中学生も11.7%と少なくありません。

上位の結果を踏まえると、やはり若い人ほど狙われやすいと言えるでしょう。また、高校生の被害が目立ちますが、中学生と比べて電車通学が圧倒的に増えることも関係していると想像できます。

なお、駅構内でも上位3つは同様の結果でした。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より
東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

1割以上が電車内や駅構内で痴漢を目撃

痴漢被害が起きている電車内や駅には、多くの人が居合わせています。そこで、痴漢の目撃経験はどのくらいなのかを、最後に見てみましょう。

電車内・駅構内の痴漢被害について、「目撃・居合わせ経験あり」という人は11.2%でした。1割強という数字は決して小さくないのではないでしょうか。

東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より
東京都「令和5年度 痴漢被害実態把握調査 報告書」より

まとめ

今回の調査結果によって、痴漢犯罪はやはり混雑しやすい電車内や駅構内で多く行われている実態が示されました。特に若い人がその対象とされていて、高校生で初めて痴漢犯罪に遭遇したという人が多いようです。また、中学生のときに電車内で被害を受けた人が1割以上いるのも気になります。悪いのはあくまでも加害者ですが、子どもが一人で電車に乗る機会が増えてきたら、家庭で痴漢対策について話しておくのも大切かもしれません。目撃者も1割以上いることから、痴漢行為に気づいた第三者が痴漢を防ぐという社会的な取り組みも望まれます。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■令和5年度 痴漢被害実態把握調査/東京都
被害者調査:
2,219名(電車内2,010名、駅構内209名)
東京都内在住または東京都に通勤・通学等をする16~39歳の方で、通勤・通学に電車を用いる方のうち、電車内、駅構内で痴漢にあったことがある方
第三者調査:
1,354名(電車内1,042名、駅構内312名)
東京都内在住または東京都に通勤・通学等をする16~69歳の方で、通勤・通学に電車を用いる方のうち、電車内、駅構内で痴漢を目撃または痴漢の現場に居合わせたことのある方
調査時期:2023年8月10日~30日

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