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2022年12月13日 06:10 更新

千両と万両の違いは? 南天も! お正月飾りにかかせない赤い実の見分け方を知ろう

千両と万両は、お正月の生け花に使われる植物です。どちらも赤い実を付けるのですが、見分け方がわからない人も多いでしょう。今回は、千両と万両の違いと見分け方をご紹介します。お正月の切り花を買うとき、お庭に植えるときの参考にしてください。

科目が違う

正月飾りに使われる千両(センリョウ)と万両(マンリョウ)は、どちらも縁起物で見た目がとてもよく似ています。いずれも、花や実のなる植物が少ない冬の時期に、赤い小さな実を付ける植物です。葉は濃い緑色で、こちらも形がそっくりです。

素人目にはほとんど同じに見える千両と万両は、植物学的にいうと科目が違います。

千両は、センリョウ科のセンリョウ属。万両は、サクラソウ科のヤブコウジ属です。見た目はたいへんよく似ているのに、属も科も違うのはおもしろいですね。

実の付き方が違う

千両と万両を見分けたいときは、実の付き方を比べるとよいでしょう。

千両の実は、枝の先端に付きます。小さな赤い実がいくつも付いて、かたまりのように見えます。空に向かって花火が上がっているような印象です。千両のなかには、キミノセンリョウという黄色い実を付ける種類もあります。

万両の実は、葉の下側に付きます。1本の長めの軸にいくつかの短い軸が付き、その先に赤い実がなっています。線香花火の火花が散っているようなイメージです。

実の付き方の違いで樹形が大きく異なって見えますので、慣れれば見分けは簡単です。

花の色が違う

実と比べてあまり注目されませんが、千両と万両では、花の色が違います。千両の花の色は、薄緑色。万両の花の色は、白です。

どちらも小さな花ですし、実が付くまでは目立ちません。千両の開花は6月ごろ、万両の開花は7月ごろです。

名前の由来

ここからは、千両と万両の名前の由来をご紹介します。

千両

センリョウは、もともとは中国名で「仙蓼(センリョウ)」と書きあらわされていました。「千両」と書くようになったのは、センリョウとよく似た赤い実を付ける植物、カラタチバナがきっかけです。

カラタチバナは、中国名を「百両金」といいます。

江戸時代、カラタチバナを品種改良した変異種が出回り、好事家の間で高額で取引されるようになりました。この高額品種は、もともとの「百両金」をもじって「百両(ヒャクリョウ)」と名付けられました。

仙蓼は、百両よりも大きな実を付けます。そのため、「百両よりも大きいのだから千両だ」という江戸っ子らしい言葉あそびで、「仙蓼」ではなく「千両」と書きあらわすようになったのです。

読み方は同じでも、漢字表記が変わったわけです。

万両

千両とよく似た赤い実を付けますが、千両よりも大きな実だったので、万両と呼ばれるようになりました。もともとは別の名前で呼ばれていたようです。もとの名前はどのようなものだったのかは、いまとなってはわからなくなっています。

百両・十両

千両、万両のほかに、冬に赤い実を付ける植物があります。カラタチバナ(唐橘)、ヤブコウジ(藪柑子)、アリドオシ(蟻通し)です。

千両、万両とあわせて、それぞれ実の大きさの順に、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドオシ)と呼び名が変えられました。

以上の5種類のほか、冬に赤い実を付ける植物に「南天(なんてん)」があります。南天も、千両、万両によく似ていますが、ぶどうの房のように実が付くところが違います。南天も、縁起物としてお正月飾りによく使われています。

まとめ

江戸の人々は文化的素養が高く、言葉あそびを好み、5種類の赤い実を付ける縁起物の植物を栽培して楽しんだようです。千両と万両はそれぞれの植物の和名となり、今でもお正月の生け花として親しまれています。南天とも間違えられやすいので、実の付き方を観察して見分けてみてください。いずれも縁起のよい植物ですので、どれを飾ってもよいお正月を迎えられるでしょう。

(マイナビ子育て編集部)

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