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2022年05月07日 12:37 更新

【今ない仕事始めた人図鑑】宇宙飛行士・山崎直子さんインタビュー(前編)『今ない仕事図鑑ハイパー』Vol.3

子どもたちの「未来の仕事」の多くは「今ない仕事」であると知っていますか? 『SDGsでわかる 今ない仕事図鑑ハイパー 自分の才能発見ブック』(講談社)は、SDGs(持続可能な開発目標)をガイドに「今はまだないけど、未来に生まれるかもしれない仕事」をわかりやすく紹介。子どものキャリア教育にピッタリの1冊です。

今ない仕事始めた人図鑑(前編)

宇宙飛行士・宇宙政策委員会委員 山崎直子さん

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1970年千葉県出身。東京大学大学院工学系研究科修了。1996年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)に勤務。1999年国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士候補者に選ばれ、2001年認定。2010年、スペースシャトル「ディスカバリー号」で宇宙へ。日本人ふたり目の女性宇宙飛行士に。2011年、JAXAを退職、現在は内閣府の宇宙政策委員会委員などを務める。

「何にでもチームワークはたいせつで、ひとりではできないし、ひとりで全部やる必要はないんです。苦手なことはほかの人に助けてもらえばいいんです」

Q.子どものころは、どのようなお子さんでしたか?

A.星やSFアニメが好きでしたが、宇宙で仕事をするなんて思ってもいませんでした。

子どものころは星を見ることが好きでした。『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』など、宇宙を描いたSFアニメが好きで、小学校の高学年になるとプラネタリウムにもよく行っていました。未来の世界では宇宙にコロニーができて人が住むのかな、と漠然と思い描いたりもしていました。

そのころはまだ日本人の宇宙飛行士は誰もいない時代です。宇宙での仕事は、当時の「今ない仕事」。自分が宇宙に出て仕事をすることになるなんて、想像もしていませんでした。

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Q.大学の進路や職業は、どのようにして決めましたか?

A.スペースシャトルの事故がきっかけでエンジニアとして宇宙開発に携わろうと決めました。

中学三年のときにたまたまテレビでスペースシャトル「チャレンジャー号」の事故の報道を見たことが、進路決定のきっかけになりました。
事故がとてもショックで、それまではアニメやSFの世界の話だった宇宙が、現実にあるということが伝わってきたんですね。
「本当に宇宙開発というものが行われていて、さまざまな形で働いている人がたくさんいるんだ」と驚きましたし、子どものころ、星や宇宙に興味があったことも思い出したんです。

それで東京大学工学部に進んで宇宙工学を学び、エンジニアとして宇宙開発に携わろうと決めました。大学院まで進み、卒業後には宇宙航空研究開発機構(JAXA)にエンジニアとして就職することにしました。

JAXAでは、国際宇宙ステーションに接続されている日本実験棟「きぼう」の開発や試験などに携わりました。そんな業務の中で、実際に開発に携わった国際宇宙ステーションで働きたいという思いが強まっていったんです。「チャンスがあったら宇宙飛行士の選考に応募したい、開発に携わった多くの人の思いと一緒に宇宙に行きたい」という気持ちを募らせていきました。

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Q.どのようにして宇宙飛行士になる夢をかなえたのでしょう?

A.宇宙飛行士は新卒ではなれないので、働いて三年目に「宇宙飛行士候補者」に応募しました。

社会人三年目に、JAXAが募集する「宇宙飛行士候補者」に応募しました。働きながら、約一年間の選考期間中にさまざまな試験を受けて、合格することができました。最初は小さな好奇心で始まったものを、無理なくつなげて夢をかなえたという感じです。

宇宙飛行士という職業の特性も、マイペースな自分に合っていたと思います。というのは、宇宙飛行士に応募するには、まず三年間ほかで働いて実務経験を積まなくてはなりません。そのため年齢の幅が広く、「早くならなくては」というプレッシャーはあまりなかったのです。経験を積んでから活躍するべテランの人も多いんです。


(後編につづく)

(上村彰子・「今ない仕事」取材班(著)、澤井智毅・宇野カオリ(監修)、ボビコ (イラスト)『SDGsでわかる 今ない仕事図鑑ハイパー 自分の才能発見ブック』(講談社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

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今の子どもたちの平均寿命は100歳を超えると予想されていますが、企業の平均寿命は30歳あまり。
ゆえに、多くの子どもたちの「未来の仕事」は、これから生まれる「今はまだない仕事だけど、未来には生まれるかもしれない仕事」なのです。

『SDGsでわかる 今ない仕事図鑑ハイパー 自分の才能発見ブック』(講談社)は、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)をガイドに、世界の現状を理解しつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)で生まれる新しい力に想像の翼を広げて、子どもとともにわくわくする未来を構想するための本。

子どもにもわかりやすい図鑑形式やマンガで“未来の働き方”を楽しみながら学べるので、親子でキャリア教育を始めたいという方におすすめです。

著者・上村彰子さんのプロフィール

東京都浅草出身。出版社にて子ども雑誌編集、TOEIC(c) Program (英語テスト事業)マーケティング業務を経て、2006年よりフリーランスでライター・翻訳業。カルチャー、社会、教育問題、マーケティングに関する執筆、音楽・映画関係の翻訳を行っている。著書に『お騒がせモリッシーの人生講座』(イースト・プレス)、『大人は知らない 今ない仕事図鑑100』(講談社)、翻訳書に『モリッシー自伝』(イースト・プレス)。

監修・澤井智毅さんのプロフィール

WIPO(世界知的所有権機関)日本事務所長。
特許庁審査第一部長、第二部長、調整課長、知的財産研究所ワシントン所長、国際課長等を歴任し、2019年11月より現職。
WIPO(世界知的所有権機関)
特許、意匠、著作権、地理的表示等の国際的な知的財産権制度の発展を所管する国際連合の専門機関、ジュネーブに本部を置く。日本事務所は、7つある外国事務所の一つ。知財制度のプロモーションや日本政府や裁判所、産業界、大学等と国際機関であるWIPOとの橋渡し役を担う。

監修・宇野カオリさんのプロフィール

ポジティブ心理学者。一般社団法人日本ポジティブ心理学協会(JPPA)代表理事 [http://www.jppanetwork.org] 。
ポジティヴ心理学創始の地であるアメリカの、ペンシルバニア大学でポジティブ心理学の学位を取得。現在は、国内外の大学や研究機関で、ポジティブ心理学の研究と教育に従事する。主な翻訳書に、『ポジティブ心理学入門』(C・ピーターソン/著 春秋社)、『ポジティブ心理学の挑戦』(M・セリグマン/著 ディスカヴァー・トゥエンティーワン)など。本書では心理学の監修を担当。

イラスト・ボビコさんのプロフィール

東京都浅草出身。女子美術大学デザイン科卒業。雑貨メーカーSWIMMERの商品デザイナー、テーマパークの物販デザイナーを経て、フリーランスのイラストレーターとして活躍中。絵本『ブラックライトでさがせ! 深海の不思議な生きもの』(パイ インターナショナル)にて、イラストを担当。また、雑貨ユニット「ゴンバ社」を立ち上げ、オリジナル雑貨の制作やイベント等を行っている。

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