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2023年06月17日 09:02 更新

トイレに行く暇もない! 妻の通院で初めてのワンオペ育児、実感した「二人だから大丈夫だったんだ」 #男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は第一子と第二子で2回の育休を取ったパパとママに話を聞きました。

長男・次男で二度の育休

今回のパパ
青池直之さん/38歳/SE/ 株式会社日立ソリューションズ ビジネスイノベーション事業部 デジタルインサイト・サービス本部 デジタルインサイト・サービス第2部第3グループ

●ご家族
妻:青池真理子さん/36歳/会社員:研究開発職
長男:寿治くん/4歳
次男:晃弘くん/2歳

●青池家のパパ育休
2018年9月に長男が誕生。会社の締月が10月と3月の二期制のため、10月から3月までの半年間に初めての育休を取得。2020年12月に次男が生まれ、2021年1月から3月まで2回目の育休を取得する。次男は同年4月から保育園に入園し、夫婦ともに職場へ復帰。

青池さんのタイムスケジュール

上司と育休セミナーに参加、スムーズな引き継ぎができた

――まずは育休取得のきっかけを教えてください。

直之さん 妻の妊娠がわかる前から何となく「育休を取れたらいいなあ」と思っていたので、会社の労働組合が主催する育児イベントに参加して、育休取得経験者の話を聞いていました。その話を妻にもしていたので、いざその時がきたら「当然育休は取るよね」という流れに。自分で外堀を埋めたような形です(笑)。

――取得の希望を会社に伝えたとき、どのような反応がありましたか。印象に残っていることを教えてください。

直之さん 当時の部長だった男性に、報告をしたときのことですね。その部長にとって、私が初めての男性育休取得希望の部下でした。「今はこういう世の中だし、是非取りなさい」ととても前向きにプッシュしてくださって、笑顔で送り出してくれました。部長をはじめ、同僚も基本的にポジティブな反応でありがたく感じましたね。

――半年間の取得となると、業務の引き継ぎは大変ではありませんでしたか。

直之さん 妊娠がわかったのがちょうど次年度の予算を組む時期でした。1〜2年単位のプロジェクトにアサインされると、育休取得が周囲に大きな影響を与えてしまう可能性があると思ったので、妊娠したことを早めに伝えて、「新しいプロジェクトにアサインされるとしても抜ける前提の計画をさせてください」とお願いしていました。実際に育休に入る3ヶ月ほど前から、上司と一緒に具体的なプロジェクトの引き継ぎの計画を立てました。

――事前に万全の準備を整えたのですね。

直之さん 育休に入る前には、日立グループ全体で復職支援セミナーがあり、直属の上司と一緒に参加しました。社内の育休取得経験者の方からもしっかりアドバイスを受けられて、どうすればいいかイメージしやすかったですし、具体的な引き継ぎ方や働き方に対して上司とも共通認識を持てたと感じています。育休中にも上司と面談があり、スムーズに復職することができました。やはり育休は本人だけではなく、マネジメントする人にもとても影響があることなのでこれは重要なことだなと思いました。

ワンオペ育児で留守番して実感「トイレに行く暇もない!」

取材の合間に「パパ、手伝ってー!」試行錯誤で立体パズルを組み立てていきます

――妊娠中、奥様は体調がすぐれない日が多かったそうですね。

直之さん 安定期前はつわりがひどく、食事も取りづらそうでした。妊娠後期も100〜200メートルほど歩いたら、気分が悪くなってしまうような体調で……それは第一子のときも第二子のときも同じでしたね。実家でよく食べていたというピクルスならすぐ食べられそうということで、義母にレシピを聞いて私がピクルスを作っていました。

――実家の味を直之さんが再現したのですね! 第一子の出産時はコロナ禍以前ですが、あえて里帰り出産は選択しなかったのですか。

真理子さん そうですね。夫が育休を取る前提でしたから、無理に里帰りしなくても、夫婦で一緒にやっていけたらいいかなと、二人で話し合って決めていました。産後の肥立ちもあまり良くなかったので、産後1ヶ月は極力寝させてもらいました。

直之さん 産後の分担としては、沐浴はあらかじめ自分の担当だと決めていましたが、初めての沐浴のプレッシャーは大きかったです。プレパパ教室には参加してやり方は聞いていましたが、いざ家に帰ってきたらもう誰も何も教えてくれない(笑)。

――焦りますよね(笑)。

直之さん もっと焦ったのは、初めてのワンオペ育児の日だったかもしれません。1回目の育休中に妻が病院へ行く予定があって、長男と私で留守番をした日がありました。出産直後から私は育休を取っていたので、ずっと夫婦で育児をしてきて少しずつ慣れ、できるようになったつもりでいたんですね。「大丈夫だから行ってらっしゃい!」と妻を送り出して。……よくSNSで、パパが初めてのワンオペ育児をしたら大変なことになったというようなエピソードが投稿されていますよね。そのときは、「私はそこまでひどいことにはならないぞ!」と思っていました(笑)。

――ところが……?

直之さん これが本当に不思議と、まったく同じようなことになりました……(笑)。いつもはそんなに吐き戻しがないのに、その日に限ってミルクの後にげっぷをさせていると、飲んだミルクをマーライオンのように吐き出してしまって。ソファはミルクでぐちゃぐちゃになり、慌てながらも片づけていたら、今度は何だか臭いぞと。おむつを確認したらうんちをしていて、おむつを替えても息子はなぜかずっと泣き止まず……気づいたら、3〜4時間くらいあっという間に経っていました。妻が帰ってくるまでご飯はもちろん、トイレに行く暇もありませんでした。普段二人でやっていたのでそこまで赤ちゃんのお世話が大変だと感じていませんでしたが、一人で全部やるのと二人で分担するのとでは大変さが全然違うと実感した出来事です。

真理子さん 二人で一緒に育児を頑張ったからか、産む前は「産後クライシスというのがあるらしい」と戦々恐々で覚悟していたのですが、全然夫婦の関係性に変化はなくて。拍子抜けでした(笑)。

「17時半お迎え」「保護者会で抜けます」同僚みんなで共有、仕事頼みやすく

「抱っこできるうちはしてあげたいですね」と青池さん

――日立グループには育休取得前だけでなく復職時にも支援セミナーがあると伺いました。

直之さん 復職時はやはり上司と面談し、「部下にどう働いてほしいのか」「どんな働き方なら継続できるのか」などを話し合うのですが、その方法をレクチャーするセミナーです。復職1ヶ月前に「こんな内容で面談してください」と具体的に提示してもらい、その話し合いを経ることで復職後のイメージもつきやすくなりました。

――現在、夫婦共働きで子育てされていますが、平日の育児と仕事のバランスはどのように取っていますか?

直之さん 「終わらせるもの/終わらなくてもいいもの」をいかに取捨選択するかが重要ですね。「今日ここまで終わっていれば明日なんとかなる」というところまでは終わらせる。自分以外の誰かと分担できるようにしておくなど、もしものバックアッププランも確保しておきます。復職してから、仕事の段取りは以前にも増して重視するようになりましたね。また、職場の先輩ママに、どうしても残業が必要なときは遅くまで起きて終わらせるより、夜子どもと一緒に21時頃に寝て、翌朝早起きしてやる方が効率が良いと教わって真似しています。朝は静かで、集中して1つのことに取り組めるので、確かに効率がいいですね。

――極力、定時内にしっかり終わらせるようにしているのですね。職場内でノウハウを共有できるのもいいですね!

直之さん 職場では私も含めみんな、スケジューラーに子ども関係の予定も入れて共有しています。17時半にお迎えとか、保育園の入学式や子どもの定期健診の予定が入っているからこの日この時間はNGとか、プライベートの予定であっても登録して、同僚から見える状態にしているんです。仕事をお願いしたいときもお互い調整しやすいですね。スケジュール共有によって定時間際の打ち合わせ依頼などはほとんどなくなりました。

――お互いさまで柔軟に対応し合っている様子が伺えます。第一子の経験も踏まえて、第二子の育休時には何か変化はありましたか。

直之さん 私が第一子の育休を終えて復職してから、嬉しいことに2〜3人の男性育休が続きました。第二子のときは職場全体で男性育休もより当たり前になってきていたように感じます。

――最後に、育休を取って良かったことを教えてください。

直之さん 子どもが親の腕の中で育ってくれる貴重な期間にしっかり関われたことは幸せだと思います。

真理子さん 夫婦で同時期に育休を取得したので、親子水入らずで貴重な時間を過ごせました。長男や次男とのんびり過ごしたことは、いつか仕事を引退した後も夫婦の会話に出てくるんだろうなあと思います。

直之さん 子どもたちが大きくなるのはあっという間で、二人ともだいぶ重くなりましたが、抱っこしてあげられる期間はあと数年もないので、お願いされる限り抱っこしてあげたいと思います。重いので長時間は嫌ですが(笑)。

(取材・文:宮本貴世、撮影:尾藤能暢、イラスト:ぺぷり)

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